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解雇予告手当とは|労基法のルールと計算&請求方法のすべて

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

03 0918

会社から突然の解雇を告げられてしまった場合、解雇予告手当を貰えることをご存じでしょうか。

解雇予告手当は突然の解雇から生活を守るための制度です。きちんと法律に則った解雇予告手当を受け取るために、解雇予告手当について確認しておきましょう。

このページでは解雇予告手当とはどういうものなのかを確認し、解雇予告手当の計算方法や支払日、会社が解雇予告手当を適切に支払ってくれないときの対処法や注意点など、解雇予告手当についての疑問を全て解説します。

突然の解雇のときもらえる解雇予告手当とは?

まずは、解雇予告手当についてきちんと認識しておきましょう。

正社員だけでなく、アルバイトやパートでももらえるのか?
懲戒解雇や退職勧奨、即日解雇の場合は手当の対象なのか?

それらについても労働基準法の規定をもとにまとめていますので、自身の雇用形態等と照らし合わせてみてください。

解雇予告手当とは?

原則として会社は、従業員を解雇する場合については、少なくとも30日前に予告する義務があります(労働基準法20条1項)。

解雇の予告から解雇日までの期間が30日に足りない場合には、不足日数分以上の平均賃金を支払わなければなりません

この、30日以上前に解雇予告がされなかった際に支払われる手当を解雇予告手当といいます。
即日解雇も可能?

たとえば解雇予告日ごとに必要な解雇予告手当は以下のようになります。

  • 即日解雇:30日分
  • 解雇日の20日前に解雇通知:20日分
  • 解雇日の30日前に解雇通知:解雇予告手当は不要

解雇予告の日数は、平均賃金を支払った日数分だけ短縮することができるため、会社によっては、平均賃金を支払うことで即座に解雇をするということもあります。

ただし、注意が必要なのは、解雇予告手当を支払えば会社が自由に労働者を解雇できるようになるわけではないということです。
経営者の中には1か月分の給料を払えば解雇できると勘違いをしている人が少なくありません。

法律上認められないような不当解雇はそもそも無効な解雇です。解雇予告手当の支払いをしても有効な解雇になるわけではありません。

解雇予告手当は労働者の生活の保障のための制度ですので、有効な解雇であってもなお会社は支払わなければならないものなのです。

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解雇予告手当の対象者|バイトや試用期間でも解雇予告手当はもらえる?

正社員でなくても、原則として、解雇予告手当をもらう権利があります。パートやアルバイト、派遣社員などの非正規労働者も適用対象者として受け取ることができます

ただし、例外的として、①日々雇い入れられている者②2か月以内の期間を定めて使用される者③季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者④試用期間中の者、のいずれかに該当する場合には、以下の一定期間を超えて働いている場合でなければ解雇予告手当をもらうことができません(労働基準法21条)。
労働基準法21条とは?

①日雇い労働者1か月を超えたとき
②2ヶ月以内の期間契約所定の期間を超えたとき
③4か月以内の期間契約(季節的業務)所定の期間を超えたとき
④試用期間14日を超えたとき
解雇予告手当の支払いが必要になる期間

解雇予告が不要なケース|懲戒解雇でも解雇予告手当はもらえる?

①天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合、又は②労働者の責めに帰すべき事由に基づいて解雇する場合には、労働基準監督署長の認定を受ければ、解雇予告の規定は適用されません(労働基準法20条1項但書)。

この規定により、懲戒解雇など労働者側に明確に責任がある場合には、解雇予告手当がもらえないことがあります。

ただし、実際には事業者がわざわざ労働基準監督長の認定を受けていることは少ないため、懲戒解雇であっても解雇予告手当を受け取れるケースも多いです。

懲戒解雇なので支払わないと言われた場合には、労基の認定を受けているのか確認をしてみてください。

解雇予告手当の計算方法は?

