不当解雇・退職勧奨
お悩みお聞かせください

無料相談窓口(24時間全国対応)

※伺った事情をもとに、ショートメールメッセージ(SMS)か電話にて専門員が返答いたします

※ユニオンとしてご対応が難しいものでも、適切な相談先をお伝えしますので、まずはご連絡ください

退職を決意したら、退職前・退職日・退職後にやることをチェック!

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

20190423161439 85a3a496b00d24670b9ed11f95171bdd81621837 1

この記事でわかること

  • 退職前にやることは、大きく分けて「退職の申し出、調整」・「引継ぎ、挨拶回り」・「返却・受領物の確認」の3つである
  • 退職日にやることは、退職前に確認した返却・受領物の対応と、退職前にやることが本当に全て完了しているか等の最終確認、最後の挨拶である
  • 退職後にやることは、年金や保険等の切替えや手続きである

仕事内容のミスマッチ、人間関係のストレス、ライフイベント…理由は様々ですが、労働者にとって「退職」は、珍しいものではありません。

退職すると決めたからには、スムーズに退職したいですよね。

この記事で、退職前から退職後にやることを確認し、気持ちよく退職日を迎えましょう。

退職前にやること、退職後にやること

退職を決めたのであれば、退職までどのような流れになるか、やることは何かをあらかじめ知っておくと、精神的にも非常に楽になります。

それでは、退職前にやることのうち最も大切な「申し出」から、退職後にやることまでを確認していきましょう。

退職前にやること①|申し出、調整

法律上、正社員(無期雇用労働者)であれば、退職の申し出は、退職する2週間前であれば、いつでも申し出ることができます。(民法627条1項)

ただ、2週間前にいきなり申し出る場合、会社側としては、引継ぎ期間が短いことや、欠員補充の時間が十分にとれない等の理由から、通常業務に支障が出る可能性があり、結果として円満に退職することが難しくなる可能性があります。

もちろん、退職する選択をするのは労働者であり、2週間前に申し出れば確実に辞めることができますが、気持ちよく退職するためにも、申し出は1~2か月前にしましょう。

なお、有期契約労働者の場合、基本的に期間が終了するまで退職することはできません。

ただし、やむを得ない理由があれば、契約期間中の退職も認めらます。

もっとも、1年以上働いている場合は、契約期間によらずいつでも退職することができます。(労働基準法137条)

退職の申し出は、口頭でも書面でも構いませんが、会社の就業規則で「退職の意思表示は書面でしなければならない」等を規定している場合は、書面を用意したうえで退職の申し出をしましょう。

書類として申し出る場合は、退職願を作成することになります。

似た言葉に「退職届」や「辞表」がありますが、以下のような違いがあります。

退職願…会社へ退職を打診する書類。退職の申し出の際に提出する

退職届…すでに退職が認められた後、届け出る書類。退職について合意できた後、会社の規定に沿って作成することが多い

辞表…経営層(役員以上)や公務員が職を辞する時に届け出る書類。一般的な会社員である場合は、作成しない

以上をまとめると、退職する1~2か月前に申し出たうえで(書面による意思表示の場合は退職願を提出したうえで)、退職日や、退職前の業務・引継ぎ等スケジュールについて、会社と調整・確認することが、退職前に最初にやることでしょう。

退職前にやること②|引継ぎ、挨拶回り

会社に退職の申し出ができ、退職前のスケジュール等の調整ができたら、次にやることは、引継ぎ・関係各所への挨拶です。

特に引継ぎは、引き継ぐ側の負担を少しでも減らすためにも、早めに状況や今後のスケジュールを説明したうえで、徐々にハンドオーバーできるようにしましょう。

さらに、自分が退職した後も社内で対応できるよう、資料等を作成しておくと、より良いでしょう。

社内である程度引継ぎの見込みができたら、退職前に社外の取引先等関係各所にも退職する旨を伝え、挨拶回りをしておきましょう。

取引先の信頼を失わないためにも、挨拶と同時に、後任者の顔合わせをしておくと、関係性が保たれ、取引先としても後任者としても安心できます。

退職前にやること③|返却・受領物の確認

退職前にやることとして、会社に返却するもの・受け取るものを把握しておくことが挙げられます。

【返却するもの】

健康保険被保険者証

名刺や社員証

制服

通勤定期券(現物支給の場合)

会社貸与PC等

【受け取るもの】

(雇用保険被保険者)離職票…会社を退職したことを証明する書類。ハローワークで失業保険給付の申請を行う際に必要となる証明書。退職前に受け取るのではなく、被保険者でなくなった日(退職日)の翌日から起算して10日以内に会社から交付される

