在宅勤務なので残業代が出ないのは違法!法律の規定と対応方法について紹介

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2020年から続くコロナウイルス感染症対策として、会社から在宅勤務を命じられているようなケースがあります。

急に在宅勤務へのシフトをしたせいで、労務管理に関する対策が追い付いておらず、労働時間が把握できない結果、残業代の支払いがない、という人もいらっしゃるのではないでしょうか。

結論からいうと、在宅勤務をしている場合でも、残業に関する労働基準法の適用を受けるので、在宅勤務を理由に残業代の支払いをしないことは、労働基準法違反となります

このページでは、在宅勤務の残業に関する法規制と、会社が法律に違反する場合の対応方法についてお伝えします。

在宅勤務でも労働基準法が適用され残業代の支払い義務がある

在宅勤務になっている場合でも労働基準法が適用され残業代の支払い義務があります。

在宅勤務であっても労働基準法が適用される

在宅勤務である場合でも労働基準法が適用されることを確認しましょう。

労働契約や就業規則では勤務場所が指定されていますが、在宅勤務はこの勤務場所が自宅になるだけで、在宅勤務であるからといって労働基準法が適用されないわけではありません。

そのため、残業をさせる場合には労働基準法の規定が適用されます

残業が命じられる場合の法律の規定には次のようなものがあります。

残業を含む時間外労働をさせるには36協定が必要

まず、そもそも残業を含む時間外労働をさせるためには36協定が必要です。
36協定(さぶろくきょうてい)とは?

労働時間については労働基準法32条で

  • 1週40時間
  • 1日8時間

が上限とされています。

36協定(さぶろくきょうてい)とは、労働基準法36条に規定があるためこのように呼ばれているもので、この上限を超えて労働者を働かせる場合に必要とされるものです。

その内容としては、時間外や休日に働かせることについて

  • 労働者の過半数で組織する労働組合
  • 労働者の過半数で組織する労働組合がない場合には労働者の過半数を代表する者

との間で書面で協定をかわすとしています。

36協定があって残業ができる場合でも上限がある

36協定を結んだからといってどれだけでも残業をさせてよいというわけではなく、次のような上限があります。
残業時間の上限は?

  • 年360時間以内
  • 一カ月45時間

なお36協定に特別条項がある場合には、

  • 年720時間以内
  • 時間外労働と休日労働を合わせて一カ月100時間以内
  • 時間外労働と休日労働を合わせた複数の月の平均が80時間以内
  • 一カ月45時間を超える残業をさせることができるのは年6回まで

という制限があります。

残業をさせる場合には割増賃金の支払いが必要となる

残業をさせる場合には、さらに割増賃金の支払いが必要です。
割増賃金の割合率は?

割増賃金の割増率は次のようになっています。

  • 1日の労働時間が8時間を超えない範囲での時間外労働:0%
  • 8時間を超える時間外労働:25%
  • 時間外労働が月60時間を超えた場合の割増率:50%
  • 時間外労働が午後10時から午後5時までの深夜労働になった場合:50%

在宅勤務であるからといって例外になるものではなく、同じ割増率で支払う必要があります

在宅勤務を理由に残業代を支払わないなどの場合の対応

会社が在宅勤務を理由に残業代を支払わないなど、労働基準法に関する規定を守らない場合には、どのように対応すべきでしょうか。

会社の労務担当者と相談をする

単に会社が法令の把握ができていないだけの場合であれば、本来あるべき状態にしてもらうように会社の労務担当者と相談をしてみましょう。

在宅勤務については、会社の規定を整備したり、出勤時間の確認方法について会社の設備などを整備したりする必要があります。

在宅勤務について経験のないような会社が、急に在宅勤務の体制をととのえようとして、労働基準法に違反していることに気付いていないこともあるでしょう。

また、自分の直轄の上司が違反をしているだけであって、会社としては労働基準法を守る体制をとっている場合には、会社の労務担当者から上司に対して指導などの働きかけをすることが期待できます。

個人で相談をすることが難しい場合には、社内の労働組合や、ユニオンなどを通じて交渉してみても良いでしょう。

労働基準監督署に通告して行政指導をしてもらう

労働基準法に違反すると、行政指導や刑事罰の対象となります。

会社に労働基準法を守らせるために労働基準監督署が設置されており、労働基準監督官は会社に対して立ち入って検査を行ったり、報告を求める・呼出をするといった権限が認められています。

そのため、労働基準法違反の状態である旨を労働基準監督署に通告を行い、労働基準監督署から行政指導をしてもらうことによって、労働基準法違反の状態を解消してもらうことが期待できます。

未払いの残業代の請求

残業代の支払いがない場合には、その支払いを求めて請求を行います。

内容証明を送るなどして、会社に任意に支払うように交渉をして、それでも支払いがない場合には、裁判を起こすことになります。

なお、未払い残業代があるような場合には労働審判という、裁判所での法的な手続で、裁判よりも柔軟な解決を目指すものも利用することができます。

在宅勤務をする際の残業に関する注意点

以上が労働基準法の規定に基づくものですが、在宅勤務の場合に特殊な問題がいくつかありますので検討しましょう。

労働時間の管理に関する規定に従う

まず、在宅勤務をするにあたっては、自宅できちんと仕事をするように、会社が在宅勤務に関するパソコンの利用などのルールを設定してくることがあります。

たとえば、会社にいたころには紙のタイムカードであったものが、クラウドサービスのタイムカードに変わったりします。

また、社内の人が使う専用のSNSツールを利用して、勤務をしている、会議・通話をしている、休憩をしているなどの管理をしていることもあります。

ツールの利用などについての会社からの指示を正しく守っていないと、会社から労働をしている・残業をしているなどの認定をしてもらえない可能性があります。

在宅勤務に関するルールが設定されたときには、ルールを守った行動をしましょう

残業の指示は客観的に残すようにする

在宅勤務になると、直接見えていないので、コミュニケーションの量が減ります。
残業の指示を残す理由やその方法は?

そのため、上司が直接見ていなくて、残業をさせるつもりがない指示を出した場合でも、実は仕事がたくさんあって残業をしなければならなくなった、というケースが想定されます。

このような場合に、上司としては残業の指示は出していないので、残業の支払いはできない、と主張し、労働者としては業務量から言って残業の指示があったと推認できる、と争いになることが予想されます。

そのため、上司から何か指示があった場合に、その仕事をするには残業をしなければならない旨を、メール・SNSなどで伝えて了承をもらうのが理想的です。

電話などでの通話でこういった指示があった場合には、メール・SNSなどで復唱し、残業が必要であることを伝えるなど、客観的に指示があったことが残るようにすべきといえます。

労働時間の管理ができていない時には証拠を残す

在宅勤務に関する労務管理体制が上手くととのっておらず、残業の実態が把握できないため残業代の支払いをしない、というケースが想定することができます。
残業の証拠になるものは?

このような場合には、きちんと残業をしていた実態を残すようにしましょう。

業務に関するメールの送受信の記録SNSなどのメッセージの送受信の記録会社の都合で電話をしたような場合の記録など、客観的に残るものについてはきちんと保存します。

客観的に残すことができないものについては、詳細に日記のような形でメモを残すなどして、客観的に残すことができる証拠と併せて確保をしましょう。

まとめ

このページでは、在宅勤務をする場合の残業に関する法規制と、まもられない場合の対応策などについてお伝えしました。

在宅勤務といっても、労働基準法が適用されますので、通常の勤務と変わらない規制があります。

在宅勤務特有の事情があり、判断に困る場合には専門家に相談をするようにしましょう。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。

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