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給与未払いで訴える?裁判に必要な証拠集めと裁判以外の対策

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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従業員にとって給与の未払いは、日常生活に直接影響する深刻な問題でしょう。毎月の給与はもちろん残業手当や休日出勤した手当が支払われないケースも同様です。

今回の記事では、給与の未払いが発生したときに会社へ請求する方法と、最終手段として裁判に訴える方法について解説します。

給与未払いで請求できる賃金

まずは、会社の未払いに対して請求可能な賃金の種類や遅延利息などについて、労働基準法などの定めを中心に確認しましょう。

賃金支払の5原則

月々の給与の支払いについては労働基準法第24条で下記の5原則を定めています。

  • 通貨払いの原則:賃金は通貨で支払わなければならない
  • 直接払いの原則・賃金を直接労働者本人に支払わなければならない
  • 全額払いの原則:賃金はその全額を支払わなければならない
  • 毎月1回以上払いの原則:賃金は最低、毎月1回以上支払わなければならない
  • 一定期日払いの原則:賃金は毎月一定期日に支払わなければならない

未払い賃金の対象となる賃金

毎月の給与以外にも下記については未払い賃金の対象となります。

  • 毎月の給与
  • 退職金(労使間で支給条件が明確に定められ使用者の義務とされるもの)
  • 一時金(賞与・ボーナス)
  • 休業手当(労働基準法第26条)
  • 割増賃金(労働基準法第37条)
  • 年次有給休暇の賃金(労働法第39条)
  •  その他労働基準法第11条の賃金に当たるもの(現物給付されるものなど)
  • 解雇予告手当(30日以上前に解雇予告なしで解雇された場合)

賃金未払いに対する遅延利息も請求できる

前述の賃金だけでなく、賃金の支払いが遅れたことに対する遅延利息も請求できます。遅延利息は、在職中か退職後かで利率が異なります。

  • 在職中:遅延利息3.0%(民法第404条2項※)
  • 退職後:遅延利息14.6%(賃金の支払の確保等に関する法律第6条)

退職金は含まれませんが、賞与は含まれます。

※3年毎に見直し

未払いが悪質なケースでは付加金が加算される

労働基準法第114条では、下記賃金に対して労働者の請求により裁判所が付加金の支払を使用者に命ずることができると定められています。

  • 解雇予告手当(労働基準法第20条)
  • 休業手当(労働基準法第26条)
  • 割増賃金(労働基準法第37条)
  • 有給休暇に対する対価(労働基準法第39条)

会社に対する付加金支払い命令は、会社の未払いが制裁が必要なほど悪質なものと認められた場合です。付加金の上限は「未払いの割増賃金等の認定額」なので、未払い額が10万円ならば、付加金は最大10万円になります。

給与未払いで裁判する前にすべきこと

給与未払いで裁判するには費用も時間もかかります。訴訟以外にも未払い賃金を請求する方法があるので、まずは下記対応を検討してみましょう。

  • 会社に未払い賃金の支払い請求を行う
  • 労働基準監督署へ訴える
  • 裁判所の民事手続きを活用する

会社に未払い賃金の支払い請求を行う

まずは、会社へ未払い賃金の支払いを請求しましょう。個人で会社と交渉するのは不利なケースもあるので、専門家などの力を借りる方法もあります。

  • 会社と直接交渉する
  • 労働組合を通じて交渉する
  • 弁護士を通じて交渉する など

ただし、法的強制力のない交渉であるため会社が同意しないと問題は解決しません

労働基準監督署へ訴える

労働基準監督署は会社の労働基準関係法令違反を監視・是正指導する機関です。労働基準関係法令に違反があれば、会社に対して是正勧告などをしてくれます。

ただし、明確な証拠がないと動いてくれないこともあり、また、会社が勧告に従わないケースもあります。

裁判所の民事手続きを活用する

裁判所では民事訴訟以外にも、費用や手間が少なくて済む制度を設けています。

  • 支払督促(簡易裁判所)

裁判所書記官が書面の審査のみで金銭の一定額などの給付を命じる

  • 事調停(簡易裁判所)