解雇予告手当を受け取れるとなったとき、いったいいくらもらえるのかは気になると思います。

社会保険や通勤手当などが含まれるのか、疾病等による療養期間がある場合はどうなるのか、など。会社からきちんと支払われているか確認するためにも、計算式を知っておきましょう。

源泉徴収が必要かどうかも解説していますので、今後の手続きを把握しておくためにぜひご覧ください。

解雇予告手当の計算方法

解雇予告手当の金額は、まず自分が何日分の解雇予告手当を貰えるのか計算し、その日数に平均賃金の額をかけて計算します。

【解雇予告手当の額=平均賃金×解雇予告期間が30日に満たない日数ぶん】

もしも20日前に解雇を告げられた場合は10日ぶん、10日前に解雇を告げられた場合は20日ぶんの解雇予告手当が支払われます。
解雇の予告自体行われず即日に解雇される場合は、30日ぶんの平均賃金が支払われます。

解雇予告手当の平均賃金はどう計算する?

解雇予告手当の計算に用いる1日ぶんの平均賃金は、直前3ヶ月ぶんの賃金総額÷3ヶ月ぶんの総日数で計算します(労働基準法12条)。
※1銭未満の端数は切り捨て、1円未満の端数は四捨五入
具体的な計算例

計算する期間について、毎月決まった日に賃金締切日がある場合は、直前の締切日から3ヶ月数えることになります。

【具体例】
月給20万円・給料締め日が毎月15日で、12月31日に解雇され、退職日が1月15日である場合。

直前の締め日である12月15日から3か月を数えますので
平均賃金=(9月16日~12月15日の賃金総額)÷(9月16日~12月15日の総日数)で計算します。

よって、平均賃金は60万円÷91日≒6,593.40円となります。

解雇予告期間の不足分は15日ですので、もらえる解雇予告手当の額は6,593×15日分=98,895円になります。

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平均賃金に含まれるものは?

平均賃金の計算方法は、労働基準法12条に定められています。解雇予告手当の平均賃金も、この労働基準法12条に基づいて計算されることになります。基本的には、平均賃金は、その計算が必要になった時点から遡って3か月間における賃金の総額をその期間の総日数で除して算出されることになります。
療養期間がある場合は?

なお、賃金総額は以下のような手当も含めて計算されます。

  • 通勤手当・通勤定期代
  • 精皆勤手当
  • 年次有給休暇の賃金
  • 昼食料補助 など

ただし、以下の3点は賃金総額に含まれない点にご注意ください。

  1. 結婚手当や見舞金などの臨時で支払われた賃金
  2. 3か月を超える期間ごとに支払われる賞与(ただし、賞与が3か月ごとに支払われている場合は賃金総額に含まれます)
  3. 法令や労働協約に定められていない現物給与

もっとも、その3か月間の間に業務上の負傷・疾病による療養期間や、産休産後の休業期間があった場合は、別途、法律上の調整が入ります。

そのままの状態で賃金を参入すると、療養期間や休業期間といった従業員には制御できない特別の事情によって、賃金の総額が異常に少なくなりすぎるためです。

平均賃金の最低保障額

平均賃金には最低保障額が定められています。

本来であれば、1日あたりの平均賃金額は3か月間の賃金総額を総日数で除した金額となるのですが、労働日数が少ない労働者の場合、同様の計算をすると平均賃金が極端に低額になってしまいます。

そのため、このような労働者に関しては労働日あたりの賃金の60%を最低保障額としています(労働基準法12条1項但書)。

平均賃金の最低保障額の計算式

「平均賃金の最低保障額」=「3か月間の賃金総額」÷「3か月間の勤務日数」×0.6

上記の最低保障額と平均賃金(「3か月間の賃金総額」÷「総日数」)を比較し、より金額の高いほうが解雇予告手当の計算に用いられます。

解雇予告期間はどこでわかる?

解雇予告期間は、解雇を告げられた日の翌日から実際に解雇されるまでの期間を指します。

解雇予告された当日は予告日数に含まれないことに注意が必要です(民法140条)。

解雇を予告された日については、解雇通知書や解雇を告げられた際の文書やメールの記載が客観的な証拠になります。

解雇予告手当に所得税の源泉徴収は必要?

解雇予告手当は、①退職所得(解雇予告手当・退職金など)が退職所得控除額以下で、②「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば、所得税はかかりません。よって、確定申告も必要ありません。②が無い場合は20.42%の所得税が源泉徴収され、確定申告により清算する必要があります。

解雇予告手当がもらえないときの請求方法と注意点

解雇予告手当をもらえるはずなのに、会社が払ってくれないときの対処方法を解説します。
請求方法や頼れる相談窓口をご案内しますので、泣き寝入りしないためにご確認ください。

請求の期限もありますので、期限を迎える前に早急な手続きをおすすめします。

解雇予告手当請求の要注意点

自身の受けた解雇が不当解雇ではないかと納得がいかない場合には、解雇予告手当を請求することは注意が必要です。

なぜなら、自分から解雇予告手当を請求するということは、裏返せば解雇自体は認める・受け入れる主張になるからです。
どうすればよい?