雇用保険被保険者証…雇用保険の加入者であることを証明する書類。転職する場合、転職先に提出するもの

年金手帳(会社が保管している場合)

源泉徴収票

返却や受け取りは、実際には退職日当日に対応することになるでしょう。

退職日にやること|最終確認と挨拶

最終日となるので、退職前にやることが本当に全て完了しているか、引継ぎが問題なくできているか等、最終確認しましょう。

抜けや漏れなく済ませてあれば、「退職前にやること」で確認した返却物と受領物それぞれを返却・受け取り、あとは最後の挨拶をするだけです。

万が一に備えて、退職後の連絡先を上司や後任者にも伝えておくと良いでしょう。

退職後にやること|切り替え等手続き

退職後にやることは、以下の通りです。

年金の切り替え…国民年金への加入

雇用保険の手続き…(離職票を受け取ったうえで)失業の給付受給申請

健康保険の切り替え…国民健康保険への切り替え手続き、もしくは、任意継続被保険者として申請

確定申告…年の途中で退職し、12/31時点で会社に勤めていない場合、その翌年の2/16~3/15に対応する必要あり

退職に関する判例

退職前にやること、そして退職後にやることも確認できました。

スムーズに退職できればそれに越したことはありませんが、特に退職前にやることとして重要な退職の申し出について、会社と争った過去の裁判もみていきましょう。

退職の意思表示(大隈鐵工所事件)

【概要】

労働者Aは、同期入社の同僚Bとともに、会社内でひそかに民青活動をやっていた。

しかし、同僚Bの失踪事件が生じたため、Aは会社の上司から事情聴取を受けた。

この事情聴取をきっかけとして、Aは人事部長Cの慰留を断ったうえで退職願を提出し、人事部長Cはそれを受け取った。

しかし、退職願を提出した翌日に、Aは人事課長Dへ退職願の撤回を申し出た。

人事課長Dは、Aの退職願の撤回を拒否した。

この退職願の撤回が有効になされたか否かが争われた。

昭和62年9月18日に判決が出ている事案です。

結論としては、人事部長CがAの退職届を受理したことで、即時に会社が退職を承諾したとみなし、退職は有効とされ、労働者側は敗訴しています。

この判決のポイントは以下の通りです。

退職願受理の手続きと合意解約の成立時期

労働者の退職の意思表示が合意解約だとすると、成立してしまった場合、その後の撤回は困難になります。

そのため、どの時点で合意解約が成立したのかがポイントになりますが、本件の場合、「人事部長が単独で退職承諾を決定し得ることを認めた規定がある」ことと、「退職願の決裁欄が人事部長の決裁をもって最終的な意思表示とする」ことが認められていました。

よって、人事部長がAの退職願を受理した時点で、労働契約の解約(退職)申込みに対する会社の即時の承認の意思が示された(即時雇用契約の合意解約が成立した)と解されました。

労働者の退職の意思表示の撤回

それでは、労働者が退職願を出した後、熟慮した結果、やはり退職を撤回したいと思った場合、それは許されないのでしょうか。

一般的に、退職の意思表示は、権限ある役職者が承諾するまでであれば、撤回できるとしています。

また、労働契約の解約の合意が成立した(退職が承諾された)場合であっても、就業規則の規定等に、特段の法的根拠が存在する場合は、撤回の余地があると解されることもあります。

本件では、権限ある人事部長が承諾しており、就業規則の規定等特段の法的根拠が存在していなかったため、撤回はできないものとされました。

退職と懲戒解雇(ネスレ日本事件)

【概要】

労働者Aは、会社から、7年前に上司に対して暴行したこと等を理由とする懲戒解雇処分をほのめかされたため、自ら退職届を提出した。

しかしその後思い直し、Aは退職届を取り下げたが、会社側は「合意解約により既に雇用契約は終了した」と取り扱った。

Aは、合意解約は不成立であること等を主張した。

結論から言うと、この事案では労働者側が勝ちました。

ここでのポイントは、労働者がする退職の意思表示が、真意であったかどうかです。

退職の意思表示が本心ではない事を知っていたような場合(心裡留保)は無効であり、勘違い(錯誤)または脅し(強迫)にあたる場合は取り消せます。

本件では、解約の申し込み(退職届の提出)は、懲戒解雇をほのめかした会社側の強迫によるものであるということを理由に、意思表示の取り消しが認められると判断されました。

最後に

退職は労働者にとって一大決心です。

精神的に疲れてしまうことも多くあります。

退職前にやることをしっかり把握し、円満な退職になるよう心がけましょう。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

詳しくはこちら

みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。