不当解雇・退職勧奨の
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「即日解雇をされた」という声をよく聞きます。
「明日も仕事を頑張ろう!」と思っていた矢先に「明日から来なくていい」と解雇を言い渡されたら、愕然としてしまいますよね。
そもそも、この「即日解雇」はできるものなのでしょうか?
即日解雇の3つの種類と即日解雇が有効となる解雇理由について解説します。違法となる条件もありますので確認しましょう。違法な即日解雇への対処法や相談窓口、慰謝料・解決金の請求の可否についてもまとめていますので、即日解雇でお困りの方はぜひご覧ください。
目次
まずは、即日解雇の意味とその3つの種類について解説します。
3つの種類のどれに該当するのか分かりましたら、「違法性がなかったか」を確認しましょう。
解雇に関わる「解雇予告手当」についても解説していますので、不当な即日解雇を放っておかないためにもぜひご覧ください。
即日解雇とは、解雇予告なく突然に解雇されることをいいます。
即日解雇の種類としては、①従業員側の能力不足や心身の故障を理由とする普通解雇、②従業員側の非行や就業規則違反を理由とする懲戒解雇、③会社側の業績不振やリストラクチャリングを理由とする整理解雇の三種類が考えられます。
解雇理由が不明な場合は?
自分が受けた即日解雇がいずれに該当するかよく分からない場合は、会社に解雇理由を確認してみましょう。
ご自身に就業規則に違反する行為があり、懲戒処分の手続きに基づいて解雇された場合は、②の懲戒解雇に該当します。会社が経営不振でありその旨の説明があった場合は③の整理解雇に、それ以外の場合は①の普通解雇に該当するケースが多いです。
即日解雇が有効になる条件は3つあります。
まず、解雇に①「客観的に合理的な理由」と②「社会通念上の相当性」が認められる必要があります(労働契約法16条)。
その上で、即日解雇が有効になるためには、③解雇予告手当てとして「30日分以上の平均賃金」が支払われる必要があります(労働基準法20条)。
要件の詳細は?
特に即日解雇の場合は、「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」の要件を満たすかが問題になってきます。
なぜ解雇が「即日」でなければならなかったのか、従業員の日常生活の安定を犠牲にしてまで「即日」解雇にこだわった会社の判断の合理性・相当性が厳しく審査されることになります。
突然の即日解雇は違法になる可能性が極めて高いです。まず、即日解雇の場合は、その解雇に「社会通念上の相当性」(労働契約法16条)が認められないケースが多いです。また、解雇予告手当として「30日分以上の平均賃金」が支払われていない即日解雇も、労働基準法20条に違反し違法です。
賃金請求はできる?
即日解雇が違法で、かつ解雇の効力が無効な場合は、従業員は会社に対して、解雇日からトラブル解決日までの賃金を請求することができます。
なぜなら、解雇日以降働けないことは、会社の「責めに帰すべき事由」によるといえ、民法536条の適用によって賃金を請求する権利を失わないからです。
本採用前の試用期間中に即日解雇されることはありえます。
試用期間中は、労働者としての適性が見極められる期間です。
そのため、本採用以降と比べると、会社側の解雇の正当性が認められやすくなっています。
実際にこの期間で能力不足や勤務態度などを理由として即日解雇される例も多くあります。
さらに試用期間開始から14日経過していない場合、後に述べる解雇予告手当が支払われることもありません(労働基準法21条柱書、第4号)。
それでは即日解雇された場合に受け取れる可能性のある金銭には、以下のようなものがあります。
以下、慰謝料を中心に解説していきます。
即日解雇の違法性が高い場合は、解雇日以降の賃金(バックペイ)を請求すると同時に、違法解雇による慰謝料を請求することができます。
即日解雇やそれに伴う行為が不法行為に該当し、それにより労働者が精神的損害を被った場合、民法709条によって損害賠償を請求することができます。
無料相談できる窓口は?
