雇用保険の対象者は誰?万が一に備えて給付を受けられる対象を確認!

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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労働者が失業等をしたとき、必要な給付を受けることができる雇用保険制度。労働者にとって、万が一に備えられる非常にありがたい制度です。

しかし、その雇用保険制度の対象となる労働者は、正社員だけでしょうか?また、雇用保険の給付対象となる事由(原因)は、失業のみでしょうか?

この記事では、雇用保険で必要給付を受けられる事由や、給付の対象となる労働者、そして、もし雇用保険に加入していない場合の対応まで確認していきます。

雇用保険の対象となるか否かを確認

もし雇用保険の対象となる労働者であれば、失業等の事由が生じた際、必要な給付を受けることができます。

雇用保険を受けるには、雇用保険の対象となる労働者かどうか、つまり、雇用保険の被保険者かどうかがポイントとなります。

また、労働者自身が雇用保険の対象者かどうかを確認する前に、そもそも雇う側に雇用保険が適用されるかどうかも確認しておく必要があります。

それでは、雇用保険がどのような時に給付されるかという給付事由から、雇用保険の被保険者となる対象者について、ひとつひとつ確認していきましょう。

雇用保険の対象となる労働者とは?

前述した、雇用保険が適用される事業に雇用される労働者は、正社員だけでなく、パートタイム労働者も雇用保険の被保険者となります。

ただし、以下の要件を満たす必要があります。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上である
  • 31日以上引き続き雇用されることが見込まれる

被保険者は、雇用形態等により以下の4種類に区別されます。

一般被保険者…②、③、④にあてはまらない労働者
高年齢被保険者…65歳以上の労働者(③および④に該当するものを除く)
短期雇用特例被保険者…季節的に雇用される労働者のうち、次のA・Bいずれにも該当しない労働者(同一の事業主に引き続き1年以上雇用されるに至った時は、その日から①もしくは②となります)
  A)4か月以内の期間を定めて雇用される労働者
  B)1週間の所定労働時間が20時間以上であって、厚生労働大臣の定める時間数(30時間)未満である労働者
日雇労働被保険者…日々雇い入れられる労働者や、30日以内の期間を定めて雇い入れられる労働者(原則として前2か月の各月において18日以上同一の事業主の適用事業に雇用された労働者、および同一の事業主に継続して31日以上雇用された労働者は除く)

まとめると、雇用保険が適用される事業に雇用されている労働者でも、以下の条件に該当した労働者は、雇用保険の適用から除外されます。

  • 季節的事業に4か月以内の期間を定めて雇用される者
  • 船員であって、御苑に乗り組むために雇用される者(1年を通じて船員として適用事業に雇用される場合を除く)
  • 取締役(兼務役員を除く)・監査役、家事使用人(雇用関係が明確であるなど、労働者として認められる場合は除く)
  • 昼間学生、週20時間未満のパートタイム労働者

雇用保険は全ての業種が適用対象?

雇用保険は、原則として、一人でも労働者を雇用する場合、業種を問わず適用されます。(雇用保険法5条)

しかし、一部の事業では、雇用保険の適用について、当分の間は任意でよいとされているものもあります。

その当分の間任意でもよいとされる「暫定任意適用事業」は、常時5人未満の労働者を雇用する個人経営の農林水産業のうち、一定の農林・畜産・養蚕・水産(船員が雇用される事業を除く)業を指します。

なお、暫定任意適用事業であっても、労働者の二分の一以上の希望があれば、事業主は雇用保険加入の申請をしなければなりません。

雇用保険の給付対象となる事由(原因)

雇用保険は、雇用保険法に規定があり、以前は失業保険ともいわれていました。

失業保険法が廃止され、雇用保険法が代わりに制定されましたが、その背景から、雇用保険よりも失業保険という言葉の方が馴染みのある方も多いかもしれません。

そのため、雇用保険で給付対象となるものは失業事由のみと思われがちですが、実はそれだけではありません。

労働者が雇用保険で給付対象となるものは、以下のような事由が挙げられます。

  1. 失業した
  2. 雇用継続が困難となる事由が生じた
  3. 育児のため休業した
  4. 職業に関する教育訓練を受けた …等

雇用保険の対象となる労働者(被保険者)が、これらの事由等に該当したとき、雇用保険で必要な給付を受けられます。(雇用保険法1条)

雇用保険に加入しているかの確認

被保険者に該当しているようだが、実際に雇用保険に加入しているかわからない、保険料を払っているのかわからない場合、まずは毎月受け取る給与明細を確認してみましょう。

雇用保険の保険料は、毎月の給与から天引きされるため、明細に雇用保険の控除額が記載されているはずです。

雇用保険加入対象者だが加入してない|トラブル対応

原則として雇用保険が適用される事業の事業主は雇用保険に加入しなければならず、雇用されている労働者は、適用の対象外となる労働者を除いて、被保険者となります。

名称がパートタイマーであろうと、アルバイトであろうと変わりません。

しかし、様々な事情から、雇用保険に加入できていないケースも存在します。

ここでは、雇用保険の適用対象者となる労働者が、雇用保険に加入できていないトラブルについて、対処法を確認していきます。

雇用保険被保険者資格の確認申請をする

労働者が雇用保険の被保険者であるにも関わらず、雇用保険に加入できていない場合、労働者本人が被保険者の資格取得についての確認をすることができます。(雇用保険法8条)

事業主の所在地を管轄する公共職業安定所長に対して確認請求をすることで、確認が行われた日の2年前まで遡って雇用保険の加入が認められます。(雇用保険法14条2項2号、22条4項)

なお、特例として、給与から雇用保険料が控除されていたにも関わらず、事業主が手続きを怠ったために雇用保険に未加入だったような場合、給与明細等でその事実が確認されたときは2年を超えて遡り、その事実が明らかになる最も古い日に雇用保険の被保険者になったものとみなされます。

この確認請求を考えている場合、公共職業安定所(ハローワーク)に相談することをお勧めします。

事業主に損害賠償を請求する

原則、確認請求で遡って雇用保険に加入できるのは2年なので、それによって不利益が発生した場合、入社当時に加入していればもらえた基本手当との差額を損害賠償として請求することもできます。

過去の裁判例の中には、事業主の届出義務違反を認め、本来もらえるはずだった給付に相当する額の賠償を認めたものもあります。

事業主が雇用保険について届出等の義務を怠っていたような場合には、損害賠償請求が認められる可能性が高いでしょう。

しかし、ケースバイケースなので、もし損害賠償請求を考えている場合、弁護士に相談することをお勧めします。

最後に

雇用保険は社会保険の一種で、保険料を負担したうえで保険事故が発生した場合、保険給付が受けられるという仕組みになっています。

労働者としては、保険料納付義務を果たしているため、保険給付は権利として行使できます。

雇用保険の対象となる労働者であれば、一定の要件を満たせば雇用保険給付の権利を行使できますが、対象者であっても雇用保険に加入できていないケースも少なからず存在します。

雇用保険の対象となっているか不安な方は、まずは自分が雇用保険の被保険者に該当するかを確かめたうえで、雇用保険に加入しているか否かを会社(給与明細での確認を含む)、公共職業安定所(ハローワーク)に確認してみることをお勧めします。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。

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