テレワークだから残業代はでない、というのは正しい?法律の規定を確認

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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新型コロナウイルス感染症対策で在宅勤務テレワークが推奨されています。このときに、終業時間を一律としているので残業代の支払いはない、など適切な残業管理がされていないケースがあります。

このページではテレワークにおける残業についての法律の規定はどうなっているか、違法な場合の対策方法についてお伝えします。

テレワークをするときの残業についての法律知識を確認

まず、テレワークをするときの残業について、法律はどのようになっているかを確認しましょう。

テレワークは勤務先が自宅になるだけ

テレワークというと日本では馴染みもないため、特殊な勤務体系と感じる方も多いでしょう。

しかし、テレワークといっても、勤務先が会社から自宅になるだけで、会社で働いていることと変わりません。

そのため、テレワークで残業をする場合も、労働基準法の規定に沿って取り扱われます

テレワークでも労働時間には上限がある

まず、労働時間については、労働基準法32条が、

  • 1日8時間以上労働させてはならない
  • 1週間に40時間以上労働させてはならない

としています。

テレワークになったからといって、この原則に変更があるわけではありません。

労働時間の上限を超えるためには36協定が必要

労働基準法32条所定の労働時間を超えて労働者に労働をさせるには、36協定が必要です。
36協定とは?

36協定(さぶろくきょうてい)とは、労働基準法36条に規定されているからこのように呼ばれているもので、労働時間の上限を超えて労働をさせるためには、

  • 労働者の過半数で組織する労働組合
  • 労働者の過半数で組織する労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者

と書面による協定を結び、労働基準監督署に届け出る必要があります。

テレワークだからといって36協定なしに残業をさせることはできません。

この協定なく、労働基準法32条を超える残業をさせている場合には、行政処分や刑事罰の対象となります

36協定があっても残業などの時間外労働には制限

36協定があっても残業などの時間外労働について、労働基準法36条4項によって、次のような上限があります。
残業代の上限は?

  • 1ヶ月45時間
  • 年360時間

36協定に特別条項がついている場合には、

  • 時間外労働は年720時間まで
  • 1ヶ月に100時間を超えてはならない(休日労働含む)
  • 2~6ヶ月平均で80時間を超えてはならない(休日労働含む)
  • 時間外労働が月45時間を超えるのは年6回が上限

となります。

テレワークであれば、自宅に居るのであるから無限にしなければならないということはありません。

残業をさせる以上は割増賃金が必要

労働者に残業をさせる場合には、労働基準法37条1項で、次のような割増賃金の支払いが必要です。

  • 1日8時間または1週40時間を超えた場合には25%
  • 1ヶ月に60時間を超える時間外労働については50%(中小企業については猶予されている)。

テレワークでも同様で、テレワークを理由に残業代を払わない・割増賃金で支払わないことは違法となります。

テレワークを理由に残業代を支払わない会社への対応方法

もしテレワークを理由に残業代を支払わないなど上記の労働基準法違反を行う会社にはどのような対応策があるでしょうか。

違反をする会社には行政処分・刑事罰が科せられる

労働基準法違反をする会社にはどのようなペナルティが科せられるのでしょうか。

まず、労働基準法違反をする会社には、労働基準監督署が行政処分をすることができる旨が、労働基準法に規定されています。

行政処分の内容としては、

  • 会社に立ち入って帳簿や書類の提出を求めたり、使用者・労働者に尋問を行うこと(101条)
  • 使用者に必要な事項を報告させる・出頭を命じる(104条の2第1項)

が規定されています。

また、労働基準法違反については、117条以下で刑罰規定が規定されており、懲役刑・罰金刑を科することができるようになっています。

会社の労務管理の担当者に相談をする

新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを普及させるということは、前例の無い事態ですので、会社の労務管理がうまく追いついていない場合もあります。

会社としては適切な管理を心がけていても、上手くいっていない場合もありますので、まずは労務管理の担当者に相談をしてみましょう。

個人で交渉をするのが難しい場合には、労働組合を通すことも選択肢に加えて良いでしょう。

労働基準監督署に通告をして行政指導をしてもらう

行政処分によって会社がテレワークに関する運用を改めてもらうことが期待できます。

ですので、労働者としては、労働基準監督署に対して、労働基準法違反があると通告を行います。

これによって労働基準監督署が労働基準法違反があることが確認できれば、より早く行政処分を出してもらうことが期待できます。

金銭請求をする場合には内容証明・民事訴訟を提起

テレワークに切り替わってから残業代が支払われないので退職した、という場合には、支払われなかった残業代を求めて交渉をします。

請求の方法については法律の規定はありませんが、内容証明を利用するのが一般的です。

交渉をしても支払いに応じない・額に争いがあるような場合には、民事訴訟を提起します。
労働問題に関する法的な紛争解決手段については、労働審判という方法もあります。

テレワークで残業代を主張する場合に注意すること

テレワークであることによって残業代を主張するときに注意することはどのようなことでしょうか。

残業の指示については明確に出してもらう

通常の会社に通勤しての勤務でも、残業については基本的には会社・上司からの指示がある場合に行い、指示がある残業について残業代が支払われます。

会社に通勤しているときのように、残業をして会社に居る場合ではないので、残業の指示をしていない、と指摘される可能性が、テレワークの場合には高いといえます。

web会議などで指示があったような場合には、残業の指示があったことが証拠に残らないこともありますので、残業をする必要についての指示があった場合には、Eメールなどで明確な指示をもらうなどして、残業が必要であったことをきちんと主張できるようにしましょう

残業時間が明確にわかるようにしておく

テレワークの場合に、会社に居るわけではないので、残業をしているかどうかの管理ができない場合があります。

そのため、残業の指示をもらうことはもちろんですが、その残業にどのくらいの時間がかかったか、会社も認識できるようにしておくことが必要です。

指示があった残業がいつ終わったのかわかるように、業務が終わったことをEメールで報告したり、Eメールの送受信履歴を管理しておくなどして、客観的に残業時間がわかるようにしておきましょう

まとめ

このページでは、テレワークをしている人が知っておきたい、残業に関する法律知識と、法律が守られていない場合の労働者の対応方法についてお伝えしてきました。

新型コロナウイルス感染症対策のために普及しつつあるテレワークですが、労働基準法が適用されることは変わりません。

労働基準法が守らないような場合には、専門家に相談しながら、労働基準監督署に通告して是正を求めるようにしましょう。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。

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