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懲戒処分による減給、法的規制が守られていない減給は違法!

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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雇用主から言い渡された懲戒処分の減給…ガッカリしますよね。

「雇用主は私に恨みでもあって懲戒処分を下しているのでは?」とか「減給額が高すぎる」などの疑問や不満を抱えている方もいることでしょう。しかし、法律では懲戒処分に関することがきちんと定められています

そのため、雇用主は労働者に懲戒処分の減給をする際には、そのルールに従うことが義務付けられています。では、法律では懲戒処分による減給に関して何を定めているのか、労働者が把握しておくべきことを確認していきましょう。

懲戒処分とは?知っておくべき法的根拠

懲戒処分という言葉を聞くと、マイナスイメージがありますよね。実は、懲戒処分には減給だけでなく、さまざまな種類があります。また雇用主が就業規則にのっとらずに懲戒処分を下すことは認められていません

では、懲戒処分に関する法律をみていきましょう。

懲戒処分には種類がある

懲戒処分とは、労働者の違反行為に対して、雇用主が制裁として課すペナルティのことです。懲戒処分にはさまざまな種類があり、公序良俗に反しない範囲でなければいけません。

一般的な懲戒処分には
・始末書を提出することで将来を戒める「けん責
・賃金を減額する「減給
・一定の期間出勤できない「出勤停止
・懲戒処分の中で最も重い処分「解雇
などが挙げられます。

企業が、これらの懲戒処分を行う際には、以下にのべる法的な制限があります。

懲戒処分に関する法的制限とは?

懲戒処分をくだす際の制限となる法律は、労働契約法第15条です。

労働契約法第15条
使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする

ここでは、3つのルールが定められています。
①使用者が労働者を懲戒することができる場合でなければならない
②対象の労働者の行為に対して懲戒すること、客観的に合理的な理由がなければならない
③社会通念上相当でなければならない

まず1つ目の「使用者が労働者を懲戒することができる場合」とは、あらかじめ就業規則において、懲戒処分の種類と懲戒事由を定めている場合のみ、懲戒処分を下すことができるということです。

2つ目の「客観的に合理的な理由」とは、労働者の行為が就業規則に定められている懲戒事由に該当しており、かつその内容が客観的にも合理的と言えなければならない、ということです。

3つ目の「社会的通念上相当」であるとは、社会的相当性が必要ということです。

つまり、懲戒処分を下すまでに他の手段の検討や実践をしたり、懲戒処分を下すまでに適正な手続きが行われることが求められます。

懲戒処分の減給に関する法的根拠 | 減給額には制限がある

いざ給与明細書を確認してみると「わたしの減給額は多すぎなのでは?」と感じる方もいるかもしれません。あなたの懲戒処分による減給が、適正か違法かは、法律を通して確認することが可能です。

減給額に不満や疑問がある場合は、まず法律に基づいて適正とされる額を計算してみましょう。では、懲戒処分による減給の額は、どのように決定するのかを確認していきましょう。

減給には制限がある

懲戒処分による減給については、労働基準法で以下のような定めを置いています。

労働基準法第91条
就業規則で労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金1日分の半額を超え、総額が1 賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない

この規定から、減給の制裁の限度に関するルールが分かります。それは、

①1回の違反行為に対する減給の場合、1回の額は平均賃金の1日分の半額以下にしなければならない
②1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはいけない

という2つのルールです。では、さらに詳しくみていきましょう。

「1回の額が平均賃金の1日分の半額以下」とは?

懲戒処分の減給の1つ目のルールは、1回の違反行為に対して減給できる額は、平均賃金の1日分の半額以下でなければならない、というものです。

例えば、平均賃金の1日当たりの金額が1万円(月給30万円)の場合は、その50%となる5,000円が1回の減給の限度額になります。

「1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはいけない」とは?

2つ目のルールは、1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはいけない、というものです。これは、数回の違反行為に対して減給処分するとき、1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはいけない、という意味です。

例えば、1ヶ月のうちに8回違反行為をしたと仮定しましょう。この場合、1つの違反行為ごとにルール①を適用させ、平均賃金1日分の半額以下にしなければいけません。

平均賃金の1日当たりの金額が1万円(月給30万円)の労働者の場合は、1つの違反行為に対して5,000円が減給の上限です。つまり、8つの違反行為があれば、合計40,000円となります。ところが、ルール②賃金の総額の10分の1を超えてはいけない、という制限も適用されます。

例えば、先ほどの平均賃金の1日当たりの金額が1万円(月給30万円)の労働者の場合、その月の賃金支払額が30万円であれば、その10分の1である30,000円を超えてはいけない、ということです。

よって、ルール①では合計40,000円を減給できるという計算になりますが、ルール②により、その月に減給できる金額は30,000円が限界となります。ただ、残りの10,000円に関しては、翌月の給与から減給することが認められています。

このように法律では、労働者を保護するために、懲戒処分による減給の額に上限を定めていますので、減給額が多いと感じるなら計算してみましょう。

こんな減給は違法の可能性が高い!

あなたの減給は本当に適正なのでしょうか?では、違法となりうる減給についてみていきましょう。

就業規則に規定されていない減給

懲戒処分による減給は、雇用主が労働者を懲戒することができる場合、その基準となるのは「就業規則」です。すなわち、就業規則において減給に関する規定があるときのみ、減給の懲戒処分をすることが認められます。

ですから、勤務先の就業規則に懲戒処分の減給に関する旨の有無や、自分の違反行為が減給処分の事由に該当するかどうかを確認してみましょう。もしも就業規則に懲戒処分による減給の旨が記載されていない、または懲戒処分事由に該当しない場合の減給は、違法の減給と言えます。

経営難による一方的な減給

経済状況や時世の影響により、会社の経営が悪化している場合、雇用主の一方的な判断で労働者の給与を減給しようとすることがあります。しかし、労働者と雇用主は労働契約を結んでいるため、雇用主の裁量で一方的に減給することは法律で認められていません

労働契約法第9条
使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。

ただし、賃金を減給する不利益な変更であっても、変更内容が合理的で、就業規則が周知されている場合は違法とはなりません(労働契約法10条)。

もしも自分の減給が不当であると感じるならひとりで悩まず、弁護士などの専門家に相談してみましょう。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。