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セクハラで慰謝料を請求したい!手元に用意しておくべきものはある?

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

photo displeased young woman frowns face shows fist feels dissatisfied warns about something

セクハラにあった、もしくはあっていて、毎日気分が優れない…。

セクハラは、いくら加害者側が「悪気はなかった」と言い張ったとしても、受けた側は精神的なショックを受けます。

辛い思いをしているのであれば、慰謝料の請求を検討してみてはいかがでしょうか。

この記事では、セクハラで慰謝料を請求するための基本的な知識と、準備すべき事項を紹介します。

セクハラで慰謝料を請求するための基礎知識

慰謝料請求という言葉自体は様々なメディア等で耳にする機会が多く、聞き馴染みがありますが、実際に自分自身が慰謝料を請求すると考えると、心理的なハードルが高くなります。

セクハラで慰謝料を請求する第一歩を踏み出すために、まずは慰謝料請求についての基本的な知識を確認していきましょう。

セクハラに関する基本的な知識

セクハラは、正式にはセクシュアル・ハラスメントといい、「性的嫌がらせ」を意味します。

最も広い意味では、刑法上違法とされる強制わいせつ罪、強姦罪といった行為から、民事上の不法行為に該当するとまでは認められないような単なる「マナー違反」まで含んだ、多岐にわたる概念とされています。
セクハラかどうかの判断基準は?

どういった行為がセクハラになるかの明確な判断基準はありませんが、厚生労働省が平成29年度に発行した「職場におけるハラスメント対策マニュアル」では、セクハラにおける判断基準について、労働者の主観を重視しつつも、一定の客観性が必要であるとし、セクハラ被害を受けた労働者が女性である場合には「平均的な女性労働者の感じ方」、男性である場合には「平均的な男性労働者の感じ方」を基準とすることが適当であるとしています。

つまり、セクハラ行為は、セクハラ被害者がセクハラと感じただけでなく、一定の客観性が必要とされ、「平均的な同性労働者がセクハラ行為と感じるかどうか」で決まってくるということです。

セクハラで「慰謝料」を請求するとは?

慰謝料とは、相手の不法行為によって受けた、精神的な苦痛を慰謝するための損害賠償を指します。
慰謝料はだれに請求できる?

セクハラにあって、精神的な苦痛を受けた場合、セクハラ行為者や、会社に対して慰謝料の請求が可能です。

「会社にも慰謝料を請求できるの?」と疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、会社は雇い主として責任があります。(民法715条)

そして、セクハラに対して会社側が適切に対応しなかった場合、安全配慮義務違反・環境配慮義務違反として、会社に責任を問うことができます。(債務不履行責任、民法415条)

セクハラによる慰謝料はどう決まる?

慰謝料額は、セクハラ行為の態様程度場所回数や期間反復継続性セクハラ加害者の職務上の地位、当事者(セクハラ加害者と被害者)の年齢結婚しているかどうか、セクハラ加害者が謝罪や改善の意思を有しているか、セクハラ被害者がどの程度の心身ダメージを受けたか等、様々な要素から増減され、決まっていきます。
例えば?

例えば、セクハラをした加害者の地位が高く、被害者にとって拒むことが難しい状態でのセクハラであれば、慰謝料も高額になる傾向があります。

また、セクハラの期間が長期にわたっている、精神的な苦痛が大きいために精神科・心療内科で治療を受けているような場合も、慰謝料は高くなる可能性が高いです。

また、セクハラによって退職している場合は、精神的な苦痛に対する慰謝料だけではなく、逸失利益(労働者がセクハラで退職せず、本来会社で働いていれば得られた利益)として、加算されることがあります。

セクハラで慰謝料を請求するための準備

セクハラで慰謝料を請求するには、証拠等の準備が必要です。

何を準備しておくべきか、確認していきましょう。

セクハラ行為を示す証拠となるもの

何よりも、セクハラ行為を裏付ける、客観的証拠が必要です。

証拠としては、以下のようなものが挙げられます。

  • メールやライン等のやりとり

「相手の気分を害さないよう返答してしまっているので、証拠にならないのでは?」という場合でも、セクハラを受けた側の立場や心境も含めたうえで、「セクハラ行為か」の検討が可能です。

証拠として保存しておきましょう。

  • 録音データ

録音証拠は、セクハラ行為者の具体的な発言や口調等が分かるため、非常に有効な証拠となりえます。

なお、秘密録音であっても、著しく反社会的な手段によるものではない限り、証拠としての効力は否定されません。

  • 日記やSNSへの記録

セクハラの被害者が、セクハラ行為を日々記録したものであれば、セクハラ行為の証拠となりえます。

もっとも、録音データほどの客観性はないため、裁判においてはその信用性を争うことが多くあります。

セクハラの被害者・加害者両者の供述の信用性の比較をして、セクハラ行為があったかの判断がされますが、被害者が日記やSNS等に記録した内容を支持し、セクハラ行為を認めた裁判もあります。

