不当解雇・退職勧奨
お悩みお聞かせください

無料相談窓口(24時間全国対応)

※伺った事情をもとに、ショートメールメッセージ(SMS)か電話にて専門員が返答いたします

※ユニオンとしてご対応が難しいものでも、適切な相談先をお伝えしますので、まずはご連絡ください

ホワイトカラーエグゼンプションで残業代はないとされている場合の対応方法

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

20190205190448 aee87d4235cf3ccd124f9224884b39708cbc4673

いわゆる「働き方改革」という政策のもとに、様々な制度が導入されてきました。

ホワイトカラーエグゼンプションに関する制度もその一つで、日本では働き方改革の中で、「高度プロフェッショナル制度」として2019年4月より運用が始まっています。

しかし、実態になじみがない中で「残業代の支払いをしなくてよい」ということから、法律的な要件を満たさないまま利用をされているケースが想定されます。

このページでは、ホワイトカラーエグゼンプションとはどのようなものか、ホワイトカラーエグゼンプションを理由に残業代の支払いがない場合の対応方法についてお伝えします。

ホワイトカラーエグゼンプションには厳しい要件がある

日本のホワイトカラーエグゼンプション(高度プロフェッショナル制度)には厳しい要件があり、一般的な仕事をしている限りでは当てはまらないことが多いことを確認しましょう。

ホワイトカラーエグゼンプションとは

一般的なホワイトカラーエグゼンプションとは、労働者の中でもいわゆる「ホワイトカラー」と呼ばれる人の一部について、労働に関する法律の規制を緩和したり・適用を免除する制度のことを言います。
ホワイトカラーエグゼンプションの趣旨は?

日本における労働基準法に規定があるように、労働者の保護のために労働時間については上限が定められています。

このような法律体系は、いわゆるブルーカラーと呼ばれる建設業や製造業に従事するような人にとっては適切なものですが、頭脳労働者のように長く働けば生産性がたかまる、という関係にない人もいます。

そのような人について、労働時間などに関する法律をあてはめるのが妥当でないため、法律による規制をはずそうというのがホワイトカラーエグゼンプションです。

日本では高度プロフェッショナル制度として導入

日本でもホワイトカラーエグゼンプションの導入が議論されていましたが、「働き方改革」の一環として、「高度プロフェッショナル制度」としてホワイトカラーエグゼンプションが2019年4月から導入されています。

高度プロフェッショナル制度の適用があると、労働時間・休憩・休日・深夜の割増賃金などの規定が適用されません

高度プロフェッショナル制度の適用を受ける要件は?

では、どのような場合に高度プロフェッショナル制度の適用を受け、労働時間などの規定の適用が無くなるのでしょうか。
高度プロフェッショナル制度の適用を受けるには、対象の業務と労働者についてそれぞれの要件があります。

高度プロフェッショナル制度の対象となる業務は?

まず高度プロフェッショナル制度の対象業務としては、業務内容が高度で専門的な知識・技術が必要であり、労働時間と成果との関連性が高くなく対象業務に従事する時間に関して、使用者から具体的な指示を受けて行うものでない、といえる業務である必要があります(労働基準法41条の2)。
具体的には?

そして、対象業務として、労働基準法施行規則34条の2第3項で、次の5つが設定されています。

  • 金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務
  • 資産運用(指図を含む。以下同じ。)の業務又は有価証券の売買その他の取引の業務のうち、投資判断に基づく資産運用の業務、投資判断に基づく資産運用として行う有価証券の売買その他の取引の業務又は投資判断に基づき自己の計算において行う有価証券の売買その他の取引の業務
  • 有価証券市場における相場等の動向又は有価証券の価値等の分析、評価又はこれに基づく投資に関する助言の業務
  • 顧客の事業の運営に関する重要な事項についての調査又は分析及びこれに基づく当該事項に関する考案又は助言の業務
  • 新たな技術、商品又は役務の研究開発の業務

