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この記事でわかること
軽度のうつ状態であれば治療を受けながら仕事を続けられるかもしれませんが、重度のうつ病では仕事ができず退職して治療に専念しなければなりません。そうなった時に、一番の悩みの種になるのが収入面です。貯金もろくにない状態では、治療に専念するどころかお金の心配で不安な気持ちが増幅されていきます。今回はうつ病で仕事ができない方向けに、利用可能な公的支援制度を紹介します。手当を受けられる制度のほか、医療費を減らすことが可能な仕組みも合わせて紹介するので、ぜひご一読ください。
うつ病で仕事ができない時に利用できる経済的支援制度を3つ紹介します。なかには仕事を辞めなくても手当を受け取れる制度があるので、休職しながらうつ病を療養させたいと考えている人も読んでみてください。
傷病手当金とは、病気やケガを理由に働けなくなった時に、休業中の生活費等を保障してくれる制度です。傷病手当金では仕事を休んでいながら、通常の給料の3分の2に相当する金額を、最大1年6ヵ月間にわたって受給できます。傷病手当金は会社が運営する健康保険制度の一種なので、条件に当てはまりさえすれば、会社員や公務員は誰でも利用可能です。傷病手当金の支給条件は以下の4つです。
業務外の病気やケガを理由とする休業であること
仕事につけない状態であること
4日以上(連続する3日を含む)休んでいること
休んだ期間に給与の支払いがないこと
業務外に生じた事由であれば、うつ病などの精神疾患も傷病手当金の対象です。業務上生じた理由が原因の病気やケガは労災保険の範疇になるため、傷病手当金は対象外となります。また、傷病手当金は4日以上休んでいなければ、もらえません。ただ4日間休むだけでは足りず「3日連続して休んだ上で、4日以上休んでいること」が条件になります。3日連続して休んだ期間を待期期間と呼びますが、翌日(4日目)から傷病手当金を支給する権利が発生します。
傷病手当金は、会社に復帰できず途中で退職したとしても仕事ができない状態が続いていれば、受給開始日から1年6ヵ月以内は引き続き受給できます。ただし、退職後も傷病手当金を受け取るためには、健康保険の被保険者期間が1年以上あることが条件です。
障害年金とは病気やケガが理由で満足に生活や仕事ができない状態に陥ってしまった場合に、受け取れる年金です。年金というと65歳以上でなければもらえないイメージがありますが、障害年金は現役世代でも受け取れます。うつ病で障害年金を請求するためには、満たす必要がある条件があります。まずうつ病に限らず、どの病気でも満たさなければいけない前提条件は以下の2つです。
初診日要件:障害の原因となる傷病の初診日が、国民年金もしくは厚生年金の被保険者期間中であること
保険料納付要件:年金の保険料を加入期間の3分の2以上納めていること。上記が満たさなければ、直近1年以内に滞納がないこと
いくら症状が重くても、初診日要件と保険料納付要件の2つを満たしていなければ、障害年金は受け取れないので注意してください。
障害年金は「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2つに分かれます。医師の初診を受けた日に国民年金に加入していた方は障害基礎年金を、厚生年金に加入していた方は障害基礎年金に加え、障害厚生年金を受給できます。また障害年金は、障害の程度によって定められた等級(区分)によって支給額が異なる点も特徴です。障害の等級は1級~3級に分かれ、障害の状態が最も重度なのが1級、最も軽度なのが3級です。
障害年金の支給額は毎年変更が加えられます。令和2年における障害基礎年金の支給額は、障害等級1級の場合「977,125円(月額81,427円)」、2級の場合「781,700円(月額65,141円)」となります。さらに子の加算と言って、高校卒業前の子供がいる場合は加算額が支給されます。障害基礎年金は障害の程度が3級の場合、支給を受けられないので注意してください。
障害厚生年金は障害基礎年金と異なり、人によって支給額が変わります。その人が納めていた年金保険料の額などに左右され、一般的には給与が高かった人や長年勤務していた人が年金を多く受け取れます。障害厚生年金は3級の人でも、最低補償額を受け取ることが可能です。
生活保護は病気やケガで働けない人や、収入が著しく減少して生活が苦しい人などに対して現金が支給される制度です。生活保護の支給を望むならば、お住まいの市区町村の福祉事務所で手続きを行う必要があります。生活保護を受けるには、以下の4つの条件を満たさなければなりません。
援助してくれる身内、親族がいないこと
資産が全くないこと
収入が最低生活費を満たしていないこと
病気やケガなどを理由に働けないこと
4つの条件のうち、疑問を抱くのが最低生活費とは何かという点でしょう。最低生活費とは「健康で文化的な最低限度の生活」(憲法25条)を営むために必要な生活費のことで、毎年厚生労働省が金額を示しています。最低生活費の金額は、地域や世帯構成によって金額が異なります。最低生活費から労働等による収入額を差し引いた金額が、主に生活保護費として支給されます。
うつ病にかかると、定期的に通院したり投薬治療を受けなくてはならない場合があります。うつ病の方が利用できる公的支援制度には、直接金銭の支給を受けるだけでなく、必要となる医療費を助成してくれる制度もあるので紹介します。
自立支援医療制度とは、精神障害や身体疾患の方を対象にして医療費の上限を規定し、それ以上患者が負担をしなくてすむように公費を捻出してくれる制度です。通常の公的医療制度では患者の自己負担額は3割とされていますが、自立支援医療制度では原則1割まで制限されます。さらに世帯所得によって区分が設けられており、所得が一定額以下の人には、別途で1ヵ月当たりの自己負担額の上限が設定されています。例えば、1ヵ月の医療費として診療費に3,000円、投薬費に7,000円かかったとしましょう。1ヵ月の自己負担額の上限が5,000円に設定されていれば、上限を越える5,000円分については自分で支払う必要はありません。うつ病で仕事ができず、かつ治療のための通院が必要な状況の方は、自立支援医療制度の利用をおすすめします。
重度心身障害者医療費助成制度とは、都道府県や市町村が実施主体となり、心身に重度の障害がある方向けに医療費の助成を行う制度です。対象となる障害の程度や助成の内容は、お住まいの都道府県や市町村によって異なります。一般的には、身体障害者手帳や精神障害者保健福祉手帳の所持者を対象とする場合が多いようです。また、受給には所得制限が設けられている場合もあります。自分が住む地域の重度心身障害者医療費助成制度について知りたい方は、お住まいの市区町村の障害福祉課などに問い合わせてみてください。
みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。