不当解雇・退職勧奨
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退職勧奨を受けたらどのような断り方をすればよいか?

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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この記事でわかること

  • 「退職勧奨」とは使用者からの合意解約の申し込みである。
  • 「自由な意思形成を阻害する」退職勧奨は違法である。
  • 退職勧奨を受けた場合の対処法

不況等のために会社から退職を打診された場合,労働者はどのように断ったらいいのでしょうか。このような働きかけは「退職勧奨」といわれます。

辞めたくないのにあまりにもしつこく退職を促される場合,法的に問題はないのでしょうか。

退職勧奨とは何か

まず退職勧奨とはどのようなケースを指すのでしょうか。

解雇とはどこが異なるのでしょうか。

退職勧奨とは

「退職勧奨(たいしょくかんしょう)」とは,使用者から労働者に対する労働契約の「合意解約の申込み」や「辞職の誘引」であると評価されることが多いです。

つまり,「退職勧奨」とは,会社側が労働者が自発的に退職することを勧めることですので,労働者に退職を強制することはできません。

あくまで話し合いで退職を解消しようとする使用者側のひとつの手段ですので,労働者はこの「勧め」に応じる義務はないのです。

したがって,使用者から退職勧奨されても労働者が退職に応じなければ,雇用契約は終了しませんので従前の労働契約が継続していくことになります。

解雇と退職勧奨の違い

「解雇」とは,使用者が労働者に対して,一方的な意思表示により労使間の労働契約を解消させることをいいます。

この解雇は,使用者側が一方的に行う単独行為ですので,解雇が有効である場合にはその通知によって雇用契約は終了してしまいます。

解雇が有効である場合には労働者がいくら会社に残りたいと抵抗しても雇用契約は終了してしまいます。

解雇は使用者の自由にはできない

上記で説明したように,解雇は労働者にとって非常に大きな影響をもたらすため,法律上,厳しい制限がなされています。

まず,解雇は「客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は,その権利を濫用したものとして,無効とする」と規定されています。(労働契約法第16条)

例えば,リストラ等の企業の経営上の理由に基づく「整理解雇」の場合には,

①人員削減の必要性,②解雇回避努力,③人選の合理性,④手続の相当性という4要素を満たさなければ「社会通念上相当である」とは認められません。

また,企業秩序を乱した場合にされる「懲戒解雇」の場合には,就業規則やその他規程に懲戒解雇の根拠規定があることが必要となります。

さらに,当該懲戒処分が「労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められない場合は,その権利を濫用したものとして,当該懲戒は,無効とする」と規定されています。(労働契約法第15条)

そして,使用者が労働者を解雇しようとする場合の手続では,少なくとも「30日前」に解雇予告をしなければなりません。また,解雇予告をしない場合には30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません。(労働基準法第20条1項)

このように,「解雇」には非常に厳しい制約が法律上課されています。

むやみやたらに会社が「解雇」を選択すると,不当解雇と認定され未払賃金や慰謝料等の損害賠償を請求されるリスクもあります。

そこで従業員が自主的に退職する「退職勧奨」であれば,大きなリスクがないうえに確実に労働者を辞めさせることができるので会社側にとってはこちらを選択するメリットが大きいのです。

退職勧奨が違法となる場合

退職勧奨が違法となる場合については裁判所が判断を示した事案がありますのでここで紹介します。

退職勧奨が違法となる場合

上記で説明したように,退職勧奨は使用者側からの雇用契約の合意解約の申込みであると考えられていますので,労働者がそれに応じるか否かは自由に決定できる限りは違法性の問題は生じてきません。

逆にいえば,労働者の自由な意思形成を阻害するような態様で行われた退職勧奨の場合には違法になると考えられます。退職勧奨が違法と判断された場合には,使用者は損害賠償責任を負わなければなりません。

日本アイ・ビー・エム事件(東京高裁平成24年10月31日)

これは,会社の業績が低迷するなか,リーマンショックの影響を受けて会社は退職勧奨することになった事案についての裁判例です。

この退職勧奨においては,①所定の退職金に加えて最大15か月分の特別支援金を支給し,②再就職支援を受けるという特別プログラムを立ち上げました。

ある労働者はうつ病を発症し在宅勤務を認められていましたが,相対的に業績が低いことと定年退職を控え健康面での不安を抱えながら就労してることを理由にプログラムの対象者とされました。この労働者は定年退職まで約1年半でしたが上司から再三特別支援プログラムに応募するように求められましたがこれを拒否したため,業務改善を求めるメールが送付されてしまった事案です。

この事件に対して裁判所は,以下のように判断しています。

まず,使用者は自由に合意解約の申入れをすることができますが,労働者もその申入れに応じるべき義務はなく,「自由に合意解約に応じるか否かを決定することができなければならない」と判示しています。そして,使用者からの説得に応じるか否かは「労働者の自由な意思形成形成を阻害するものであってはならない」としています。

そのうえで「退職勧奨の態様が,退職に関する労働者の自由な意思形成を促す行為として許容される限度を逸脱し,労働者の退職について自由な意思決定を困難にするものであったと認められるような場合」には労働者の退職に関する自己決定権を侵害すると判断しています。

その場合には使用者は労働者に対して不法行為に基づく損害賠償義務を負うとしています。

なお,この事件では,当該労働者を特別プログラムの対象としたことについては恣意性がなく,退職勧奨の方法も相当であったとして結論として違法性は否定されています。

過去の裁判例では執拗な退職勧奨が行われたとして精神的苦痛があったとして損害賠償が認められたものもあります。

退職勧奨を受けた場合の対処法

それでは退職勧奨を実際に受けた場合にはどのように対応すればよいのでしょうか。会社を辞めたくない場合,辞めてもいい場合で対応は異なりますので以下説明していきます。

退職勧奨に応じない場合

退職勧奨をされた場合,会社を辞めたくないのであれば,退職勧奨を「拒否」し続ければ良いだけです。

前述のように退職勧奨は強制でない限り適法で,退職強制になった段階で違法となります。

会社を辞めたくない場合にははっきりと退職勧奨には「応じない」旨を明示しましょう。会社としては解雇理由がない限りそれ以上なにもすることはできません。

重要なのは会社から退職を打診されても弱気になってその場で返事をしてしまわないことです。もし,会社からの圧力に抗う自信がないのであれば「その場で返事はできない旨」だけを伝えましょう。そのあとは弁護士に相談して対応を依頼することもできます。

退職勧奨に応じる場合

退職勧奨を受け,そのような職場環境には残りたくないと考える労働者もいると思います。退職勧奨に応じて自ら退職する場合には通常よりも多くの退職金を要求するべきでしょう。

また,会社都合退職となれば自己都合退職と比較して失業保険を早期に受けとることができます。この点も確認するべできしょう。

退職勧奨に応じる場合には退職に関する条件面を交渉して少しでも有利な条件になるように進めて「書面化」しておくべきでしょう。

退職勧奨で悩んだ場合は弁護士に相談

退職勧奨を受けて,会社に残りたい場合,退職してもいい場合いずれにしても会社との話し合いや交渉が必要になる場合があります。

あまりにも執拗なケースはパワハラ等別の問題が生じる可能性もあります。

ご自身のケースで退職勧奨に問題がないのか,より良い条件で交渉できるのではないかと悩まれている方は一度労働問題に精通した弁護士に相談してみましょう。

初回の相談であっても適切なアドバイスとサポートを受けることができると思います。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。