金融に携わる職業の方や、コンサルタント士業商品開発などといった職種の方が該当することになります。

対象となる労働者

どのような労働者が対象になるかについては、労働基準法41条の2第1項2号で、

  • 書面により合意に基づいて職務が明確に定められていること
  • 基準年間平均給与額の3倍の額を相当程度上回る水準として厚生労働省令で定める以上の給与が支払われていること

が必要とされています。

「基準年間平均給与額の3倍の額を相当程度上回る水準として厚生労働省令で定める以上の給与が支払われていること」として、2021年1月現在は1,075万円以上となっています。

制度を理由に残業代の支払いがない場合の対応方法

この制度が導入されたことをいいことに、「わが社では、ホワイトカラーエグゼンプションを導入したので、コンサルタントには残業代の支払いがされません」などとして、要件を満たさないまま残業代の支払いがないような場合があります。

このことをもって制度導入時には「残業代ゼロ法案」と揶揄されていました。
実際この場合に直面したときの対応方法にはどのようなものがあるのでしょうか。

要件を満たさないで残業代の支払いをしないと法律違反

ホワイトカラーエグゼンプション・高度プロフェッショナル制度は、上記のように厳格な労働基準法の適用を受けて、労働時間等に関する規定を例外的に適用しないにとどまります。

高度プロフェッショナル制度の要件を満たさず残業代の支払いをしない、労働時間に関する規定を守らないような場合には、労働基準法違反となります。

労働基準法に違反した場合には行政処分・刑事罰

労働基準法の規定に違反した使用者については、行政処分刑事罰の対象となります。

監督官庁である労働基準監督署は、会社に立ち入って書類を閲覧したり、報告をさせたりすることができます。

また、労働基準法に違反する場合には、刑事罰が科せられます。
例えば、労働時間に関する規定に違反して長時間労働をさせると、労働基準法32条に違反することになり、労働基準法32条に違反する場合には、労働基準法119条で6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する旨が規定されています。

会社の人事担当者に労働基準法違反を指摘する

会社がホワイトカラーエグゼンプションと主張して、労働基準法に違反している場合には、まず会社の人事担当者に相談をしてみましょう。

まだ新しい制度ということもあり、細かい規定があることを知らずに運用しているような場合で、会社としては労働基準法を遵守するつもりの場合には効果が期待できます。

会社が是正しなければ労働基準監督署に通告をする

会社の人事担当に相談をしても是正されない、そもそも会社は労働時間や残業代に関する規定を守るつもりはないような場合には、労働基準監督署への通告を検討しましょう。

労働基準法違反があるからといって、労働基準監督署がすべてこれを把握しているわけではありません。

そのため、労働基準監督署に通告を行って、行政指導をしてもらい、改善を促してもらうことが効果的です。

退職後には民事訴訟・労働審判を検討する

会社を退職した後であれば、民事訴訟・労働審判を検討します。

ホワイトカラーエグゼンプションを主張して労働基準法違反をしているような場合には、未払いの残業代の支払いや、違法に長時間労働をさせたことに対する慰謝料の支払いを会社に求めることができる場合があります。

退職後にこれらの支払いを求める場合、交渉をしても支払いをしない場合には法的な手段を用いることになります。
法的な手段には訴訟の他、労働審判という柔軟な解決手段もあります。

なお、労働基準法違反が悪質であるような場合には、付加金の支払いを求めることができますが(労働基準法114条)、これは訴訟をした場合のみなので注意しましょう。

まとめ

このページでは、ホワイトカラーエグゼンプションおよび、日本版のホワイトカラーエグゼンプションともいえる「高度プロフェッショナル制度」の概要と、この制度を主張して長時間労働をさせる・残業代を支払わないような場合の対応方法についてお伝えしてきました。

働き方改革によって導入された制度で、適用される人も限られている制度です。

安易にホワイトカラーエグゼンプションを主張して、会社が残業代の支払いをしないような場合には、専門家に相談しながら適切な対応をするようにしましょう。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

詳しくはこちら

みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。