調停主任(裁判官)と2人以上の調停委員からなる調停委員会が調停

  • 労働審判(地方裁判所)

労働審判官(裁判官)と労働審判員からなる労働審判委員会が、原則3回以内の期日で審理し和解や審判を行う

これらの方法でも問題が解決できない場合は訴訟をせざるを得ないでしょう。

裁判のための証拠集めが重要

前述の対応で未払い賃金が支払われない場合は、裁判所に訴えることになります。裁判では証拠が重要なので、訴訟を起こす前に賃金の未払いを立証する証拠を集めなければなりません。

賃金未払いを立証するための証拠

賃金未払いを立証するための証拠としては、次のものがあります。

  • 労働契約書就業規則(労働条件を確認)
  • 給与明細書賃金台帳(実際に支払われた賃金を確認)
  • タイムカード勤務記録(労働時間を確認)
  • 業務日報残業指示残業報告(残業時間を確認)

明確な証拠がないときに準備したいもの

前記の書類が証拠としてはより明確ですが、ない場合でも裁判は可能です、ただし、信憑性の高い資料を準備しなければ裁判での勝算が小さくなるかもしれません。

  • 給与振込口座の通帳(実際に支払われた賃金を確認)
  • メモなど働時間の記録(労働時間、残業時間を確認)
  • パソコンのログオン・ログオフの記録(労働時間、残業時間を確認)
  • 業務に関するメールやFAXの履歴(労働時間、残業時間を確認)

証拠はこれがないとダメということはないですが、裁判官が納得しやすい材料を可能な限り集めることが重要です。また、専門家である弁護士からアドバイスを受けることが証拠集めには有効です。

給与の未払い請求は少額訴訟と民事訴訟

裁判所に未払い賃金の請求を求めて訴訟を行う場合、請求金額が小さい場合は、少額訴訟を行う方法もあります。少額訴訟と一般的な民事訴訟について説明します。

少額訴訟で簡易に訴訟

少額訴訟は、請求金額が60万円以下の場合に限って使える方法です。
手続きやメリット・デメリットは?

簡易裁判所に訴えを起こすことで裁判がスタートし、原則1回の期日で審理が終了し即日判決が出ることが大きな特徴です。通常の民事訴訟と異なり手続きも簡便なため、弁護士無しで自分で裁判をすることも可能です。

少額訴訟のメリットは次の2つです。

  • 期日が1回であまり時間がかからない
  • 弁護士費用、裁判の準備費用などが安く済む

ただし、下記デメリットもあるので注意が必要です。

  • 期日が1回であるため明確な証拠がないと請求が認められない
  • 簡易裁判所の判決に会社が異議申立をした場合には通常の訴訟に移行する

一般的な民事訴訟で民事請求

これまで紹介した方法で問題解決しなければ、いよいよ訴訟です。訴訟期間は半年から1年間(新型コロナウイルス感染症の影響で更に長期化の可能性あり)、基本的には弁護士を雇う必要もあります。時間も費用もかかる覚悟が必要です。
手順や気を付けることは?

訴訟の手順は下記のとおりです

  • ①弁護士を選定
  • ②訴訟準備(給与未払いの証拠集め、提訴の準備など)
  • ③地方裁判所の提訴
  • ④裁判所が指示するスケジュールに沿って公判
  • ⑤判決

未払い賃金を請求する従業員にとって重要な作業は、主に「①弁護士の選定」と「②訴訟準備」です。

労働問題に強い弁護士を探し、提訴前にできるだけ多くの証拠を集めることが、裁判を有利にすすめる上で重要です。

「③提訴」以降は、基本的に弁護士のアドバイスに沿って裁判をすすめます。ただし、裁判の中で譲れない点や強く主張したい点などがあれば弁護士に話して構いません。弁護士は依頼者の意向に沿って裁判に臨んでくれます。

最後に賃金債権の消滅時効は下記の通りですので確認しておきましょう。

  • 支払期日が2020年4月1日以降の給与:3年
  • 支払期日が2020年3月31日以前の給与:2年
  • 退職金:5年

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。