無断欠勤で解雇されるケースとは?解雇を回避できる3つの理由も紹介

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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「どのくらい無断欠勤したら会社から解雇されてしまうんだろう…」
「解雇になった場合、手当や退職金は受け取れるのかなあ?」

会社で働いていて、上記のような疑問を持つことはありませんか?

何らかの事情で無断欠勤が重なってしまった場合、解雇を言い渡されるのではないかと不安になりますよね。

今回は無断欠勤によって会社を解雇になってしまうケース、解雇時の給与・手当・退職金の受け取り、そして実際に解雇された後の動きについて解説します。
特に無断欠勤をしてしまっている労働者の方はぜひ最後までご覧ください。

無断欠勤によって解雇されるのはどんなケース?

無断欠勤をすれば会社や使用者からの評価が下がることは避けられません。

しかし解雇にまで至るかどうかは、無断欠勤の日数欠勤の理由普段の職務態度など様々な要因によって変わります

まずは解雇となる無断欠勤期間の目安から、解雇になるかどうかの判断基準、そして解雇を回避できる3つの理由を見ていきましょう。

解雇の対象になる無断欠勤の日数

一般的には一度無断欠勤したからといって即日解雇されるケースは稀です。
ある程度の期間無断欠勤が続いたときに解雇の対象になると考えて良いでしょう。
目安になる日数は?

解雇となる日数については、法律で「〇日無断欠勤したら解雇」と明記されているわけではないため、会社や職種によってまちまちであると言わざるを得ません。

ただし、国によって「原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、会社側からの出勤の督促にも応じない場合」という解雇の判断基準が設けられています(昭和23年11月11日基発1637号)。

実際に、2週間にわたって特別な理由なく無断欠勤したため、懲戒解雇は有効であると判断された開隆堂出版事件(東京地裁・平成12年10月27日判決)のような裁判例もあります。

一方で梅檀学園事件(仙台地裁・平成9年7月15日判決)では、大学の専任講師が2年続けて同時期に2週間の無断欠勤をしたものの、業務に大きな障害が生じていないことから懲戒解雇は行き過ぎた処分であり、解雇は無効だと判断されました。

解雇が法的に正しいかどうかは欠勤期間以外にも様々な条件を考慮して決められます。
2週間という数字はあくまでも目安だと理解しておきましょう。

解雇になるかどうかを判断するポイント

無断欠勤の日数以外で解雇となるかを判断する基準としては、以下のようなものがあります。

  • 会社から注意や出勤の督促何度も出されているか
  • 会社側に無断欠勤の証拠があるか
  • 無断欠勤が業務に障害を及ぼしているか
  • 無断欠勤に正当な理由があるか

十分に条件を満たしていないのに労働者を解雇することは、解雇権の濫用にあたります。
会社が注意していない場合や、労務管理がずさんで無断欠勤の証拠が揃っていない場合は、裁判になると解雇が無効になる可能性が高いです。

また、無断欠勤に正当な理由があるケースでも解雇を避けることが出来ます。

ただし、無断欠勤を余儀なくされるケースは少なく、正当な理由になり得るものは非常に限られることに注意しましょう。

解雇を避けられる3つの正当な理由

無断欠勤の正当な理由になる可能性があるのは、次の3つです。

  • 交通事故・自然災害に巻き込まれた
  • 職場でセクハラ・パワハラを受けており、就業環境が劣悪である
  • 重い精神病を患っている

事故にあったり、うつ病等の精神病が重病化したりすれば、自分で欠勤を伝えることが出来なくなるためほぼ確実に解雇を回避することが可能です。

また、職場でセクハラやパワハラ、いじめを受けていて働くことが困難になっている場合でも、無断欠勤は致し方ないと判断される可能性があります。

この場合は会社とは対立することになりますが、十分な証拠を用意して人事部や労基署に相談したり、訴訟を起こしたりして就業環境が劣悪であったことを証明する必要があります。

無断欠勤で解雇されると給与はどうなる?

ここまで無断欠勤で解雇になるかどうかの判断基準について確認しました。

もし無断欠勤が原因で解雇となってしまった場合、欠勤前までの分の給与を受け取れるのかどうか、気になる方も多いのではないでしょうか。

次は解雇された後の給与や手当、退職金について見ていきましょう。

基本的に労働時間分の給与は受け取れる

無断欠勤をした日の給与は当然受け取ることが出来ません。
しかし無断欠勤によって解雇されたとしても、働いた分の給与は受け取る権利があります

もし時間外労働や休日労働をしていれば、その分も含めて請求することが可能です。

ただし無断欠勤に対する処分として、給与そのものが減額される可能性はあるので、注意しましょう。

解雇予告手当と退職金の有無について

使用者は30日前までに解雇予告をせずに労働者を解雇する場合、解雇予告手当を支払う義務があります(労働基準法第20条)。

受け取れる金額は「1日分の平均賃金」×「30日ー解雇予告から解雇までの日数」で求められます。

一方、無断欠勤による解雇であれば労働者の責に帰すべき事由であるとして解雇予告手当が除外されるケースもあるため、支払いが生じるかどうかはその都度確認が必要です。

また、退職金が生じるかどうかは会社の就業規則によって変わります。

普通解雇より重い処分である懲戒解雇の場合は、退職金が減額あるいは全額支払われないというケースも多いことに留意しておきましょう。

無断欠勤で解雇された時はどう対応する?

ここまで無断欠勤で解雇された際のお金の流れについて確認しました。

では、実際に解雇された後はどのような対応をとるべきなのでしょうか。

最後は解雇後の具体的な動きについて見ていきましょう。

失業給付の受給手続きを進める

無断欠勤が原因で解雇された場合でも、失業給付を受給することが出来ます。

失業給付は失業・休業時の労働者の生活と雇用の安定を図ることを目的とした給付金です。
失業給付の受給条件とは?

受給には以下の条件を満たしていることが必要になります。

  • 失業状態であり、求職活動をしている
  • 雇用保険離職前の2年で12か月または1年で6か月以上(特定理由離職者・会社都合退職者の場合)加入している

失業給付を受けられるのは離職日の翌日から1年間と決まっているため、早めに申請を行うようにしましょう。

また、無断欠勤による解雇が懲戒解雇にあたる場合は、給付金を受け取るまでの期間(待機期間)が長くなり、かつ給付日数も短くなるというペナルティがあります。

労働審判・裁判で解雇の無効化を目指す

会社による解雇という判断が不当なものであると感じたなら、訴えを起こして解雇処分の取消を目指すという選択肢もあります。

前述したようにたとえ無断欠勤をしていたとしても、状況次第では解雇を無効と判断してもらうことが可能です。
手続きの種類と準備

この場合、「労働審判」か「裁判」のどちらかを行うことになります。

労働審判は話し合いを前提としており、裁判に比べ早期の解決が望めます。

また、審判を行うための印紙代、弁護士を雇う着手金についても裁判より安く抑えられることが多いため、まずは労働審判での解決を目指すのが良いでしょう。

しかし、労働審判の結果に会社が納得せず、異議申し立てをした場合はそのまま裁判に持ち込まれてしまいます。

裁判となれば多くの時間と労力を割くことになるため、事前の入念な準備と覚悟が必要です。

いずれにせよ訴えを起こすなら、望ましい結果を確実に得られるように、弁護士との話し合い・証拠の整理などの対策をしっかり行っておきましょう。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。