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退職勧奨でパワハラを受けたら?具体例と対処法を解説

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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この記事でわかること

  • 退職勧奨で強い表現や直接的な表現、長時間にわたる拘束等が行われた場合、パワハラだと判断される可能性が高い
  • 退職勧奨が労働者の名誉感情を傷つけるやり方をしている場合、または労働者が退職するか否か自由な意思形成を阻害する場合、パワハラだと判断される可能性が高い
  • 退職勧奨はあくまでもお願いなので、明確に拒絶の意思を示しても問題ない

退職勧奨とは俗にいう「肩たたき」を指し、会社側が労働者に対し「申し訳ないが辞めてくれないかな」と退職をお願いする行為のことです。退職勧奨自体は単なるお願いに過ぎず、応じる義務はありません。

しかし、退職勧奨に拒否の姿勢を示すと、ときに激高した会社からパワハラまがいの行いを受ける場合もあります。今回はパワハラに該当する退職勧奨はどのようなものか、退職勧奨のパワハラを受けた場合にどう対処すべきか解説します。

大見出し1パワハラに該当する退職勧奨の具体例

パワーハラスメントとは、会社での権力関係を背景に業務上の指示・命令を越えた嫌がらせを行い、部下等に精神的・肉体的な苦痛を与える行為を指します。退職勧奨時は言動がエスカレートしやすいので、パワハラが起こりやすいシチュエーションです。

退職を促すにとどまらず職場内の上下関係を利用し退職を強要する行為は、パワハラに該当する可能性が高いです。ここでは、退職勧奨の行為に違法性があり、損害賠償責任を命じられた判例を紹介します。どの程度の行為があればパワハラに該当する退職勧奨行為なのか判断する際の目安になるので、ぜひご覧ください。

中見出し1日本航空事件(東京高裁平成24年11月29日判決)

日本航空の契約社員が、上司からの退職勧奨が不法行為に該当するとして、上司及び会社に対し慰謝料500万円の支払いを求めた事案です。上司との長時間面談の中で従業員が言われた「いつまでしがみつくつもりなのかな?」「懲戒になると会社を辞めさせられたことになるから、それをしたくないと言っている」「この仕事はもう無理です。記憶症であるとか若年性認知症とか」といった言動が、違法な退職勧奨に当たると判断されました。ただし本案件は原告にも落ち度があったことから、慰謝料は大幅に減額となり、最終的に20万円に落ち着いています。上記の言動は度重なる注意や寝坊による遅刻をしでかした数日後に行われたため、会社側にも一定の理解を示しています。

この事例から言えるのは、仕事のできなさを理由に部下を障害者呼ばわりする行為は、さすがに限度を超えておりパワハラに該当する退職勧奨だと判断されやすいという点です。また、面談時間が長時間に及んだことも判決に影響を与えています。強い表現や直接的な表現、長時間の拘束等が退職勧奨で行われた場合、違法な退職勧奨だと判断される可能性が高いです。

中見出し2下関商業高校事件(最高裁昭和55年7月10日)

下関商業高校事件では、自主退職を拒否した教員に対し、10回以上も職務命令として教育委員会への出頭を命じられたり、1人ないし4人から、20~90分にわたって退職勧奨が行われました。代替措置もないまま退職まで勧奨を続けたり、勧奨に応じなければ組合の要求にも応じないといった態度を取ったことが、退職強要に該当すると判断されています。

判決では「労働者の名誉感情を傷つけるやり方をする場合」または「労働者が退職するか否か自由な意思形成を阻害する場合」、退職強要行為に違法性が認められ、損害賠償責任が発生するとしています。こういった行為は社会通念上相当だと言える範囲を逸脱しているためです。

上記の基準に照らし合せると「普通は辞表を出すべきだ。迷惑だとは思わないのか。」と罵倒されたり、退職勧奨に応じない従業員を無視して仕事から外すといった行為を受けていたりすると、この退職勧奨行為はパワハラに該当する可能性が高いと言えます。

大見出し2パワハラに該当する退職勧奨を受けた場合

パワハラに該当する退職勧奨がどのような行為か、ご理解いただけたでしょうか?自分が受けた退職勧奨がパワハラなのかなと感じた場合、適切な対処を取る必要があります。パワハラに該当する退職勧奨を受けた場合、取るべき対処法を紹介します。

中見出し1拒絶の意思をはっきりと示す

パワハラまがいの退職勧奨を受けたら従う必要はないので、拒絶の意思をはっきりと示してもらって大丈夫です。もとより、退職勧奨はお願いであり、従うべき性質のものではありません。嫌がらせを受けたとしても、退職する気が無いのであれば、きっぱりと断ってしまえば良いのです。強い口調で迫られたり暴力的な言動を取られたりすると、つい気圧されて反論できなくなりがちです。

しかし、拒絶の姿勢を明確にせずなあなあな態度を取り続けると「断らなかったから強要を続けた」「断ってもらえば退職勧奨を続けなかった」など、会社側の反論を認めることになります。絶対に辞めないんだという強い意志を持ち、きっぱりと拒絶の姿勢を示しましょう。

中見出し2パワハラの証拠を入手する

拒絶の意思を示してもしつこく退職勧奨が続く場合、自分だけではどうしようもないので、外部機関に頼らなければなりません。しかし、相談しても口頭で聞いた内容だけでは、証拠として不十分なので外部機関も動いてもらえない可能性が高いです。このため、何とかしてパワハラの証拠を入手する必要があります。

退職勧奨や不利益処分について記載された書面を見つけられれば一番です。無ければ、パワハラの音声を録音してデータに残すことが効果的になります。何度も続けて社長や上司等から退職勧奨を受けていたら、まずボイスレコーダーを用意しましょう。ポケットに忍ばせるほか、毎回退職勧奨が行われる場所の近くの見えないところにボイスレコーダーを隠しておくと良いでしょう。

職場で録音する行為は法律に違反してはいないですが、就業規則で「録音行為は違法である」と規定されている可能性があります。こういった職場で録音行為が見つかってしまうと、就業規則違反で処罰を受ける可能性があります。また、録音が見つかったら口封じに、さらに威圧的な言動がエスカレートする可能性も否定できません。録音行為は絶対、上司には見つからないように注意しましょう。

しかし、たとえ就業規則で録音が禁止されている会社だとしても、従業員に対する安全配慮義務があるため、パワハラへの対応を目的とした録音は認められる可能性は高いです。パワハラへの対応が目的の録音は、不当な目的ではなく正当な目的だと考えられるためです。就業規則で録音したら懲戒処分と定められていても、パワハラが目的の録音であれば、懲戒処分を免れられる可能性が高いでしょう。

中見出し3弁護士に相談する

退職勧奨によるパワハラを受けたら、早めに弁護士に相談しましょう。パワハラに我慢を続けていたら心身ともに疲弊し、下手したらうつ病などの精神疾患を発症する可能性もあります。早い段階で外部機関に相談し、適切なサポートを受けるべきです。外部機関には弁護士以外にも、労働基準監督署も考えられます。労働基準監督署は労働関係法令違反に該当する場合のみ対処してくれるので、パワハラなど法的にグレーな行為について相談しても答えをもらえない可能性が高いです。弁護士ならば、違法とは断言できないパワハラに対してもきちんと対処してくれます。一口に弁護士と言ってもそれぞれ専門分野があり、パワハラをはじめとする労働問題に強い弁護士とそうでない弁護士が存在します。パワハラの相談は労働問題に強い弁護士にお願いしましょう。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。