具体的に慰謝料が支払われうる行為としては、以下のようなものが考えられます。
慰謝料の具体的な金額については、「実際に不当解雇で慰謝料をもらった事例は?」をご覧ください。
即日解雇の解雇予告手当とは、労働基準法20条に基づいて支払われる「30日分以上の平均賃金」のことをいいます。会社が従業員を解雇する際には、30日前の解雇予告が必要になります。この解雇予告を行わず、突然に即日解雇する場合、会社は手当として「30日分以上の平均賃金」を支払う必要があります。
もしも実際の解雇まで1日~29日前までに解雇予告があった場合、30日に足りないぶんの解雇予告手当が支払われます。
例えば解雇の10日前であれば平均賃金20日ぶんの解雇予告手当、解雇の15日前であれば15日ぶんの解雇予告手当が支払われます。
ただし、以下の場合であって、会社が労働基準監督署で除外認定の手続きを済ませている場合は、解雇予告手当は支払われません(労働基準法20条)。
特に懲戒解雇で即日解雇された場合は、「労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇される場合」にあたるとして解雇予告手当が支払われないことが多いので、注意が必要です。
即日解雇の場合には、退職金がもらえないまたは減額される場合があります。
原則として、退職金がもらえるかどうかは会社内部の規定によって決定します。
一般的に、即日解雇(特に懲戒解雇)の場合は、退職金を支払わないまたは減額する、と定めている会社は多くあります。
ですが退職金には、それまで勤続して会社に勤めて貢献したことに対する報償としての性質もあります。
そして即日解雇されたとしても、その貢献が一切無くなる、とは一概に言えません。
よって、それまでの貢献を抹消してしまうような場合に退職金の全額不支給・一部抹消してしまう場合に退職金の一部不支給が可能となります。
不当な即日解雇には、泣き寝入りしないためにもきちんと対処していく必要があります。
また、気になるのが
・残っている有休を消化できるのか?
・解雇予告手当はどうやって計算されるのか?
というポイントですね。
そちらについてもまとめていますので、ご確認ください。
即日解雇を言い渡されたら、まずは解雇通知書、解雇理由証明書を受け取り、解雇理由を確認してください。
なぜなら、即日解雇は非常に限られた場合にのみ認められうるものであり、解雇理由が単に「能力不足」「無断欠勤」などの場合は違法・無効となる可能性が高いためです。
その場合は、会社に対して従業員たる地位の確認を求めると同時に、民法536条に基づいて解雇日以降の賃金を請求することができます。
最悪のパターンは?
最悪のパターンは、即日解雇の問題がよく分からず、誰にも相談せずに解雇を受け入れてしまうことです。
不当な即日解雇について少しでも納得のいかない点があれば、弁護士やユニオンに相談するなどして、早めに行動し、解雇に異議があることと、引き続き就労の意思があることを会社に伝える必要があります。
相談をする際に会社側の主張を知るためにも、解雇通知書や解雇理由証明書で解雇理由を知っておくことが重要です。
即日解雇されたら、その解雇が有効か・無効かによって、その後の有給の取り扱いが異なります。即日解雇が有効な場合は、解雇と同時に労使関係が終了するため、有給を消化する余地がなくなります。他方で、即日解雇が無効な場合は、労使関係が継続するため、その後に有給を消化することができます。
有休消化の注意点は?
