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労働トラブルに見舞われた時の相談場所として真っ先に思い浮かぶのが、労基署(労働基準監督署)という方は多いでしょう。
しかし労基署は国の機関でお堅いイメージもあり、どんなことを相談できるのか、どのように利用すれば良いか等気になるところですよね。
今回は労基署に相談できる内容や労基署を利用するメリット・デメリット、相談方法を解説します。労基署への相談を検討中の方にとっては、様々な疑問を解決できる内容になっているので、ぜひご一読ください。
目次
まずはじめに知っておいてほしいのは、労基署は全ての労働トラブルに対応してくれるわけではないということです。
労基署は企業が労働基準法を遵守しているか監督する機関なので、明確な労働基準法などの労働関係法違反のケースでなければ原則としては動いてはくれません。
労働基準法違反に該当しないトラブルでも話を聞いてくれる可能性はありますが、企業への指導や勧告といった労基署が持つ権限を行使することはないでしょう。
では労基署に相談可能な労働基準法に違反するトラブルとはどんなものなのでしょうか?「賃金・残業代」「解雇」「採用・労働条件」「労働時間」の4つのカテゴリに分けて、具体的な相談事例を紹介します。
「賃金が支払われない」「残業代が低い」などの賃金・残業代に関するトラブルは労基署が対応できる問題の一つです。
労働基準法第24条には「賃金は通貨で直接労働者に対して全額支払わなければならず、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払う必要がある」と記載があります。
このため、今月は利益が上がらなかったので給与の支払を待ってほしいと会社側からお願いされたら、それは労働基準法違反になります。
また残業代に関しては、労働基準法37条によると1日8時間・週40時間以上の法定労働時間を越えて働かせる場合、1.25倍の割増賃金を支払わなければなりません。もし残業代がこの水準に満たない場合、労働基準法違反となるので労基署に相談してみましょう。
ただし、労基署はあくまで会社に対して指導・勧告を行う立場にとどまり、「残業代を支払え」とは命令できません。未払い賃金を請求する場合は、労働法に強い弁護士への相談をおすすめします。
いきなり「君はクビだから明日からこなくていい」と言われた場合、労基署に相談すれば対応してくれます。
労働基準法20条には、解雇を行う30日前には従業員に対して解雇予告をしなければならないとあります。また、この予告を行わない場合、原則30日分以上の平均賃金を支給しなければなりません。
解雇を受けた際に、会社が上記の手続を行っていなければ、労働基準法違反です。ただし労基署はあくまで企業に対して指導・勧告を行うにとどまり、解雇の有効無効を判断する権限はないので注意してください。
労働基準法第15条には「使用者は労働契約の締結時に、賃金や労働時間などの労働条件を明示する必要がある」と述べられています。このため、労働契約で定めた内容とは異なる条件での労働を強いられていたら、労基署に相談すれば対応してもらえます。
また今までは求人票に記載の内容は、労働契約の内容ではないため、実際の労働条件とは異なっていても仕方ないと考えられてきました。しかし直近の判例(京都地裁平成29年3月30日判決)では求人票記載の内容こそが労働契約の内容であるとの判決を下した例もあります。このため、求人票記載の内容と実際の労働条件が異なるケースでも、労基署に相談してみても良いかもしれません。
朝から晩まで休みもなく働かされているというケースでは、労基署に相談すれば会社に対して働きかけてくれます。
労働基準法第34条には「労働時間が6時間を越える場合は最低でも45分、8時間を越えるならば最低60分の休憩を与えなければならない」とあります。休憩時間がこの水準に満たない環境での労働を強いられている場合、労基署に相談すれば是正勧告などの対応をしてもらえます。
ちなみに、休憩時間とは労働から離れ自由に過ごせる時間を指しており、手待ち時間までは含まれません。
労基署以外にも弁護士や労働組合など相談先はいくつか考えられます。その中で労基署を選択する理由には何があるのでしょうか?
ここでは労基署に相談するメリットとデメリットを解説します。
労基署に相談する一番のメリットは、相談を受けた事案が労働基準法違反だと判断した場合、会社に対して改善するよう、指導や勧告ができる点にあります。
他のメリットは?
労基署の指導勧告を受けたことで態度を改め、法律に則った適切な労働環境を整備するよう会社が動いてくれる場合があります。
また国が運営する機関なので、お金をかけずに相談できるのも大きなメリットです。一方、弁護士に解決を依頼すると着手金だけでも、何万円も支払うケースが多いです。
労基署に相談すれば、お金がない状況でも会社に対して直接的な措置をとってもらうことができます。
労基署が行う是正のための指導や勧告は命令ではないので、強制力はありません。このため、会社としては従う義務がないということになります。
労基署に相談するデメリットは?
とはいえ、再三の是正勧告にも全く従わないなどの行動を見せた場合、罰金や懲役刑が科される場合もあります。
また前述した通り「残業代を支払え」「解雇を取り消せ」など、会社に対して民事上の措置を取ることはできません。労基署ができるのはあくまで労働基準法に違反する行為の改善を指導・勧告することにとどまります。
そして、これらの措置を講じてくれるのは「明確に」労働基準法違反だと言えるケースです。
明確に労働基準法に違反すると断言するためには、何らかの証拠が求められます。証拠が提示できなければ、労働基準法違反に該当する事実があったとしても、対応してくれない可能性が高いです。
自身が経験したことが明らかに労働基準法に違反すると確信があるならば、労基署に駆け込むのも良いでしょう
しかし労基署なんて今まで利用したことがないという人がほとんどだと思います。
ここでは労基署への相談方法や準備すべきものなどを紹介するのでぜひ確認してみてください。
労基署への相談方法は「窓口」「電話」「メール」の3つの中から選択できます。
どこから相談する?
窓口の場合、各労基署によっても異なりますが、基本的には平日の午前9時から午後5時を営業時間としています。
しかし、平日に窓口に行くことは難しい方が多いでしょう。
電話やメールであれば、平日深夜や土日でも対応してもらうことが可能です
電話は「労働条件相談ホットライン(0120-811-610)」というものが用意されており、水曜を除く平日の午後5時~10時、土日の午前10時~午後5時の間なら問い合わせできます。
メールは厚生労働省のHP上の「労働基準関係情報メール窓口」から、24時間いつでも連絡が可能です。
労基署に相談する際は、主張の根拠として以下のような資料を持参すると良いでしょう。
他にも相談内容に応じて、会社の違反を示す根拠資料があれば持参してください。例えば給与の未払いであれば給与明細、残業代の未払いであればタイムカードといった具合です。
みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。