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自己都合退職でも退職金はもらえる?

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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この記事でわかること

  • 退職金の有無やその内容は就業規則や個別の労働契約の定めによる
  • 退職金の規定が就業規則にある会社は、その規定に従った運用をしなければならない
  • 自己都合退職は一般に退職金が安くなる傾向がある

労働者にとって会社を辞める際にもらえる退職金は、数ある労働条件の中でもトップクラスに重要なものです。

しかしながら、自己の会社の退職金制度についてその存否は知っているが内容までは知らない、という方も多いのではないでしょうか。

本記事においては、退職金制度の法的仕組みと自己都合退職の場合の退職金の支払いに関して説明していきます。

退職金の法的仕組み

そもそも退職金は法的にどのような存在なのでしょうか。

ここではまず退職金について、労働法(労働基準法や労働契約法など)的にどのような仕組みになっているのかについて解説していきます。

退職金制度の内容や運用は会社による

実は退職金制度の導入は労働法上義務付けられたものではなく、その導入や運用はその会社次第なのです。

すなわち、法律上労働者に退職金請求権が発生するには退職金の支払が労働契約の内容になっていることを要します。

労働契約の内容になっているとは、大半の場合、個別の労働契約か就業規則において事項が明示されていることを指します。

就業規則による明示

上の二つの方法のうち、現在の退職金制度として最も多いと考えられるのが、就業規則による同制度の明示です。

就業規則は一定の手続を踏めば労働契約を補完することができます。(労働契約法7条、労働基準法89条以下など。特に退職金について労働基準法89条3号の2。)

日本においては同一条件で労働者を大量に雇うことが多く、就業規則は原則として労働者に一律に効力を有するので、このような大量で画一的な労働契約の内容処理に向いているのです。

退職金に関する法律上の問題点

退職金についての規定が就業規則になければ原則として労働者に退職金請求権は発生せず、退職金の不支給については問題が発生しないのが基本です。

しかしながら、就業規則等に退職金についての規定がある場合、大きく分けて①退職金に関する規定の合理性、②定められた基準の適正な運用という観点から問題が発生することになります。

確かに退職金制度は就業規則等で使用者が定めることができ、その意味において退職金の有無や内容については使用者に裁量があるといえます。

しかしながら、その規定はまず①合理性を有するものでなくてはなりません。例えば一部の労働者のみを不当に差別するような退職金規定があった場合、その規定は民法90条に反し無効と解される場合があります。

さらに②使用者は一度定めた退職金に関する規定を客観的基準に従い適正に運用しなければなりません。

退職金の性格

自己都合退職時の退職金に関する法的問題について説明する前に、退職金の仕組みを理解する上で必要不可欠である退職金の性格について述べていきます。

賃金後払的性格と功労報償的性格

まず問題点を検討する前に必要不可欠な説明が退職金の法的性格です。

法学上、退職金は「賃金後払的性格」「功労報償的性格」の二つの性格を併せ持つとされています。

「賃金後払性格」とは、退職金が賃金額を算定基礎とすることが多いことや勤続年数に応じてその額を増やしていくことからそのように呼ばれています。

また、「功労報償的性格」とは退職金が単に勤続年数に比例してその額を増やしていくのではなく、累進的に額を増やすことから退職金はその額の算定の際、今までの勤務や貢献の再評価がなされ金銭化すると解されていることからこう呼ばれています。

もっとも、退職金制度は会社により様々である以上、会社の設計する退職金制度によっては、いずれかの性格に寄ったりすることはあるので上性格については会社会社に応じた個別具体的な判定が必要です。

見分ける主要なポイント

会社の退職金制度を見て上のいずれかの性格が強いかを判断する要素として額の増え方が挙げられます。

例えば「1年目2万円、2年目4万円…20年目40万円」というように、退職金の額が比例的に伸びる退職金制度の場合には、同制度は賃金後払的性格が強いと解されます。特に功労の程度とか関係なく単に年数によって額が上乗せされていくに過ぎないからです。

対して「1年目2万円、2年目4万円…20年目500万円」というように額の増加が一定年月を超えたら累進的に上昇する会社や、分かりやすく退職金制度の規定の中に「歩合制部分」として貢献度を判定するような基準がある場合には、功労報償的性格が強いと解されます。

この他にも様々な要素により退職金制度の性格は左右されることになりますが、先に述べた通り一般には二つの性格を併せ持つことが多いです。

自己都合退職時の退職金について

自己都合退職時、退職金はどうしても会社都合や定年のそれに比べて安くなりがちです。

そのような制度設計は法律上どのような評価を受けるのでしょうか。

ここでは、自己都合退職時の退職金の法的問題について説明していきます。

自己都合退職の場合の退職金に関する規定

一般に自己都合退職の場合、退職金の額は定年時や会社都合のそれと比べて安くなりがちですが、このような規定は合法なのでしょうか。

この規定の合理性を判断するには先に述べた退職金の性格を考慮する必要があります。

特に功労報償的性格からして、自己都合退職は退職の事由という観点のみからすると、確かに会社として望ましくない場合も多く会社からの評価としてマイナスになってしまうことは否めません。

そのことからも特に自己都合退職時の退職金の額を定年や会社都合のそれと比べて安くすることは一般には合理性を有し適法のものと解されます。

もっとも、注意が必要なのは自己都合退職とは言ってもこれまでの会社への貢献は消えることはないということです。

あくまでも退職金の減額はその減額事由が会社に対する功労を抹消する限度で認められるに過ぎないのですから、自己都合退職の場合一律に退職金を満額支給しないというような「自己都合退職という事由のみ」を以て著しく退職金を減額する規定がある場合、違法と解される可能性は高いです。

適正な運用について

この問題は自己都合退職の場合に限られませんが、会社は退職金に関する制度を就業規則によって定める際、退職金制度が「(適用される)労働者の範囲」、「退職手当の決定、計算及び支払の方法」、「退職手当の支払の時期」を明示しなければならないとされています。(労働基準法89条3号の2)

使用者は一度これを定めると、この基準によって適正に退職金制度を運用しておく必要があります。

したがって、書いていないこと、例えば自己都合退職時に退職金を減額する旨の規定が就業規則にないのに、労働者の退職理由が自己都合で気に入らないからと言って勝手に退職金を減額することは許されませんし、自己都合退職時退職金減額条項があったとしても、減額の程度は上基準によって適正に客観的に判定される必要があります。

退職金の支払がおかしいと思ったら

このように自己都合退職であっても一部退職金は受けられるのが原則です。自己都合退職時に退職金の額がおかしいと思ったら、まず会社の就業規則を見せてもらいましょう。(会社には労働者に求められれば就業規則を「見せる」義務はあります。)

そして就業規則を見ても納得がいかない場合にはすぐに弁護士に相談しましょう。退職金制度は細かい法的分析が必要になりますし、時効が決まっている(労働基準法115条)ので早急な対処が望ましいです。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。