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専門業務型裁量労働制をわかりやすく解説!残業代や違反事例も紹介

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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みなさんは専門業務型裁量労働制についてご存知ですか?

裁量労働制というと、労働者にとって時間が自由になり働きやすくなるようなイメージもありますが、その反面、長時間労働や残業代未払いなどの問題点も多く含みます。

今回の記事では、専門業務型裁量労働制について、制度の内容や残業代の有無、違法事例、メリットやデメリットについて解説しています。

専門業務型裁量労働制についてわかりやすく解説

専門業務型裁量労働制について詳しく知っていますか?

専門業務型裁量労働制は、全国的に2%程度の導入率でまだまだ詳細が知られていないのが現状です。

この記事では、専門業務型裁量労働制の制度の内容についてわかりやすく記載しています。

専門業務型裁量労働制とは?

専門業務型裁量労働制とは、時間配分等を大幅に労働者の裁量にゆだねる必要がある特定の19種の業務で適用でき、労使協定であらかじめ定めた時間を働いたものとみなす制度です。
導入率や注意点は?

専門業務型裁量労働制は、労働基準法第38条の3に定められた制度で、労使協定内容をその事業場の管轄範囲の労働基準監督署長に届出することで労働者への適用が可能となっています。

厚生労働省の調査より、全国での導入率は以下になっています。
平成28年調査計 2.1%
平成29年調査計 2.5%

浸透率は低く、深く理解している人も少ない制度ですが、専門業務型裁量労働制を適用されている労働者は、長時間労働を強いられてしまう場合もありますので注意が必要です。

専門業務型裁量労働制はどんな職種で適用できる?

専門業務型裁量労働制は特定の19種の職種に限定して適用できる制度で、どんな職種でも適用できるものではありません。

以下に適用できる職種について記載します。

  • 新商品、新技術、人文科学、自然科学の研究開発
  • 情報処理システムの分析又は設計
  • 新聞・出版、放送番組などの取材・編集
  • 衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案業務
  • 放送番組、映画等のプロデューサーまたはディレクター
  • コピーライター
  • システムコンサルタント
  • インテリアコーディネーター
  • ゲーム用ソフトウェアの創作業務
  • 証券アナリスト
  • 金融商品の開発
  • 研究に従事する大学教授
  • 公認会計士
  • 弁護士
  • 建築士(一級建築士、二級建築士及び木造建築士)
  • 不動産鑑定士
  • 弁理士
  • 税理士
  • 中小企業診断士

上記の19の職種は、労働者の裁量にゆだねる必要がある業務として厚生労働省令及び厚生労働大臣告示によって定められた職種です。

稀に、この19の職種以外で専門業務型裁量労働制を違法適用されている場合があるので、適用職種についてはしっかりと理解しておくことが重要です。

専門業務型裁量労働制と企画業務型裁量労働制の違いは?

裁量労働制には、専門業務型裁量労働制以外に企画業務型裁量労働制があります。

企画業務型裁量労働制は、本社などでの業務において、自らの知識、技術や創造的な能力をいかし、仕事の進め方や時間配分に関し主体性をもって働きたいというニーズに応えて、2000年4月より施行された制度です。

2つの制度は適用できる職種が異なりますので、以下に企画業務型裁量労働制に適用できる職種を記載します。

  • 事業運営上の重要な決定が行われる企業の本社などにおいて企画・立案・調査及び分析を行う労働者

例として、経営企画、人事労務、財務経理、営業企画、生産企画などの業務があります。

厚生労働省の調査より、全国での導入率は以下になっています。
平成28年調査計 0.9%
平成29年調査計 1.0%

専門業務型裁量労働制に比べてさらに低い浸透率ですが、長時間労働の懸念などは変わりませんので、適用される際は労働者側の理解が必須の制度です。

専門業務型裁量労働制でよくある疑問

専門業務型裁量労働制でよく聞かれる質問は残業代の有無についてです。

専門業務型裁量労働制では、残業代は出ないと思われがちですが、それはなぜでしょうか?

この記事では、専門業務型裁量労働制での残業代の有無、違反事例などについて詳しく記載しています。

専門業務型裁量労働制での残業代はでる?

専門業務型裁量労働制では時間外労働、休日労働、深夜労働に関する残業代は支払われます。
具体的に残業代が出る場合は?

具体的に残業代が出る場合を以下に記載します。

  • 深夜や休日に労働した場合
  • 労使協定で決めたみなし労働時間が法定労働時間(1日8時間)を超えて設定されている場合(36協定の締結が必須)

深夜労働(22時~5時)および休日労働に関しては、専門業務型裁量労働制でも通常勤務と変わらず労働基準法で規定されている通りに残業代は支払われます。

もう一つは、労使協定で締結したみなし労働時間が法定労働時間(1日8時間)を超えている場合の話です。

この場合、毎日の労働時間が法定労働時間(1日8時間)を超えていますので、毎日残業代が発生していることになり、超えた分の残業代を固定残業代として支給されることが多いです。

なお、この場合は法定労働時間を超える締結になるので、36協定を結ぶ必要があります

上記のように条件を満たせば、専門業務型裁量労働制でも残業代は支給されます。

専門業務型裁量労働制で残業代がでない場合は?

