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早期退職で退職金はもらえるのか|退職金制度の法的仕組みを解説

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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退職金は会社に入社する際、必ずその有無を確認すべきといってもいいほど重要なもの。
その額は安くないことも多く、長期その会社に勤め続けた人はそれで今までのローンを返済したり、老後の生活への資金としたりします。

もっとも、退職金がない会社も少なくない数存在し、かつ退職金がある会社も継続年数要件(〇年勤続しなければ不支給とする旨のもの)が存在するなど会社によって退職金制度の在り方は様々です。

本記事では退職金制度についてその法的仕組みと、早期退職の場合を例に挙げて法的に問題となる具体例について検討していきます。

退職金請求権の発生

この退職金、よく法的仕組みが分かっていないという方も多いのではないでしょうか。

退職金制度を法的に解釈するには①そもそも労働者に退職金請求権が発生しているか、②退職金請求権が発生しているとして、退職金に関する条項が有効かを判断する必要があります。

ここでは①の退職金請求権の発生について述べていきます。

退職金請求権の発生の有無は会社による

まず大前提として、退職金請求権は労働契約を根拠として発生します

労働契約の内容を構成するものとしては、㋐個別の労働契約、㋑就業規則の規定、㋒事実たる慣習の3つがありますが、㋒については法的専門性が非常に高く、また原則としてこれのみを根拠として退職金請求権の発生を基礎づけるのは難しいため、以下㋐㋑についてまとめていきます。

個別の労働契約

退職金制度がある場合には、労働条件として明示されなければなりません(労働基準法15条)。

もっとも、相対的明示事項である退職金については書面で明示される必要はなく、口頭での明示で足ります。

会社に入社する際のに労働契約書や労働条件通知書に退職金規定が明示されていれば、退職金請求権発生の根拠になるでしょう。

もっとも、日本においては終身雇用が多く、労働者別々に異なった内容の労働契約を締結するということは稀であり、基本的には次の就業規則により労働契約の内容を補完している場合が多いです。

就業規則による明示

現在の退職金制度として最も多いと考えられるのが、この就業規則による退職金制度の明示です。

就業規則は一定の手続を踏めば労働契約を補完することができます。(労働契約法7条、労働基準法89条以下など。特に退職金について労働基準法89条3号の2。)

日本においては同一条件で労働者を大量に雇うことが多く、就業規則は原則として労働者に一律に効力を有するので、このような大量で画一的な労働契約の内容処理に向いているのです。

これらに退職金の規定がない場合

労働契約や就業規則に退職金に関する定めがない場合、原則として労働者に退職金請求権はそもそも存在しないことになります。

しかしながら、会社が今まで長期にわたり退職者全員に退職金を支払っていたなど、何かしらの退職金制度を推認させる慣習がある場合には例外的に退職金請求権が認められることもあります

退職金の性格

次に②規定の有効性について述べていく前に、退職金の法的仕組みを理解する上で必要不可欠である退職金の法的な性格について述べていきます。

賃金後払的性格と功労報償的性格

退職金は一般に賃金額を算定基礎とする点や、勤続年数に応じてその額を増やしていくため賃金後払的性格を有するとともに、その増加率から功労報償的性格を持つと言われています。

しかしながら、これはあくまでも一般論の話で、自分の会社の退職金制度がどのような性質を持っているかは個別具体的な判断が必要です。

賃金後払的性格についてはともかく、功労報償的性格は聞きなれない方も多いと思われるため、以下で具体例を2つほど挙げたいと思います。

(具体例は分かりやすい説明のためにかなり単純化しています。なので実際にはこのような制度を持つ会社は非常に少ないことに注意してください。)

具体例①「賃金後払性格」

A社では退職金制度について1年目1万円、2年目2万円…30年目30万円と勤続年数に応じて額が「比例的」に増加していく制度を持っていると仮定しましょう。

このA社の退職金制度は「賃金後払性格」が強いと解されます。なぜならA社の退職金制度は比例的にその額を伸ばしているだけだからです。

具体例②「功労報償的性格」

B社では退職金制度について、1年目1万円、2年目2万5000円…30年目150万円というように全く比例的でない、いわば曲線的な変化をしていると仮定しましょう。

このような場合には、B社の退職金制度は「功労報償的性格」を有すると言われています。

なぜなら、B社の退職金制度はA社のそれとは異なり、比例的増加ではなく曲線的に増加していて、長年勤務すればするほどその額が増加するという単純に賃金の一定額を控除し退職金に回しているとは言い難い仕組みになっているからです。

このような制度は、労働者の長年の勤務やその貢献に対して会社からの感謝の表れであったり、労働者側からすると長年勤務や会社への忠誠を確固にするインセンティヴ的要素もあり、「功労報償的性格」があると言われるのです。

早期退職の場合の退職金請求権について

上に例を挙げましたが、実際の退職金制度は例ほど単純ではなく、支給要件や減額条項があるなど複雑なことが多いです。

また、退職金制度は基本的には会社に広い裁量が認められています。

ここでは、②退職金制度の規定の有効性について、早期退職の場合に退職金の支給がどうなるかについて述べていきます。

勤務継続要件の有効性

まず勤務継続要件がある場合、その規定が著しく実行不可能に近いなど特段の事情がない限り有効と解されます。

先述した通り退職金は功労報償的性格を有することが多く、労働者の功労の程度(=ここでは勤続年数)に応じて支給の有無を定めることも不合理とは言えないからです。

したがって、よくある「3年以上勤務した者」のみを退職金制度の対象とする規定は一般には有効と解され、2年で退職した労働者は退職金をもらえません

しかしながら、「一般に」と述べた通り、例えば賃金から退職金掛金として月々一定額を控除していることが明らかな会社において、同勤務継続要件がある場合、法が賃金全額払いの原則(労働基準法24条1項)を定めていることからも、控除分全てを同要件に基づき支給しないことは法的に問題があるなど、特殊な場合も考えられるので注意が必要です。

逆に、退職金制度自体はあるが、継続要件がない場合に「君は早期退職だから」と退職金を支給しないのは当然違法です。

減額条項や増額条項

会社によっては懲戒解雇の場合に退職金を減額したり、逆に会社都合で退職した場合に退職金を増額したりする規定があります

このような規定も退職金の功労報償的性格の表れとして有効と解されます。

そこで早期退職が上のような事由に該当する場合、退職金が減額増額されることがあります。

もっともこの点についても(特に)減額の程度やその条件について全ての規定が合法というわけではないので注意が必要です。

おかしいなと思ったら弁護士に相談する

確かに退職金制度は、他の労働法上の法的問題に比較しても会社側の裁量が認められやすい分野ではあります。

しかしながら会社が同規定において好き勝手出来るというわけではなく、様々な法的要素を考慮して、退職金の不支給が違法となる場合も存在します。

もっとも同判断には高度な法的分析が不可欠になるので、早期退職であっても、勤務継続要件がどこにもないなど、不支給がおかしいと思う場合には迷わず弁護士に相談しましょう。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。