不当解雇・退職勧奨の
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いきなりの解雇にあい、反論する余地もなく離職処理をされ、離職理由を見たら「自己都合退職」で扱われていた…
会社からの一方的な解雇に対し、自己都合退職として処理されてしまうと、ハローワークで手続きができる失業保険について、原則2か月間の給付制限がかかってしまいます。
解雇自体が不当解雇であるにも関わらず、「自己都合退職」として扱われてしまった場合、労働者はどうすればよいのでしょうか。
ここでは、不当解雇された労働者に向けて、不当解雇について知っておくべき知識や、会社が主張する離職理由が解雇と全く異なる場合、ハローワークに対してできる「異議申し立て」についてご紹介します。
目次
不当解雇は、法律上明確な定義があるわけではありません。
まず、不当解雇について、知っておくべき知識を確認していきましょう。
解雇とは、会社がする一方的な意思表示による労働契約の解約をいいます。
そのため、労働者からする任意退職や、有期契約の満了、定年退職等は、解雇ではありません。
また、よく間違えられるものとして、退職勧奨がありますが、退職勧奨は自主退職であり、解雇には該当しません。
法律から「解雇」を確認すると、民法上は、会社には解雇の自由(解雇権)が認められています。(民法627条1項)
とはいえ、解雇は労働者にとっては重大な問題であり、全てが有効な解雇とされてしまうと、安心して働くことができません。
労働者を保護するため、個別法として以下のような厳しい規定を設けています。
会社は、このような規定を遵守する必要があり、規定にある条件を満たしていない解雇は、認められません。
不当解雇とは、解雇の条件を満たしていないか、もしくは解雇の手続き等が正しくされていないまま、会社側が一方的に労働者の労働契約を解約することです。
前述した通り、解雇には様々な条件や手続きが必要とされており、それらを満たさない場合はもちろん不当解雇とされますし、一見合法であっても、社会通念上是認し難いものであれば、不当解雇とされる場合もあるため、個々の事案ごとに「不当解雇かどうか」を判断する必要があります。
「不当」は、必ずしも法律に違反することのみに限られません。
労働者にとって不利にならないよう、不当と扱われる範囲は広く捉えられている一方で、不当とされる範囲に明確な線引きがされているわけではありません。
参考までに、不当解雇として扱われる可能性が高い具体例を列挙しました。
解雇理由が法律に違反する場合はもちろん、明確な解雇理由がない場合や、話し合い等もなく突然解雇された場合も、基本的には正当な解雇として認められず、違法な解雇とされます。
解雇理由証明書とは、会社がどのような理由で労働者を解雇したのかを記した書面をいいます。
解雇することを伝える「解雇(予告)通知書」や、退職時に渡す「離職票」とは別の書類です。
労働者は、解雇の場合、解雇の理由等についての証明書(解雇理由証明書)を請求した場合、会社は遅滞なくこれを交付しなければなりません。(労働基準法22条2項)
労働者が請求しない限り、会社は交付する義務はない点に注意してください。
この解雇理由証明書があると、ハローワークで失業保険の手続きをする際に有利になるため、請求しておきましょう。
失業した場合、自分が住んでいる場所を管轄するハローワークの中にある雇用保険窓口で、失業保険受給の手続きが可能です。
ハローワークで失業保険の手続きをする際、離職理由によって給付制限や給付日数に差が生じます。
不当解雇である場合、通常の離職(自己都合退職等)と取り扱いがかわってくるため、内容を確認していきましょう。
不当解雇の場合、再就職の準備をする時間的余裕がないまま離職を余儀なくされた者=「特定受給資格者」であるとされ、通常(自己都合退職等)の離職者より手厚く保護する必要があることから、以下のような、労働者にとって有利な取り扱いがなされます。
有利な取り扱いとは?