専門業務型裁量労働制では、深夜、休日以外の労働時間に対しては残業代が出ない場合が多いです。
具体的には?

具体的に以下に残業代が出ない場合を記載します。

  • 労使協定で締結されたみなし労働時間を超えて業務を行った場合

例えば、1日8時間のみなし労働時間設定で、実労働10時間を行ったとしても、2時間分の残業代は支払われません

専門業務型裁量労働制では、みなし労働時間が重要なポイントとなり、実労働時間に関わらず、毎日、同じ時間を働いたこととみなされます。

企業側が専門業務型裁量労働制を導入する際は、上記のように残業代を支払わなくて済むという観点から導入する場合が多いです。

残業代に関しては、でる場合とでない場合が明確に分かれますが、企業側や上司の理解不足から「専門業務型裁量労働制では全ての残業代は支払わなくてよい」と誤解されていることも多いです。

専門業務型裁量労働制違反の可能性がある事例

専門業務型裁量労働制では、裁判や新聞に掲載されているような違反事例も存在します。
具体的には?

以下に違反になる可能性がある事例を記載します。

  • 19の対象職種ではないのに適用され、長時間労働を強いられていた
  • 深夜残業代、休日残業代が支払われない
  • 上司から業務内容やスケジュールに関して指示を受けていた
  • みなし労働時間を超える残業や休日出勤を指示されていた
  • みなし労働時間内では到底できない過剰なノルマが設定されている
  • 労使協定の締結条件が満たされていない

違反事例として、企業のプログラマーに対し専門業務型裁量労働制を違法適用していた事例があります。

この事例は、本来、専門業務型裁量労働制の適用外となるプログラマーに対し、システムエンジニアとして専門業務型裁量労働制を違法適用していたという事例です。

該当プログラマーは、専門業務型裁量労働制の違法適用を理由に裁判を起こし、未払い残業代1140万円を受領しました。

他に、専門業務型裁量労働制の適用とならない大学教授の業務に対し、研究職として違法適用し長時間労働を可能にしていたケースなどもあります。

これらの事例からもわかるように、専門業務型裁量労働制の適用は労働者にとって不利益につながる可能性が高いです。

専門業務型裁量労働制のメリットとデメリット

専門業務型裁量労働制は、労働者側にとってメリットもありますが、デメリットが大きい可能性があります。

特に労使ともに理解不足の場合は、労働者側がデメリットを被る場合が多いので注意が必要です。

この記事では、専門業務型裁量労働制のメリットとデメリットについて記載しています。

専門業務型裁量労働制のメリット

専門業務型裁量労働制は、短時間で仕事を終えられるなどのメリットがあります。
他のメリットは?

以下に専門業務型裁量労働制のメリットを記載します。

  • 短時間で仕事を終えられることがある
  • 研究職などで、自分の研究に長時間を使える
  • 勤務時間を自己裁量でき、ライフワークバランスが向上する可能性がある

専門業務型裁量労働制の最も大きなメリットは時間が自由になることです。

仕事の合間に家の用事を済ませることもできますし、自分の研究にとことん時間を使うこともできます。

専門業務型裁量労働制のデメリット

専門業務型裁量労働制でのデメリットは、長時間労働の懸念など多数あります。
他のデメリットは?

以下に専門業務型裁量労働制のデメリットについて記載します。

  • 成果が出るまで長時間労働になる可能性が高い
  • 長時間労働や成果に対するプレッシャーからライフワークバランスが崩れる可能性がある
  • 年俸制になっていることも多く、みなし労働時間を超えた超過時間については残業代がでない
  • 理解不足から残業代不払いなどの問題が起きる
  • 働きすぎによる過労死の懸念がある

専門業務型裁量労働制の最も大きなデメリットは長時間労働です。

自己裁量に任されるため、成果を得られるまで長時間労働を続け、結果的に過労死の懸念があります。

また過去事例として、プログラマーなどの対象職種ではない職種に対して専門業務型裁量労働制を適用していたという事例もあり、労働者側が制度をしっかりと理解していないと不利益を被る可能性が高くなります

専門業務型裁量労働制のまとめ

今回は専門業務型裁量労働制についてまとめました。

専門業務型裁量労働制は、労働時間の裁量が自由になる反面、長時間労働や残業代未払いなどの問題点を多く含む制度です。

もし、ご自身に専門業務型裁量労働制が適用されることがあったら、制度や労使協定の内容をしっかりと把握して、労働者にとって不利益のないように確認しておくことをおすすめします。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。