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退職金を年金受け取りしながら雇用保険を受給できるか

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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この記事でわかること

  • 雇用保険制度の概要と受給資格・受給手続について
  • 退職金が年金払いの場合,雇用保険と併給はできない
  • 退職の前後で雇用保険の取り扱いが変わる

雇用保険と退職金制度はどのような関係にあるのでしょうか。

離職したあと退職金を継続的に受け取りながら雇用保険も受けとるということは可能なのでしょうか。

雇用保険制度とは?

まず,雇用保険とはどのような制度なのでしょうか。

雇用保険の受給対象となる労働者と受給の手続について解説します。

雇用保険には受給条件がある

雇用保険(基本手当)は,失業した労働者が安定した生活を送りながら早期に就職することができるように給付される金銭です。

しかし,雇用保険は退職すれば必ずもらえる保険ではありません。

雇用保険は以下で詳述するように一定の受給要件を満たす必要があります。

雇用保険(基本手当)の受給要件

雇用保険の基本手当を受給するための資格は,原則として離職前2年間に「被保険者期間」が12か月以上必要になります。

過去に再就職手当等を含む基本手当または特例一時金の支給を受けたことがある場合には,その支給を受けたことがある場合にはその支給後の被保険者であった期間のみが算定されることになりますので注意してください。

また,被保険者期間の計算は,離職の日から1か月ごとに区切った期間に賃金が支払われた日数が11日以上ある月を1か月として計算します。このように計算することで1か月未満の期間となる場合には,その1か月未満の期間の日数が15日以上あり,かつその期間内に賃金が支払われた日数が11日以上あるときはその期間を2分の1か月として計算します。

他方で,倒産・解雇等の理由により離職した場合や,期間の定めのある労働契約が更新されなかったことやその他やむを得ない理由により離職した場合は,離職前1年間に被保険者期間が通算して6か月以上であれば足ります。

なお,離職前2年間(倒産・解雇等の場合には1年間)の間に疾病,負傷,出産,育児などの理由により引き続き30日以上賃金の支払いを受けることができなかった場合は,これらの理由により賃金の支払いを受けることができなかった日数を加えた期間により受給に必要な被保険者期間があるか否かが判断されます。

上記の条件に加えて労働者が「失業状態」にあることが必要です。

「失業状態」とは,

  • 積極的に就職しようとする意思あること
  • 健康状態や環境などいつでも就職できる能力があること
  • 積極的に仕事を探しているにもかかわらず,現在職業に就いていないこと

のすべての条件を満たす場合をさします。

雇用保険(基本手当)の受給手続き

雇用保険(基本手当)を受給するには必要書類を持参し労働者の住居所を管轄するハローワークで申請することが必要になります。

持参物には,離職票と身分証明書のほかに印鑑・写真,預金通帳及びキャッシュカード等が必要になりますのであらかじめ管轄のハローワークに確認しましょう。

雇用保険と退職金の関係

離職の際に支払われる金銭として「退職金」という金銭もあります。

退職金は労働者が離職した際に支払われますが雇用保険制度とは本質的に大きく異なります。

退職金の種類

まず,「退職金」とは,退職に際し,勤めていた会社から支払われる金銭のことを指します。

労働者に対する「賃金の後払い」的な性格や「功労報償」的な性格,さらには「生活保障」的な性格があると言われています。

退職金の有無は会社の就業規則や退職金規定によって定められています。

また,会社によっては退職金を「一時金受け取り」としているケースや「年金受け取り」として支給されるケースもあります。

退職金が年金受け取りとなっている場合には失業保険との関係で調整が必要となる場合がありますので以下で説明していきます。

失業給付と年金は同時には受け取れない

雇用保険の基本手当は,前述のように就労の意思・能力がある労働者に対して所得補償を目的として再就職に向けた積極的な活動を支援するために支給されるものです。

一方で年金は老齢となることにより就業能力が喪失・減退し,職業生活から引退過程にある人に対して所得補償を目的として支給されるものです。

したがって,失業給付と年金を同時に受給することは目的が矛盾してしまいます。

そこで失業保険を受けている期間中は,年金の支給が停止されます。

調整の対象となる年金

ハローワークで失業給付の受給手続を行う場合,老齢厚生年金(特別支給の老齢厚生年金を含む)・退職共済年金・企業年金等の受給権を有する労働者は調整の対象となり併給はできません。

退職前後の労働者と雇用保険

労働者に対する取り扱いは退職の前後で取り扱いが異なりますので説明します。

雇用保険と高年齢求職者給付

まず,60歳以上65歳未満の労働者については,上記で説明したように,退職前の原則2年間に雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上ある方で失業状態にあると認定されれば雇用保険(基本手当)を受給することができます。

他方で,65歳以上の高年齢被保険者が離職して「失業状態」にあると認定された場合には「高年齢求職者給付金」が支給されます。

「高年齢求職者給付金」の支給を受けるためには次の被保険者期間が必要です。

離職の日以前1年間に被保険者期間を通算して6か月以上あることが必要です。被保険者期間とは,雇用保険の被保険者であった期間のうち,離職日から1か月ごとに区切っていった期間に賃金支払いの基礎となった日が11日以上ある月を1か月と計算します。なお,離職の日が令和2年8月1日以降であって,離職の日以前1年間に賃金支払基礎日数が11日以上の月が6か月ない場合は,賃金の支払いの基礎となった時間数が80時間以上の月を1か月として計算します。

雇用保険の失業手当の場合には,雇用保険の被保険者期間に応じて,90日~150日の失業手当が受給できます。

具体的に一般離職者の基本手当の所定給付日数は,以下のようになっています。

1年以上10年未満 90日

10年以上20年未満 120日

20年以上 150日

他方,「高年齢求職者給付金」については,被保険者期間に応じて,30日~50日分の受給となります。

具体的に被保険者期間による高年齢求職者給付金の額は以下のようになっています。

1年以上 50日分

1年未満 30日分

以上より失業保険は最低でも90日分あるのに対して,高年齢求職者給付金は最大でも50日分しかありません。したがって会社を65歳未満で離職するか65歳以上で退職

するかで受給できる金額に差が出てきてしまいます。

高年齢求職者給付金と年金の関係

それでは,高年齢求職者給付金と一般的な雇用保険はどのような違いがあるのでしょうか。

まず,一般的な雇用保険の基本手当は,雇用保険の「一般的被保険者」に対する給付です。

この一般的被保険者が65歳以上になると「高年齢継続被保険者」になります。高年齢求職者給付金は高年齢継続被保険者が失業した際に失業手当の代わりに支給されるものです。

前述のように,基本的には雇用保険の基本手当は年金と併せて受給することができません。「特別支給の老齢厚生年金」であっても失業保険と併給することができないというのがハローワーク及び日本年金機構の見解です。

しかし,「高年齢求職者給付金」は一時金となるためこれを受給しても年金が停止されることはありません。

したがって,年金を受給しながらも受け取れるのが「高年齢求職者給付金」です。

失業給付の受給期間が終了したら年金を受け取れる

雇用保険の基本手当を受給したことで年金の支払いが停止される期間は,求職の申込みをした月の翌月から失業給付の受給期間が経過した月(受給期間満了日の翌日が属する月)または所定給付日数を受け終わった月(最後の失業認定日が属する月)までです。

以上,この記事を読んでも雇用保険を受けるか年金を受けるか判断できない方は是非労働問題に精通した弁護士への相談をお勧めします。適切なアドバイスとサポートが受けられるでしょう。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。