不当解雇・退職勧奨
お悩みお聞かせください

無料相談窓口(24時間全国対応)

※伺った事情をもとに、ショートメールメッセージ(SMS)か電話にて専門員が返答いたします

※ユニオンとしてご対応が難しいものでも、適切な相談先をお伝えしますので、まずはご連絡ください

懲戒解雇されると給料はどうなる?損害賠償請求を受けた場合の注意点

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

1066 2

この記事でわかること

  • 懲戒解雇されても、それまでに発生している給料については請求できる
  • 懲戒解雇されると、退職金が支払われない場合がある
  • 会社から損害賠償請求を受けた場合であっても、給料との相殺は原則として禁止されている

懲戒解雇となると、職を失うことはもちろんですが、それまでに働いた分の給料が支払われるかどうかが心配だという方もいらっしゃるでしょう。

この点、労働基準法は、懲戒解雇と給料をまったく別の制度として考えています。

とはいえ、懲戒解雇となった以上、会社から損害賠償請求を受ける可能性もあるため、労働者は適切に対応することが必要です。

今回の記事では、懲戒解雇と給料の関係を中心に、会社から損害賠償請求を受けた場合の注意点についても触れながら解説します。

懲戒解雇されると給料はどうなる?

懲戒解雇処分は、その人にとって職を失うことを意味するため、自身に非があるとはいえ、大変ショックな出来事です。

加えて、給料を支払ってもらえないのではないかと不安にもなります。

懲戒解雇とは?

「懲戒解雇」とは、労働者が会社の規律に違反した場合や犯罪を犯した場合などに、会社がその労働者を解雇することをいいます。

懲戒処分には、戒告や減給などのように会社に残ることを前提とした処分もありますが、懲戒解雇は懲戒処分の中でももっとも重く、会社を辞めさせられることになるのです。

横領をした会社員が懲戒解雇処分を受けたという報道を見たことがあるという人もいると思います。これは、横領という犯罪を犯した社員に対して、会社が懲戒解雇処分にしたことを意味しているのです。

懲戒解雇と給料の関係

懲戒解雇処分は、労働者に非があることを理由としてなされる制裁的な意味合いの強い処分です。そのため、これから支給される予定の給料を支払ってもらえないのではないかと思う人もいると思います。

ですが、「給料」というものは、労働の対価として会社から支払われるものであって、会社はその全額を労働者に支払う義務を負っているのです(賃金全額払いの原則 労働基準法24条1項)。

たとえ懲戒解雇処分を受けたとしても、働いた分に相当する給料については支払いを受けることができます。

退職金が支給されない可能性はある

退職金制度を設けている会社では、就業規則において、退職金に関するルールを定めていることが通常です。そのルールの一つとして、「懲戒解雇処分となった場合には退職金を支給しない」といった趣旨の規定が置かれている場合があります。

このような場合、会社側は退職金を支給しない可能性が高いです。

ですが、「退職金」は長年の功労に対する報酬的性格がある一方で、給料の後払い的性格もあります。

そのため、退職金を一切支給しないという扱いは、先に見た「賃金全額払いの原則」に反する可能性があるのです。

この点について、「労働者のそれまでの功労をすべて打ち消すほどの背信行為があったと認められるような場合でないかぎり、退職金を不支給とすることは許されない」と判示した裁判例もあります。

懲戒解雇と損害賠償請求|給料との相殺は?

懲戒解雇処分を受けても、その時点で発生している給料については、労働の対価として受け取ることができます。

ですが、懲戒解雇となった理由次第では、会社側から損害賠償請求を受ける可能性があることに注意が必要です。

会社から損害賠償を請求されるケース

懲戒解雇処分を受ける理由としては、度重なる規律違反や犯罪などが代表例ですが、その行為が原因となって会社に損害を与えてしまうことがあります。

たとえば、業務上横領罪は、会社のお金を使い込んでしまった場合に成立する犯罪です。この場合、使い込んだお金がそのまま会社の損害となりますので、会社はその損害を回復するために、お金を使い込んだ社員に対して、損害賠償を請求することがあります。

このように、懲戒解雇処分の理由となる行為によって、会社に損害が生じた場合には、会社から損害賠償請求を受ける可能性があり、「給料を支払ってもらえるか」などと心配をしている場合ではなくなるのです。

損害賠償請求をされた場合の注意点

会社から損害賠償請求をされた場合、注意しなければならないことがあります。

それは、自身の行為によって本当に会社に損害が生じているのか、また、損害が生じているとしてその請求額は妥当なのか、ということです。

会社が懲戒解雇とした労働者に対して損害賠償を請求するためには、少なくとも会社に「損害」が発生していることが必要になります。

「会社を裏切った」「許せない」などと感情的になって、会社に損害が発生していないにもかかわらず、労働者を苦しめる目的で損害賠償を請求するケースもあるのです。

また、会社に損害が発生していることは確かであるものの、その損害を高く見積もって請求してくるケースもあります。

損害賠償請求は金額が高額に上ることも多いため、請求に応じる前に、以上の点について会社側に根拠の提示を求めるなど、適切に対応することが重要です。

損害賠償金と給料との相殺は原則として禁止されている

先に見たように、懲戒解雇にしたからといって、その時点で労働者に発生している給料については、会社はきちんと支払わなければなりません。

それでは、会社が労働者に対して損害賠償債権を持っている場合、未払い給料と相殺することはできるのでしょうか。

この点も、「賃金全額払いの原則」というルールが関係してきます。

給料というものは、あくまでその全額を直接労働者に支払わなければなりません。

そのため、労働者の給料を対象として相殺することは「賃金全額払いの原則」に反するため、原則として禁止されています。

もっとも、例外的に給料との相殺が許される場合もあります。

それは、労働者が給料との相殺に同意している場合です。

判例上は、労働者の合意があり、その合意が労働者の自由意思に基づいてなされたものである合理的な理由が客観的に存在する場合には、賃金全額払いの原則に反しないとされています。

懲戒解雇を理由に給料を支払ってもらえない場合の対応

会社が労働者を懲戒解雇とした以上、労働者にはその理由となった行為が存在します。懲戒解雇は、会社側にとってその労働者に見切りをつけたことを意味するため、あまり良い感情を持っていないことが多いでしょう。

その表れとして、それまでに発生している給料を支払わないケースもあります。

このような場合、懲戒解雇処分を受けたとはいえ、労働者は毅然と対応することが必要です。

労働基準監督署に相談する

先に見たとおり、懲戒解雇処分を受けたとはいえ、それまでに給料が発生している場合には、会社は労働者に対して給料を支払わなければなりません。

懲戒解雇を理由に給料を支払ってくれない場合には、労働基準監督署にその旨を相談することができます。

タイムカードや勤怠状況など給料が発生していることがわかる証拠を持参することにより、労働基準監督署から会社に指導・勧告を行ってくれることがあるのです。

総合労働相談コーナーに相談する

「総合労働相談コーナー」は、各都道府県に設置されている相談窓口です。労働基準監督署と同様、会社に指導を行ってくれる場合もあり、状況によっては弁護士などの専門家をあっせんしてくれます。

弁護士(法テラス)

労働基準監督署や総合労働相談コーナーに相談しても埒があかないこともあります。そのような場合には、弁護士に相談することも一つの選択肢です。

たとえば、法テラスや弁護士会、自治体などにおいて定期的に開かれている法律相談を利用することが考えられます。

弁護士に正式に依頼する場合には弁護士費用がかかりますが、代理人として会社と直接交渉を行ってくれるため、早期解決を期待することができるのです。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

詳しくはこちら

みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。