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懲戒解雇で裁判できる?不当解雇の判断と裁判の流れ

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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懲戒解雇は会社が従業員に対しておこなう制裁の中で最も厳しい懲戒処分です。解雇された従業員は再就職活動が困難になるなど大きな痛手を被ることから、納得できなければ裁判で会社と争うこともあるでしょう。

今回の記事では、懲戒解雇が不当解雇に該当するかの判断材料と、裁判の準備や流れ、費用などについて解説します。

会社が懲戒解雇するための要件|不当解雇の判断

懲戒解雇で裁判する場合、会社が行った懲戒解雇が不当であることを主張しなければなりません。

まず最初に解雇に関して法律にはどのような定めがあるのかを確認しましょう。

解雇事由の就業規則への明記

就業規則には解雇事由を明記することが義務付けられています

労働基準法第89条

使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。
    :
 3.退職に関する事項(解雇の事由を含む)

つまり、就業規則にない事由での懲戒解雇は労働基準法違反で不当解雇になります。犯罪行為をした従業員も、就業規則に定めがなければ会社は解雇できません。

客観的に合理的な理由があり社会通念上相当であること

懲戒解雇は、客観的に合理的な理由があり社会通念上相当でなければなりません
具体的には?

労働契約法第16条

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして無効とする。

解雇権の濫用と判断されれば、懲戒解雇は無効となります。客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められるのは下記のケースです。

  • 会社内で窃盗や横領、傷害など刑法に違反する行為をした場合
  • 賭博、風紀紊乱などにより職場の規律を乱した場合
  • 採用時に採用結果を左右する重大な経歴詐称があった場合
  • ほかの会社に勤務している場合
  • 長期間、正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合
  • 懲戒解雇以外の懲戒処分を受けても同様の行為を繰り返す場合 など

労働基準監督署への解雇予告除外申請

会社が解雇予告手当なしに即時解雇するには、労働基準監督署に申請して解雇予告除外認定を受けなければなりません。

労働基準法第20条

使用者は、労働者を解雇しようとする場合、30日前に予告をしなければならない。30日前に予告をしない場合は30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。
労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。

「労働者の責に帰すべき事由」の有無を判定するのが、労働基準監督署の解雇予告除外認定です。

実際に労基の除外認定まで受けているケースは少ないため、懲戒解雇であっても解雇予告手当を受け取れることは実はけっこうあります。

そのほかの要件

懲戒解雇についての判例では、懲戒解雇の手続きが適正でないことを理由に不当解雇と判断されるケースもあります。具体的には、懲戒解雇の手続きを定めた就業規則などに違反するケースなどが該当します。

  • 「懲戒委員会での審議」が行われなかった。
  • 「懲戒を受ける従業員の弁明の機会」が与えられなかった。
  • 「懲戒処分に関する労働組合との協議」が行われなかった。

また、会社が懲戒解雇者の退職金を不支給にするには、就業規則に記載されている必要があります。記載がない場合、従業員は退職金を請求できます

不当解雇で裁判に訴える|事前準備と裁判の流れ

これまで説明した法律に違反する懲戒解雇があった場合、従業員は解雇の無効や損害賠償請求を求めて、下記方法を選択して会社と争うことになります。

  • 会社と直接交渉する
  • 弁護士や組合を通して交渉する
  • 労働審判を受ける
  • 裁判所に訴える

会社との直接交渉や労働審判などで決着がつかない場合、裁判を行うことになります。時間と費用のかかる裁判ですが、最終的な問題解決を図ることができます。

裁判の事前準備

懲戒解雇されて裁判を行うときは弁護士への依頼がほぼ必須ですが、事前に自分でできることもあります。
事前にできる準備は?

①解雇理由証明書の取り付け

解雇理由証明書は、会社が解雇した従業員に対して発行するもので解雇理由が記載されています。従業員が請求すれば会社は証明書発行を拒否できません

裁判になると会社は訴訟を有利にするため解雇理由を追加したり、変更することもあるので、解雇されたらすぐに証明書を請求し解雇理由を明確にしましょう。

②不当解雇を証明する証拠の収集

裁判では、会社が行った懲戒解雇が不当であることを立証しなければなりません。そのために証拠として下記のものを準備しましょう。

  • 雇用契約書就業規則
  • 解雇通知書解雇理由証明書
  • 在職時の人事評価や人事面談記録
  • 解雇について会社との話し合い経緯がわかるメールや記録 など

裁判の手続きと流れ

事前準備が出来たら、弁護士と相談しながら裁判を行います。大まかな手続きと流れは下記の通りです。
大まかな流れは?

①会社に請求する内容を決める

会社に対して何を請求するか、弁護士と相談して決めます。引き続き会社で仕事を続けたいのか、損害賠償を請求したいのか、弁護士に希望する内容を伝えて専門家のアドバイスを受けましょう。請求する内容は下記のものが考えられます。

  • 解雇の撤回
  • 解雇予告手当、退職金の請求
  • 解雇無効による未払い賃金の請求
  • 慰謝料の請求

また、早期解決を図るために裁判途中での和解を視野に入れて、請求内容を決める戦略もあります。

②会社に対し弁護士名の内容証明郵便で請求

会社への請求内容が決まったら、弁護士から会社に対し解雇の撤回などを請求してもらいます。請求方法は、請求した証拠を残すために内容証明郵便で行います。

会社が請求に応じれば問題は解決しますが、拒否された場合は裁判所へ訴えることになります。

③裁判所に訴状を提出

裁判所に訴状を提出するところから裁判がスタートします。裁判所から口頭弁論の期日が指定され、訴えを起こした従業員側は第1回口頭弁論で訴状を陳述します。

その後は、裁判長の指示と弁護士のアドバイスに従って裁判が進行し、判決または判決前の和解によって問題解決が図られます。判決が出るまでに通常半年から1年程度かかりますが、判決に不服があれば控訴する方法もあります。

裁判の費用と弁護士の選定

裁判を起こすときに、裁判の勝敗のほかに裁判費用や弁護士の選定などが気になる人も多いと思いますので、簡単に紹介します。

裁判の費用

裁判にかかる主な費用は、裁判所への手数料と弁護士報酬です。

裁判所への手数料は会社に請求する額によって決まりますが、あまり高額にはなりません。

会社への請求額裁判所への手数料
100万円10,000円
500万円30,000円
1,000万円50,000円
裁判所への手数料

※控訴時は上記の1.5倍、上告時は2倍になります。

一方、弁護士への報酬は弁護士や依頼内容によって大きく異なりますが、日本弁護士連合会の会員アンケートでは下記の通りでした。

  • 着手金20万円(45%)、30万円(31%)
  • 報酬金30万円(36%)、50万円(31%)

※()内はアンケート総数に対する割合。

弁護士の選定

裁判には弁護士が必要ですが、労働問題に強い弁護士を選ぶことが重要です。弁護士を探すには下記の方法があります。

  • 知人や労働組合などから紹介してもらう
  • インターネットなどで個別にさがす
  • 弁護士検索サイトでさがす など

裁判は長期間にわたり、裁判を気にかけながら再就職活動や新しい職場で慣れない仕事をすることになります。そんな時に頼りになるのが弁護士です。経験や実績も重要ですが、人柄や相性なども含めていい弁護士を探しましょう

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。