派遣切りのタイミングはいつ?派遣社員を守る法律上の制約も紹介

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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新型コロナウイルス感染症の影響で派遣切りが増えていると報道されていますが、派遣社員にとっては死活問題です。「いつ自分が派遣切りされるか」と心配している方も多いでしょう。

今回の記事では、派遣社員が派遣切りされるタイミングについて解説します。派遣社員を守るための法律なども紹介しますので参考にしてください。

派遣切りとは?|雇止めと契約解除

まずは、「派遣切りとは何か?」「派遣切りとはどのタイミングで行われるのか?」についてみていきましょう。

派遣切りには2種類ある

派遣切りとは、派遣先または派遣会社の都合で、派遣会社と派遣社員が結ぶ労働契約が打ち切られることです。派遣社員が労働契約の打ち切りを希望した場合は、派遣切りにはなりません。

派遣切りは、労働契約の打ち切り時期によって次の2種類に分けられます。

①雇止めによる派遣切り
②契約解除による派遣切り

①雇止めによる派遣切り

派遣社員が更新を希望したにもかかわらず、更新されないケースを雇止めといいます。雇止めのタイミングは労働契約の満了時で、満了後に会社が更新しなければ労働契約は終了します。

②契約解除による派遣切り

労働契約の期間中に、会社が一方的に契約を終了させることを契約解除といいます。派遣社員の意思とは無関係に労働契約は終了します。

派遣切りが問題となるケース

派遣切りが問題となる主なケースは下記に該当するときです。

①派遣社員が有期契約労働者(いわゆる登録型派遣)
②派遣先の都合などで派遣社員が不要となる
③同時に、派遣社員と派遣会社の労働契約が打ち切られる

①派遣社員が有期契約労働者

派遣切りの対象となる派遣社員は有期契約労働者で、正社員として働く派遣社員は対象外です。一般的に、有期契約の派遣社員の契約期間は3か月、6か月などが多く、契約満了時または契約期間中に派遣切りが発生します。

②派遣先の都合などで派遣社員が不要となる

派遣切りの原因の多くは、派遣先の都合です。仕事が減って従業員が不要になった、コスト削減のために事業縮小する、などがあります。

また、派遣社員の勤務態度やスキル不足が原因になることもありますが、これも派遣先の判断によるものです。派遣先での仕事がなくなる問題は、派遣先と派遣会社が結ぶ派遣契約によって処理されます。

③同時に、派遣社員と派遣会社の労働契約が打ち切られる

派遣先での仕事がなくなっても、派遣社員と派遣会社の契約が継続し、別の仕事先を紹介してもらえれば失業の心配は免れます。

問題は、同時に派遣会社との契約が打ち切られるケースです。派遣社員の就業先は失われ再就職先を探さなければなりません。

雇止めのタイミングはいつ?|雇止めに対する制約

雇止めのタイミングは、労働契約の満了時です。派遣社員が更新を希望しても、派遣会社が契約を更新しないことは違法ではありません。

ただし、雇用の不安定な派遣社員を含む有期契約労働者を保護するために、雇止めに対しては法律などで一定の制約が課せられています。

労働契約法第19条に定める「有期労働契約の更新等」

労働契約法第19条では、有期労働契約が下記に該当する場合、会社は更新を拒否できないと定めています。

  • 過去に反復して更新されたことがある有期労働契約を更新しないことにより終了させることが、無期契約労働者を解雇することと社会通念上同視できると認められること
  • 労働者において有期労働契約の満了時に契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められること

つまり、上記条件を満たせば契約は更新できます。ただし、派遣社員は自分から契約の更新を申し込まなければなりません。申し込み期間は「契約期間が満了する日までの間」または「満了後遅滞なく」ですが、満了日までに行いましょう。

労働契約法第18条に定める「期間の定めのない労働契約への転換」

労働契約法第18条では、有期契約労働者が下記条件を満たした場合、「契約期間の定めのある契約」から「契約期間の定めのない契約」転換できるというものです。

  • 有期労働契約が更新されて通算5年を超えていること
  • 最低、1回は契約更新されていること
  • 同一の使用者(企業)との間で労働契約が結ばれていること

無期転換ルールと呼ばれるものですが、派遣社員の労働契約は派遣会社と締結しているので、派遣先ではなく派遣会社で無期転換できます。無期転換するには派遣社員が自ら転換の申し込みをしなければなりませんが下記に注意しましょう。

  • 申し込み方法に定めはないが、トラブル防止のため書面で申し込みしよう
  • 申し込み期間は有期労働契約の契約期間が5年を超えたときの契約期間中

「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」による雇止めの予告

厚生労働省の「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」では、下記に該当する労働契約を更新しない場合、会社は契約満了日の30日前までにその予告をしなければなりません。

  • 3回以上更新している
  • 契約期間1年以下の派遣契約を更新して1年超契約している
  • 1年を超える派遣契約を締結している

雇い止めされることに変わりはありませんが、1か月前に仕事がなくなることが明らかになるので、次の就職先を探す時間をある程度は確保できます。

上記に該当しない場合

上記に該当しないときは、極端なケースでは、契約満了日当日に更新されないことが通知され契約が終了する可能性があります。

一般的には、事前に派遣会社が更新の有無を連絡してくれますが、契約満了日まで1か月を切ったのに連絡のない場合は、派遣会社に確認しましょう。

また、派遣先が計画的に派遣社員を活用している場合は、「次回の更新はない」ことを事前に明示して契約更新することもあります。

契約解除のタイミングはいつ?|契約解除に対する制約

契約解除は労働契約の期間中に行われるため、事前に派遣切りのタイミングを予想するのは難しいでしょう。ただし、いきなり派遣切りされないように法律上、一定の制約はあります。

労働契約法第17条に定める「契約期間中の解雇の禁止」

労働契約法第17条により、原則、有期労働契約の契約期間中に契約解除を行うことはできません。ただし、法律を犯したり職務怠慢など「やむを得ない事由がある」と判断されれば、解雇されるケースもあります。

上記は有期契約労働者に対するもので派遣社員にも適用されますが、派遣社員特有の問題もあります。

派遣先は派遣社員と契約をしているわけではないので、派遣会社の同意が得られれば契約は消滅します。契約解除が行われた場合、派遣社員は派遣先ではなく派遣会社に雇用の継続を求めることになります。

「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」による契約解除の予告

厚生労働省の「派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針」では、やむを得ない事由により派遣社員を解雇する場合、解雇予告、解雇予告手当の支払等の労働基準法等に基づく責任を果たすことが規定されています。

つまり、派遣会社が派遣社員を契約解除する場合、正社員を解雇する場合と同様に、30日前の予告または解雇予告手当の支給が必要となります。契約解除されることに変わりはありませんが、最低1か月間の猶予は与えられます。

ただし、上記は「やむを得ない事由」がある場合に限るので、原則、派遣会社は契約解除することはできません。

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みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。

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