退職勧奨時の退職金は上乗せされる?多くもらうためにすべきことも

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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「君のためを思うとこの会社を辞めて退職した方が良いと思う」

「申し訳ないけど、辞めてくれないかな…」

このような言葉をかけられて、上司から退職を勧められたこと、いわゆる退職勧奨の経験はありませんか。現在は企業を取り巻く環境が厳しくなっている影響で退職勧奨が増えています。

中には、退職金を多くもらえるなら退職勧奨に応じて、退職しても良いよと考える人もいるでしょう。しかし、退職勧奨では退職金を上乗せしてもらうことは可能なのでしょうか。今回は退職勧奨を受けて退職する場合、いくら退職金がもらえるのか解説します。

退職勧奨を受けた場合、退職金はいくらもらえる?

会社側が従業員に退職を勧めてくる行為を退職勧奨と言います。
なぜ解雇ではなく退職勧奨の手法を取るかというと、解雇には様々な規制があり、会社は簡単に解雇をすることはできないためです。

退職勧奨をして従業員を自分から辞めるように仕向ければ、解雇できない状況でも首を切ることができます。従業員からすると、退職勧奨に応じて退職した場合、リストラされたも同然です。退職金をできるだけ多く得たいところですが、退職勧奨における退職金の取扱いはどうなるのでしょうか?

前提として退職金は全ての企業で支払われるわけではない

まず前提として、退職金は全ての企業で支払われるわけではない点です。
労働者の権利や雇用主の義務を規定する労働基準法には、退職金に関する規定はありません。つまり、退職金は支払わなくても支払ってもどちらでも良いわけです。このため、例えリストラで退職を余儀なくされたケースでも、企業によっては退職金を受け取れない場合があります。こうした企業では退職勧奨を受けての退職金も、当然のことながら支払われません。
退職金が支給される場合は

ただし、今まで長年勤務を続けた従業員に報いるために、多くの企業では退職金を支給しています。勤務先が退職金のある企業かどうか知りたければ、就業規則や退職金規定を確認してください

退職金制度がある会社ならば、どちらかの規則に必ず退職金に関する内容が記載されています。退職金の算出方法や支給対象者などが具体的に記載されているので、必ずチェックしましょう。

基本的な退職金の金額の相場

退職金の金額は、学歴や勤続年数、退職理由などによって変わってきます。厚生労働省の「平成30年就労条件総合調査結果の概況」では、大卒と高卒の退職金の平均額が算出されているので見てみましょう。
退職金の相違は?

大卒と高卒で比較すると定年まで勤めあげた時の退職金は、大卒が約1,983万円、高卒が約1,618万円となります。

また、退職理由で分類すると解雇やリストラなどの会社都合退職では約2,156万円(大卒)、転職や独立などの自己都合退職では約1,519万円(大卒)との結果が出ました。学歴や退職理由によって、350~650万円程度の差額が生じていることが分かります。

希望退職時の退職金割り増し相場

退職勧奨は希望退職の場で実施されることが多いです。希望退職とは、将来の経営状況の悪化を見越して、時期を限定して会社側が退職希望者を募る制度です。希望退職は会社側の都合で行なわれることもあり、退職金は通常に比べ、多くもらえるケースもあります。

早期退職者は今後、年金と退職金だけで暮らしていく可能性もあるため、通常より手厚い手当が支給されます。もちろん、退職勧奨が全て希望退職で行なわれるわけではありません。

伝えたいのは退職勧奨では、退職金に上乗せ額が生じることもあるという点です。会社の規定によっては退職者に該当しなくとも、退職勧奨によって従業員が退職に至った場合、退職金を上乗せするという規定を設ける場合もあるでしょう。

退職勧奨でできるだけ多くの退職金を勝ち取るには?

退職勧奨では退職金が上乗せされる可能性もあるとお伝えしました。早期退職者を募るケースにおける割増賃金は通常は全社一斉で行なわれます。

つまり、同時期に早期退職者制度を利用して退職する従業員は、年齢や勤続年数等にもよって変わりますが、だいたい同程度の額の上乗せが適用されることが多くなっています。

一方、全社的なリストラではなく個別で退職勧奨が行なわれた場合、割増退職金額を交渉できる可能性があります。ここでは、退職勧奨でできる限り多くの退職金を勝ち取るためにすべきことを解説します。

退職理由は「会社都合」に

前章でお伝えした通り、退職理由が会社都合の方が退職金の額は多くなる傾向があります。このため、必ず会社都合退職となるように注意しましょう。

自己都合退職か会社都合退職かという点は、退職金のみならず、失業保険の受給開始時期や給付日数にも影響を与えてきます。

自己都合退職となると失業保険の受給開始時期が、会社都合退職と比べ2ヵ月遅れが生じますし、受給期間も短くなります。明らかに会社都合退職の場合でも、離職票に「自己都合退職」と会社側が記載してしまう可能性も0ではありません。

国からの助成金の支給では、一定の期間従業員を解雇していないことという条件がある場合もあるので、助成金の支給を受けるために会社側は会社都合退職を嫌がります

会社側が「自己都合退職」と書かれた離職票を送付してきたら、退職理由の変更を協議しましょう。異議ある場合は、まずは離職票に「異議あり」と記載するようおすすめするのがいいと思います。

面談内容は記録しておく

退職勧奨は、全社一斉に希望退職を募る場合を除いて、個別の面談で行なわれるケースがほとんどですが、この面談の内容や日時は記録しておきましょう
なぜなら?

なぜなら、不当な退職勧奨があったと主張する証拠になるからです。
退職勧奨は合法ですが、退職強要となってしまうと違法の可能性もあります。両者の違いは、退職の意思表示が労働者の自発的な意志に基づき行われたのかという点です。

人員整理など必要性に駆られ退職に誘導するのは問題ありませんが、執拗に退職を迫り労働者の自発的な主張を阻害してしまうと、違法の可能性も出てきます。退職の強要が違法となるのは、民法96条の脅迫や詐欺、民法95条の錯誤に該当するケースです。

社会的相当性を越えた半強制的で執拗な退職強要と判断できる場合、不法行為で損害賠償を請求できる可能性もあります。

退職強要で損害賠償を請求できるのはかなり悪質なケース限定ですが、こうした状況に直面した際に不利にならないためにも、面談内容はできる限り記録しておきましょう。ポケットにICレコーダーを忍ばせて面談に臨めば、怪しまれずに交渉の内容をありのままに記録できます。

退職時期を早めるから退職金を増額してほしいと主張する

退職勧奨を行うということは、会社側は早く従業員に辞めてほしいと考えているわけです。

その考えを逆手にとって、会社側から提示された退職時期よりも早く退職してあげるから、その代わり退職金を増額してくれと主張すれば、上乗せ金が支給される場合もあるでしょう

うまくいく可能性は高いとは言えませんが、元々退職を考えていた、転職先がすぐ決まる見込みがあるなどのケースではチャレンジする価値ありです。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。

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