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長時間労働者に対する面接指導とは|定義や罰則を解説

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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この記事でわかること

  • 一般労働者は、時間外・休日労働時間が月80時間を超えた場合に医師による面接指導の対象となる
  • 一般労働者が面接指導を受けるには申し出をする必要がある
  • 労働者が面接指導を受けることや受けた結果に対して会社が不利益な取り扱いを行うことは禁止されている

長時間の労働は、脳や心臓疾患などの発症との関連が強いとされていることから、事業者は長時間労働者に対して医師による面接指導を行うことが義務付けられています。

面接指導とは、医師による問診やその他の方法により心身の状態を把握して、これに応じた必要な指導を行うことをいいます。

では、長時間労働とは具体的にどの程度の労働時間であるのか、また会社が長時間労働者に対して面接指導を行わなかった場合の罰則はあるのでしょうか。

併せて解説します。

面接指導の対象となる長時間労働の定義と算定方法

面接指導は産業医か産業医の要件を備えた医師が行うのが望ましいとされています。

どの程度の労働時間が長時間労働とされるかは、以下の条件によって異なります。

①監督管理者・裁量労働制を含む一般労働者

②研究・開発業務に従事する労働者

③高度プロフェッショナル制度が適用されている労働者

それぞれ見ていきましょう。

①管理監督者・裁量労働制を含む一般労働者

管理監督者・裁量労働制を含む一般労働者は、時間外・休日労働時間が月80時間を超えた場合に医師による面接指導の対象となります。

管理監督者とは、企業においてマネジメントの業務に従事している労働者のことです。

企業の中で相応の地位と権限が与えられて、経営者と一体的な立場と評価される労働者が管理監督者に該当します。

管理監督者は、労働基準法第41条によって労働時間、休日に関する規制は適用されませんが、長時間労働による面接指導の対象になります。

次に、裁量労働制です。

裁量労働制とは、簡単にいうとみなし残業制のひとつです。

裁量労働制では、労働時間が長くても短くても、契約した時間分を働いたとみなされます。

しかし、裁量労働制であっても、実労働時間が法定労働時間に対して月80時間を超えていた場合は面接指導の対象となります。

これら時間外・休日労働時間が月80時間を超えた労働者本人に対して、会社は当該超えた時間に関する情報を通知しなければなりません。

そして、当該労働者が面接指導を希望した場合は、医師による面接指導を実施する義務が生じます(労働安全衛生法第66条の8、労働安全衛生規則第52条の2)。

②研究・開発業務に従事する労働者

新技術や新商品、新サービスの研究・開発業務に従事する労働者は、36協定で定められている時間外労働の上限が適用されません。

研究・開発業務では、特定の時期に業務が集中しがちで、業務の性質からいって限度時間の適用になじまないためです。

つまり、36協定の上限である1か月45時間、1年360時間を超える時間外労働の総枠を定めることも可能です。

しかし、月の時間外・休日労働時間が月に100時間を超える場合は、医師による面接指導を当該労働者に行う義務が会社には生じます(安全衛生法第66条の8の2、安全衛生規則第52条の2)。

これは、①の一般労働者と違い労働者が申し出なくても生じる義務です。

また、80時間を超える時間外・休日労働時間の場合は労働者が申し出た場合、会社は医師による面接指導を当該労働者に行わなくてはなりません(労働安全衛生法第66条の8、労働安全衛生規則第52条の2)。

上記①の一般労働者と同じように、月の時間外・休日労働時間が80時間を超える場合は、労働者に通知する義務が会社には生じます。

③高度プロフェッショナル制度が適用されている労働者

高度プロフェッショナルとは、一定の年収以上(年収1075万円を想定)の要件を満たした高度な知識を要する専門職について、労働時間に基づく制限を撤廃する制度です。

この制度は、時間外・休日・深夜の割増賃金などの適用を除外する法的効果を有します。

しかし、月の実働労働時間が法定労働時間に対して月100時間を超えた場合は、医師による面接指導を行う義務が会社側に生じます(労働安全衛生法第66条の8の4、労働安全衛生規則第52条の8)。

また、労働者が面接を申し出なかった場合でも、②の研究・開発業務に従事する労働者と同じく、時間外・休日労働が100時間を超える場合は、会社側には労働者が申し出るかを問わず面接指導を行わなければなりません。

会社の努力義務

上記のように、月の時間外・休日労働時間が80時間ないしは100時間を超えなければ、医師による面接指導やそれに準ずる措置を受けることはできないのでしょうか。

労働安全衛生法では、次のように企業に対する努力義務を定めています。

  • ①の管理監督者・裁量労働制を含む一般労働者や②の研究開発業務従事者は会社が自主的に定めた基準に該当する者(労働安全衛生法第66条の9、労働安全衛生規則第52条の8)。
  • ③の高度プロフェッショナル制度が適用者されている労働者に関しては、月100時間未満の時間外・休日労働であっても、面接を希望した者(労働安全衛生法第66条の9、労働安全衛生規則第52条の8)。

あくまで努力義務なので、会社側に直接的な罰則があるわけではありません。

しかし、労働者に健康障害が発症した際に会社側が努力義務を怠ったとして、損害賠償請求を行うことができる可能性があります。

時間外・休日労働時間の算定方法

月あたりの時間外・休日労働時間の算定は毎月1回以上、一定の期日を定めて行わなければなりません。

計算方法は以下の通りです。

1か月の時間外・休日労働時間数=1か月の総労働時間数-(計算期間1か月の総歴日数/7)×40

※1か月の総労働時間数=労働時間数(所定労働時間数)+延長時間数(時間外労働時間数)+休日労働時間数

例)2021年3月に84時間の時間外労働(残業)と24時間の休日労働時間を行ったケース

総歴日数:31日(3月1日~3月31日)

所定労働時間数:23日×8時間=184時間

1か月の総労働時間:184+84+24=292時間

1か月の時間外・休日労働時間数=292-(31/7)×40≒115時間

上記の例だと、時間外・休日労働時間数は115時間ということになります。

面接指導後に会社が負う義務と罰則

面接指導前における会社側の義務や努力義務を解説しました。

では、面接指導後における会社の義務や、会社が面接指導を行う義務があるにも関わらず面接指導を行わなかった場合の罰則について確認しましょう。

面接指導後に会社が負う義務

会社は、医師からの意見を取り入れて、必要があるときは事後措置の実施をする義務があります。

事後措置は、当該労働者の就業場所の変更や作業の転換、労働時間の短縮、休職などが挙げられます(労働安全衛生法第66条の10の6項)。

会社は面接指導の結果を作成して、5年間は保存しなくてはなりません。

労働者が面接を希望した際に、その後労働者に対して不利益な取り扱いをすることも禁止されています(労働安全衛生法第66条の10の3項)。

また、労働者が面接指導を受けないことなどを理由として不利益な取り扱いをすることや、面接指導の結果による解雇や雇止め、不当な動機に基づいた配置転換を行うことも禁止されています。

会社が面接指導を行わない際の罰則

月あたりの時間外・休日労働時間が100時間を超える研究開発業務従事者や高度プロフェッショナル制度適用されている労働者は、労働者の申し立てに関係なく面接指導を行う義務が会社にはあります。

この面接指導義務に違反した場合、50万円以下の罰金が規定されています(安全衛生法第120条1号)。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。