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会社を辞めたら労災補償はなくなる?退職後の取り扱いと手続き方法

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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もし、労災事故で療養が長引き会社を退職せざるを得ない事態になれば、今後の労災補償がどうなるか不安を感じることでしょう。

今回の記事では、退職後も労災保険の給付が受けられるのか、どんな手続が必要かについて解説します。

労災保険とは|労災保険の特徴と補償

労災保険とは、労災保険法で定められた国の労働保険制度です。主に労働災害にあった労働者を、会社に代わって守るために設けられました。

労災保険の特徴

労災保険の主な特徴は下記の通りです。

  • 対象となる災害は「業務災害」「通勤災害」の2種類
  • 補償対象となる被害は労働者の「負傷」「疾病」「障害」「死亡」など
  • 労災被害に対する補償は主に「保険給付」

参考:厚生労働省「業務災害・通勤災害について」

労災保険の補償内容

労災保険の補償内容は、「業務災害」や「通勤災害」で従業員が被った被害に対する下記の保険給付です。

保険給付給付内容
療養(補償)給付(※1)治療費が無料(労災病院など)になる。支払った治療費の還付金
休業(補償)給付療養のため休業し賃金が支払われないときに、休業日数などに応じて支給される給付金
障害(補償)給付所定の障害が残ったとき、程度に応じて支給される年金または一時金
遺族(補償)給付労災で死亡した場合、遺族に支給される年金または一時金
葬祭料(※2)労災で死亡した場合、葬儀を行う者などに支給される一時金
傷病(補償)年金療養開始から1年6か月経過しても治癒(症状固定)しない場合などに支払われる年金
介護(補償)給付障害年金や傷病年金の受給者のうち、所定の介護を受けている人に支給される給付金
主な保険給付

(※1)業務災害のときは給付名に(補償)がつき、通勤災害のときはつかない。
(※2)通勤災害のときは「葬祭給付」という。
参考:厚生労働省「労災給付等一覧」

退職後も労災の補償は継続する|退職後の権利と労災保険の時効

会社を辞めると労災保険の被保険者ではなくなるため、労災の補償が受けられなくなるのではないかと不安に感じるかもしれません。

法律による退職者の「補償・保険給付を受ける権利」の保護

労働基準法と労災保険法では、退職者の「補償・保険給付を受ける権利」について下記の通り定めています。
法の規定は?

  • 労働基準法第83条:補償を受ける権利は、労働者の退職によつて変更されることはない
  • 労災保険法第12条の5:保険給付を受ける権利は、労働者の退職によつて変更されることはない

労働基準法では従業員が労働災害に遭った場合、会社にその「補償」を義務付けています。しかし、大きな事故などで会社が補償できない事態を防ぐため、主に「保険給付」で補償する労災保険制度が設けられました。

そのため、労働基準法では退職者が「補償を受ける権利」、労災保険法では退職者が「保険給付を受ける権利」を保護しています。

つまり、退職前に療養補償給付や休業補償給付を受けていた人が、退職後も療養を継続し療養のため仕事ができない場合、退職後でも療養補償給付や休業補償給付を受けることができるのです。定年退職した場合も同様です。

保険給付の時効には要注意

退職後も労災保険の保険給付を受けることができますが、保険給付には時効があるので請求時期には注意が必要です。

保険給付時効
療養(補償)給付療養の費用を支出した日ごとに請求権が発生し、その翌日から2年
休業(補償)給付賃金を受けない日ごとに請求権が発生し、その翌日から2年
障害(補償)給付傷病が治癒した日の翌日から5年
遺族(補償)給付被災労働者が亡くなった日の翌日から5年
葬祭料被災労働者が亡くなった日の翌日から2年
傷病(補償)年金監督署長の職権により移行されるため請求時効なし
介護(補償)給付介護を受けた月の翌月の1日から2年
保険給付の時効

保険給付の請求手続きを代行してくれる会社も多いため、在職中は請求漏れの心配は少ないですが、退職後は自分で手続きが必要です。よくわからない、面倒だ、と放置していると時効でもらえなくなるので、早めの手続きをおすすめします。

退職後に初めて労災申請することも可能

在職中に労災申請していなくても、退職後に初めて労災申請をすることも可能です。申請手続きの方法は在職中でも退職後でも同じです。

ただし、在職中の業務や通勤に起因する病気やケガが対象ですから、退職後の出来事に起因する場合は労災申請できません。また、労災申請には会社の証明などが必要であるため、原則、元勤務先の協力が必要です。

労災で休業していても解雇されることがある

労災の保険給付は退職後も保護されますが、労災で休業している場合の従業員の雇用についての保護はどうでしょうか。

労災で休業中の従業員の解雇については法律上の制限があります。

  • 労働基準法第19条1項:使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後30日間は、解雇してはならない。

つまり、休業している間は解雇されることはないということです。ただし、解雇制限が適用されるのは業務災害のみで、通勤災害には適用されません

また、会社が所定の補償を行った場合、会社が従業員を解雇することが認められています。

  • 労働基準法第81条:補償を受ける労働者が、療養開始後3年を経過しても負傷又は疾病がなおらない場合においては、使用者は、平均賃金の1200日分の打切補償を行い、その後はこの法律の規定による補償を行わなくてもよい。

会社は療養開始日の3年後に3年分以上の賃金にあたる打ち切り補償をすれば、従業員を解雇できるのです。

退職後の労災保険の手続き

退職後の労災保険の請求手続きは、労働者本人が自分で行わなければなりません。労災の保険給付は多様で請求書類だけでも数十種類ありますので、手続き書類や記入方法の調べ方を紹介します。

労災保険の請求書類と手続方法

労災保険の請求書類は、労働基準監督署でもらうか下記リンクから入手できます。
参考:厚生労働省「労災保険給付関係請求書等ダウンロード」

書類が多すぎてどれを選択すればいいかわからなくなりますが、下記リンクのリーフレットで該当の保険給付の手続方法を確認して、必要な請求書類を選択しましょう。

リーフレットで手続方法を確認すると、必要な請求書類には「様式◯号」と記載されていますので、書類を探す際に活用しましょう。また、「業務災害」と「通勤災害」では請求書類が異なるので、間違わないよう注意が必要です。

(例)休業(補償)給付の申請の場合

  • 業務災害:休業補償給付支給請求書(8号)
  • 通勤災害:休業給付支給請求書(16号の6)

手続方法がわからないときの照会先

手続方法がわからないときは、労働基準監督署で確認しましょう。
参考:厚生労働省「都道府県労働局(労働基準監督署、公共職業安定所)所在地一覧」

また、退職前に勤務先の担当者に手続方法を確認するといいでしょう。担当者によっては退職後も相談できるケースもあります。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。