そのため、解雇予告手当を請求してしまうと、あとから解雇の無効を主張をすることは困難が伴います。

もし、不当解雇として争いたいということあれば、解雇予告手当の請求はせずに弁護士や労働組合などの専門家に相談した方が安全です。

不当解雇であれば、解雇予告手当が貰えなくとも、解雇が無効なのでそもそも労働契約に基づいた給料を請求する権利があります。

仮に、解雇を争うつもりがあるのに、一方的に会社から解雇予告手当が振り込まれてしまった場合には、紛争解決までは手を付けずにそのままおいておくか、「今回の解雇には納得がいっておらず無効な解雇だと思っているので、解雇予告手当として振り込まれた金銭については、○月分の給与として受領します」などと一言会社に伝えておくと良いでしょう。

解雇予告手当の請求書の書式

解雇予告手当の請求方法に特に決まりはありません。書面で請求しても、口頭で請求しても、どちらでも大丈夫です。
解雇予告を受けずに解雇された場合は、なるべく早くに会社に請求しましょう。

請求した事実を証拠として残す意味では、内容証明郵便による書面での請求がベストかもしれません。
自分で交渉できる?

解雇予告手当は、法律上の要件が明確で、違反すれば一目瞭然で分かるルールです。そのため、従業員本人が未払いの手当を請求した場合でも、会社としてはスムーズに応じてくれるケースがあります。

交渉が難航した場合は、労働基準監督署などに相談し、当局の方から一報入れてもらうとよいでしょう。

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解雇予告手当の支払日・請求期限・時効はいつ?

解雇予告手当は解雇の通知と同時に支払う必要があります

解雇予告手当の時効については、解釈に争いがありますが、労働基準法115条の適用により、「2年」という説が有力です。
そのため、解雇予告手当を請求したい場合は、解雇された後、なるべく早くに会社に請求をした方がよいです。2年放置すれば、時効により消滅したと判断される可能性があります
解雇が結構前の場合は?

もし解雇からある程度の時間が経っている場合は、早めに専門家に相談しましょう。時効の進行を中断させるためには、「裁判上の請求」「支払督促」などの一定の法的手続きを取る必要があります。専門家に相談して、今後の解雇予告手当の回収可能性について、よく検討してみましょう。

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解雇予告手当を支払ってもらえない場合は

解雇予告手当を支払ってもらえない場合は、会社は労働基準法20条に違反していることになります。

そのため、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金がペナルティとして科される可能性があります(労働契約法第119条)

また、裁判になれば裁判所から「付加金」と合わせて2倍の金額を支払えと認定される場合があります(労働基準法114条)。
まずは、この付加金の事実を会社に伝え、手当の支払いを交渉してみましょう。
なお支払いがない場合は?

それでも支払ってもらえない場合は、労働基準監督署に相談をしてください。

会社が労働基準法の理解が不十分なため解雇予告手当の支払いをしていないようなケースもあり、その場合は労基署の指導や勧告が入れることで、スムーズに解雇予告手当を満額支払ってくれることも多いです。

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解雇予告手当をもらえなかったら?もらえない事例と請求方法について解説

解雇予告手当の相談窓口は?

前述のように、解雇予告手当は、労働基準法に関する事項なので、労働基準監督署に相談することが有効です。

また、労基署以外の相談窓口としては、弁護士事務所や労働組合があります。私たち「みんなのユニオン」の相談窓口においても、解雇予告手当の問題を無料で取り扱っているので、お気軽にご相談ください。
弁護士に依頼すべき?

解雇予告手当の回収については、金額がそれほど高くないため、自分で行うか労基署に申告し会社に指導勧告してもらうのがベストです。

もし会社との交渉が行き詰まった場合は、労働組合・ユニオンから連絡を入れてもらい、会社に圧力をかけましょう。法律上、支払いの要件が明確な手当なので、会社も納得して解決に至ることが多いです。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。