矛盾がなく具体的かつ詳細な記録であれば信用性は高いでしょう。

セクハラ当事者の地位等がわかるもの

職場における契約形態や雇用形態が大きく違う人同士の間で、力関係を背景になされたセクハラの場合、慰謝料が高くなる可能性が高いため、以下のようなものを用意しておきましょう。

  • 雇用契約書
  • 就業規則
  • 組織図
  • 業務分掌規程(個別の部門・部署や役職、あるいは特定の担当者について、それぞれの仕事の内容や権限・責任の範囲などを定義し、明文化したもの)

こういった書類があることで、どういった地位・立場の人間がセクハラをしたかが分かりやすくなります。

また、セクハラによって休職・退職に至った場合は、慰謝料だけではなく、不就労期間中の賃金や、逸失利益を請求できる可能性もあるので、参考資料として手元に保管しておきましょう。

診断書や治療費等の請求書

セクハラによってうつ病などの精神疾患にかかった場合、診断書や治療費等の請求書があると、慰謝料請求における根拠となりえますし、慰謝料に加えて、治療費等の実費も請求できる可能性があります。

セクハラ行為があった時から、できるだけ早いタイミングで、受診をし、診断書を取得しておきましょう

セクハラ行為から診断書を取得するまでの期間を理由として、精神疾患とセクハラ行為の因果関係が否定された裁判もあるため、注意してください
(ある裁判では、セクハラ行為から1年4か月後に診断書が作成されたことから、相当因果関係が否定されました。)

セクハラで慰謝料請求が認められた裁判

参考までに、セクハラで慰謝料請求が認められた裁判について、みていきましょう。

セクハラの慰謝料60万円が認められた事案(東京地裁平成26.2.28)

【事案】
Aは、会社の役員であるBから度重なるセクハラを受け、不安障害を発症したとして、Bに対し損害賠償を請求した。

この裁判では、Aが作成していた備忘録が主な証拠となっています。

この備忘録の信用性につき、備忘録の記載がBの自白や客観的事実と整合すること、セクハラに関する記載が具体的で迫真性に富んだ内容であること等を理由に、信用できるとしました。

一方で、この備忘録に記載のない言動については、セクハラ行為として認定していません。

Bのしたセクハラ行為に対し、Aは明確な拒否をしていませんでしたが、会社内でAに対して優越的な地位を有するBが行ったものであったこと、そして、Aの真意に基づく承諾なしに身体に触れるといった性的羞恥心を害する言動であったことが明らかなもので、不法行為を構成するとしています。

Aの人権を侵害し、精神的苦痛を被らせるという点から、慰謝料請求が認められましたが、以下のような理由から、Aが請求した額から減額されています

  • セクハラ行為があった期間は約2か月にとどまり、頻繁に行われたものとまではいい難く、身体への接触は数回であった
  • Aについて作成された診断書には、Aが不安障害を発症した原因や具体的な所見が記載されていなかった

今回のセクハラ行為が必ずしも長期間、頻回に及ぶものではなかったこと等に照らすと、診断書の記載をもって、Bによるセクハラ行為が、Aの不安障害の発症原因であることを推認することはできないと判断され、慰謝料が減額され、最終的に60万円となりました。

なお、この裁判では、慰謝料60万円に加え、6万円の弁護士費用を合わせた66万円の支払いを命じています。

セクハラの慰謝料300万円が認められた事案(京都地裁平成19.4.26)

【事案】
Aは、会社の代表取締役であるBからセクハラ行為を受け、退職を余儀なくされたとして、Bと会社に対して損害賠償を請求した。

ちなみにこの裁判では、録音した音声データが証拠として認められています。

Bは、「音声データは改ざんしたものである」と主張しましたが、裁判所は、声紋鑑定等を通し、改ざんはなくB本人の音声であると最終的に判断しています。

慰謝料の額については、以下の点を含めた一切の事情から、300万円が相当であると判断されています。

  • Aは、就職活動に苦労した経験から、正社員として働き続けたいという気持ちで、仕事で認められるように努力し、入社直後からセクハラ行為に耐え続けてきたが、結局Bの性交渉の要求に応じなかったことを理由として退職に追い込まれた
  • Bは「セックス要員として雇った」、「セックスができなければ他の仕事をいくら頑張っても認めない」、「セックスができないならば退職しろ」等と言って、職務として性交渉を要求しており、Aの人格を全面的に否定するものであった
  • Aが就職した直後から退職まで1年2か月にわたって継続的に行われていた
  • Aが性交渉を拒否したことを理由として、Aに退職を強要した

なお、セクハラの慰謝料として認められた額は300万円ですが、Aはセクハラが原因で退職に至っているため、逸失利益として273万円、そして弁護士費用57万円を合わせて、Bと会社に対し630万円の支払いを命じています。

最後に

セクハラで受けた精神的苦痛は、慰謝料を請求することが一つの解決策になります。

例として、セクハラの慰謝料請求が認められた裁判をご紹介しましたが、訴訟だけではなく、労働審判や話し合い等、様々なやり方があるので、まずは弁護士に相談することをお勧めします。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。