特に、②の給付日数については、被保険者であった期間や年齢等の条件等がありますが、自己都合退職の場合、「90~150日」であるのに対し、不当解雇等の場合は「90~330日」と大幅に伸長されます。
なお、ハローワークは、「離職理由が解雇等に該当するか(特定受給資格者であるか)どうか」は確認していますが、「解雇内容が不当解雇であるかどうか」までは判定していないという点だけは、あらかじめ理解しておきましょう。
不当解雇は、「解雇等により離職した者」の枠に入っており、不当解雇だからといってこれ以上の優遇措置はないからです。
「不当解雇されたので、どうにかしてほしい」という点で相談するならば、労働基準監督署もしくは労働組合、弁護士を頼りましょう。(後述します。)
それでは、不当解雇を含む離職理由について、ハローワークはどのように判断するのでしょうか。
まず、会社からハローワークに離職証明書という書類が提出されます。
その離職証明書に、会社が主張する離職理由が書かれています。
それをもとに、ハローワークは離職票を作成し、基本的には会社を経由して労働者へ送られます。
その離職票には、労働者が主張する離職理由が記載できるようになっています。
会社と労働者が主張した離職理由が同じであれば問題ありませんが、もしこの離職理由が、会社と労働者で異なっている場合、ハローワークが事実確認をしたうえで、離職理由を判定をする形になっています。
会社から送られてきた離職票に、不当解雇で離職を余儀なくされたのにも関わらず、自己都合退職等違った離職理由が記載されていた場合、まずは会社に離職理由が間違っていることを伝え、訂正対応をお願いしましょう。
会社側が対応しなかった場合、ハローワークに離職理由の判定をしてもらうため、異議申し立てをすることが可能です。
異議申し立ての方法は?
そのためには、送られてきた離職票について、以下のように記述をしましょう。
不当解雇であることを主張したい場合は、離職票と一緒に、上述した解雇理由証明書(退職証明書)や、解雇予告通知書、就業規則などを、資料として提出しましょう。
そのうえで、ハローワークが事実関係を調査し、判定するという流れになります。
離職理由が会社と労働者で異なるケースは、ハローワーク側からすると決して珍しいことではありません。
会社としては、不当解雇含めた会社都合退職としてしまうと、助成金の支給が打ち切られる等のデメリットが多いため、労働者に自己都合で退職してもらったとした方が、都合がいいからです。
ハローワークで不当解雇とされなかった場合、労働者が相談できる先をご紹介します。
労働基準監督署は、会社が労働法(労働基準法等)を守っているかどうかを監督する機関です。
会社に法違反が認められる場合、是正勧告・改善指導等をしたりすることができます。
例えばこの記事で、不当解雇として列挙した具体例の中で「国籍による解雇」を挙げましたが、これは、労働基準法3条違反となります。
使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。(労働基準法3条)
解雇は、「その他の労働条件」に含まれるため、国籍による解雇は労働基準法違反となります。
このように、不当解雇の中でも明確に法違反であると認められる場合は、労働基準監督署は、解決に向けて是正勧告等の対応が可能です。
法違反かどうか分からない場合でも、労働基準監督署への相談は無料なので、相談してみるとよいでしょう。
不当解雇の場合、会社に労働組合が存在する場合は、労働組合を通して、交渉することができます。
会社に労働組合が無かったとしても、ユニオンなどの個人加盟の労働組合に加入し、交渉することも可能です。
この記事でも何度かお伝えしている通り、不当解雇は、個々の事案ごとに法的な判断が必要となります。
労働基準監督署でも対応できなかった場合、裁判にもつれ込みそうな場合は、弁護士に相談しましょう。
不当解雇であることを理由に、解雇が無効であること、損害賠償等の請求ができる可能性があります。
不当解雇されたうえ、ハローワークでも不当解雇が認められず、失業保険に給付制限がついてしまうと、労働者にとっては日々の生活に大きな影響を及ぼします。
もし会社の主張(離職理由)がおかしいと思ったら、ハローワークに異議申し立てをしましょう。
不当解雇について問題を「解決」したい場合は、ハローワークではなく、労働基準監督署や、労働組合、弁護士に相談しましょう。
労働基準法等の法律に明らかに違反している場合は、労働基準監督署で取り扱えますが、そうでない場合や、判断が難しい場合は、個別の事案ごとに民事的な紛争手段によって解決することを検討しましょう。
法的な判断が必要になるため、不当解雇で困っている場合は、労働法に強い弁護士に相談することが、最も解決に近付きます。
みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。