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この記事でわかること
経営悪化に陥った会社が社員をリストラする、ということをたまに聞きます。
この社員をクビにする「リストラ」は法的に「整理解雇」と呼ばれており、非常に厳しい制約を課されています。
本記事においては整理解雇の特徴や、いわゆる整理解雇の4要件、そして整理解雇された場合の対処法について分かりやすく解説していきます。
目次
そもそも整理解雇はどのようなものでしょうか。
以下では解雇の主な態様を簡単に説明し、整理解雇がどのような特徴を持つか解説していきます。
解雇とは労働契約の解約のうち、使用者からなされるものを指します。
解雇には大きく分けて①懲戒解雇、②普通解雇、③整理解雇の3つが挙げられ、一般に①から順に労働者の帰責性(悪いところ、という意味です。)が小さくなっていく傾向があります。(もっとも例外は大いにあるので注意が必要です。)
すなわち、①懲戒解雇は労働者が何らかの非違行為を行った際、会社からの制裁としてなされるもので、②普通解雇は労働者の会社との不適合(遅刻が多い、同僚たちとの相性が悪いなど)を理由にするものです。
上にあげた①懲戒解雇、②普通解雇と異なって③整理解雇とは会社の経営悪化などを理由に(場合によっては)労働者に何の落ち度もないにもかかわらず解雇することを特徴としています。
まさに経営難のさなか行われる「リストラ」は、この整理解雇にあたることになります。
まず前提として全ての解雇は労働契約法16条の解雇権濫用法理という制限を受けます。
第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
整理解雇は解雇の中でも労働者の帰責性が小さいこともあって、判例ではこの労働契約法16条をさらに具体化し、厳格化したものとして、以下の4要件を満たさなければ整理解雇は無効になる、としています。(これを整理解雇の法理といいます。)
①人員削減の必要性
②解雇回避努力
③人選の合理性
④手続の妥当性
以下でこの4要件について詳しく解説します。
前述の通り、整理解雇が有効なものとして扱われるのは「4要件」を満たす場合のみとされています。
以下では、4要件を一つずつ解説していきます。
同要件はそもそも整理解雇する必要があるのか、という観点から判断されるものです。経営悪化という名目で労働者をクビにしたいだけと疑われるような事情がある場合、同要件が認められないことが多いです。
例えば、整理解雇をおこなうといっておきながら、なぜか新入社員を受け入れているような矛盾行動がある場合が「名目だけの整理解雇と疑われる事情」にあたります。
次に解雇以外の方法がなかったかという要件があります。
具体的に同要件では、整理解雇を行う前に、残業の削減や、新入社員の受け入れ停止、配転や出向、非正規社員の雇止めや解雇、一時休業、希望退職制度の活用など会社の体制を解雇せずに立て直すことは可能か、という判断がなされます。
解雇回避努力はあくまで正社員が一次的に対象とされており、この点において非正規社員は不利に扱われます。
(整理解雇の場合、非正規社員から解雇してもやむを得ない、という考え方があります。)
同要件では、整理解雇の対象となる人選が恣意的になされていないかという点が判断されます。
すなわち、同要件により使用者にはまず整理解雇で解雇が必要な人数を確定し、どのような基準で解雇が行われるのかを客観的に定めることが求められます。
この基準として「やる気」などの使用者の恣意的判断でどうとでもできるものは同要件の言う合理性が否定される場合が多いです。
4要件の中でもこの要件は特に問題となることが多いです。
すなわち、ここでは使用者に労働者に対して誠実に対応する義務(民法1条)があるという前提のもと、特に非違行為もなく労働者の地位を失わせる整理解雇という場面では、労働者たちに対して整理解雇の内容を確実に伝える必要があると考えられているのです。
具体的には、人員整理の必要性、解雇回避の方法、整理解雇の規模や人選方法、時期などを労働者が納得するまで説明しなければならないとされています。
場合によっては、整理解雇の対象となる労働者に対して十分な意見を聞いていないという事情から、この「手続の妥当性」がないと判断される場合もあります。
では上の4要件を満たさないと思われる整理解雇を受けてしまった場合、どのように対処すればいいでしょうか。
まずは弁護士に相談してみましょう。仮に不当な整理解雇かどうか判断できないというような場合でも弁護士であれば判断ができますし、何より整理解雇に関する紛争を一任できます。
他にも労働基準監督署や労働組合など相談先として考えられる機関もありますが、全ての人が安定して、迅速な対応が可能なのは弁護士への相談です。
整理解雇が4要件を満たさず、労働契約法16条により無効と判断される場合、①会社への復帰(労働者としての地位が存続していることの確認、解雇期間働けなかった分の賃金請求(民法536条2項))、②無効な整理解雇により損害を被ったとして、会社に対して損害賠償請求をすることが考えられます。
みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。