有給の消化については、あくまで会社との雇用契約が有効であることが前提になります。法律的に有効な即日解雇が行われた場合は、解雇の通告をもって会社との雇用契約が終了になるため、もはや有給を使うことができなくなります。その意味で、有給が多めに残っている人は注意が必要です。
即日解雇の解雇予告手当は、労働基準法12条に基づいて計算されます。「平均賃金」とは、過去3か月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいいます。
基本的には賃金の締切日を基準に、そこから3ヶ月間遡る形で計算されます。
労災や産休などの期間は計算に入れないこと、賃金には退職金や3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賞与などは含まれないことに注意が必要です。
即日解雇をされたら、一人で抱え込まずに相談窓口に問い合わせましょう。
相談できる窓口を3つご案内しますので、どの窓口に相談するかご検討ください。
解雇の撤回や慰謝料請求についても解説していますので、即日解雇を訴えた場合の流れも一緒にご確認ください。
この点、自分が受けた即日解雇の有効性を単に知りたい場合は、労働基準監督署の相談を受けるのがよいでしょう。他方で、その後の交渉や活動についても合わせて知りたい場合は、弁護士やユニオン・労働組合に相談するようにしましょう。その方が、相談後の交渉や活動がスムーズになります。
即日解雇を撤回させることは、その後の交渉次第で可能です。
即日解雇は、労働契約法に照らして、違法・無効となる可能性が高いです。仮に解雇が違法・無効となった場合は、会社は解雇からトラブル解決までの賃金を支払う必要があります。
この点を会社が理解した場合は、即日解雇が撤回される場合もあります。
早期解決するには?
会社に即日解雇を撤回させるためには、専門家のサポートを受けるのがスムーズです。
従業員本人だけで即日解雇の撤回を求めた場合は、水掛け論になることも多く、交渉が難航してしまいます。
弁護士やユニオンなどの専門家であれば、交渉が難しくなった場合も労働審判や裁判など、司法的な解決手段へスムーズに移行することができます。
私たちが運営する「みんなのユニオン」では、不当な即日解雇に対しては、賃金や解雇予告手当をまとめて「解決金」として会社に提示し、団体交渉を行っていきます。相談料は一切かからないため、即日解雇を受けた人は、まずはご連絡ください。一緒に不当解雇の金銭解決を求めていきましょう。
それでは実際に、即日解雇されてからそれが不当解雇であったと判明し、慰謝料を獲得した事案について解説していきます。
ここでの慰謝料とは「即日解雇されたことによる精神的苦痛の緩和」のために支払われており、慰謝料とは別に判決確定までの賃金なども受け取ることができています。
この事案は、他従業員とぶつかったことからその者を押す・胸倉を掴むといった暴行を行った労働者が即日で懲戒解雇されたものです(東京地判平成29年5月19日)。
暴行自体はあったもののきっかけは偶然であったこと、行為の態様も悪質とは言えないことから、懲戒解雇されるほどの社会的相当性は認められない、よって懲戒解雇は無効と判断されました。
そのうえで、労働者が有期雇用契約中に突然職を失ったこと、不名誉な懲戒解雇と高齢であることも相まって再就職が難しくなったとして、相当程度の精神的苦痛を受けたと認められました。
これにより、平均賃金約2カ月分に相当する慰謝料請求が認められました。
この事案は、会社の指示に反して取引先と協議を行った労働者が即日で懲戒解雇された事例です(東京地判平成28年2月26日)。
就業規則が周知されていなかったためそもそも懲戒解雇が無効であった・懲戒解雇されるほどの非違行為ではなかったにもかかわらず、会社は労働者が懲戒解雇された旨の通知を取引先に送り、労働者の社会的評価や信用を低下させました。
そのような名誉・信用毀損を招く行為が不法行為であると認定され、慰謝料10万円の請求が認容されました。
ただしそのような通知が一社のみに一通だけ送られたこと、人格を攻撃するような文言は無かったことから、慰謝料は低額に抑えられました。
この事案は、大学教授がブログを用いて学校の評価を低下させたとして懲戒解雇された事案です(名古屋地判平成26年9月18日)。
ブログによる学校の社会的評価への影響は微々たるものであること、実質的に教授の所属する大学組合への攻撃として行われたものとして、懲戒解雇を無効と判断しました。
そのうえで懲戒解雇のほかにも違法・無効な降格や配転命令が下されていたこと、そのような処分に大きな精神的苦痛を負っていた教授に対し不意打ちで即日の懲戒解雇が命じられたこと、懲戒解雇の事実が教職員にメールで配信されたなどの事情がありました。
これらの事情から、教授の被った精神的苦痛に対する慰謝料として300万円が認められました。
みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。