会社側の就業規則違反の種類とは?具体的な罰則や対処の方法も紹介

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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「就業規則で決まっている労働条件が守られていない…。これは違反なのでは?」
「会社が就業規則を違反した場合、労働者側はどう対応したら良いのだろう?」

就業規則に関して、こんな悩みを抱えていませんか?

就業規則は法律によって守ることが義務付けられた厳格な規則です。
もし会社側の違反が発覚したら、適切な部署や労基署に相談・申告しましょう。

今回は就業規則違反にあたる具体的なケース、就業規則の概要、そして会社が就業規則違反をした時の対処法について解説します。

ご自分の会社では就業規則が守られているかどうか、確認してみてください。

就業規則違反となるのはどのようなケース?

会社側が就業規則に違反したとみなされるのはどのような時なのでしょうか。

まずは違反が認められる具体的なケース、そして会社に与えられる罰則について見ていきましょう。

なお、就業規則は企業によって異なります。

ただしどの就業規則も労働基準法を満たしている必要があるため、ここでは労働基準法違反になるケースを就業規則違反として紹介していきます。

また、前提として10人以上の事業所において就業規則が作成されていない、あるいは就業規則が労働者に周知されていないという場合は労働基準法違反となります。

会社による就業規則違反の具体例

会社の就業規則違反には、次のようなケースが考えられます。

  • 規定の労働時間を超えて働かせる
  • 十分な休憩時間を与えない
  • 十分な休日を与えない
  • 残業・休日労働・深夜労働に対し適切な割増賃金を支払わない
  • 有給・産休・育休の取得を認めない
  • 労働災害に対する補償を支払わない
  • 社会的身分や性別によって待遇を変える
  • 就業規則を作成していない又は労働者に明示していない

代表的なものとしては労働時間に関する違反があげられます。

残業時間についていえば、36協定という労使協定を締結していないのに「一日8時間・週40時間」の法定労働時間を超えて働かせることは就業規則違反です。

36協定を結んでいたとしても、残業時間が月45時間を超えている場合は違反になる可能性があります。

休憩時間に関しては、以下の基準が守られていなければ就業規則違反になります。

  • 労働時間が6時間以上8時間未満:休憩は45分以上
  • 労働時間が8時間以上:休憩は60分以上

(労働基準法第34条)

残業代や休日手当・深夜手当が正しく支払われているかも確認しましょう。それぞれ以下のように時給が割増されていなければ違反です。

  • 時間外労働:基礎時給の1.25倍
  • 休日労働:基礎時給の1.35倍
  • 深夜労働:基礎時給の1.25倍

(労働基準法第37条)

現在の労働環境が就業規則に違反していないか、逐一チェックしましょう。

就業規則違反に対する会社への罰則

法律に触れるような就業規則違反が認められた会社には、罰則が与えられます。

具体的な罰則の内容は、次のようなものです。

  • 労働時間・休日労働・割増賃金・休業申請・補償・差別に関する違反:6か月以上の懲役又は30万円以下の罰金
  • 就業規則の作成及び明示に関する違反:30万円以下の罰金

(労働基準法第119条、第120条)

これらの罰則を受けるのは労働基準法で使用者にあたる人です。

使用者は事業主のために行為をする全ての人であり、経営者でなくても労働者の指揮監督をしている場合は使用者になります(労働基準法第10条)。

また使用者だけではなく、会社自体も罰則の対象です。

これを両罰規定といい、主に事業主に対して罰金刑が科せられます(労働基準法第121条)。

就業規則の詳細について|雇用契約書との違い

ここまで就業規則違反となるケースについて確認しました。

しかし、そもそも就業規則にはどんな役割があるのか、またどれだけの効力を有しているのかについて詳しく知っている方は多くありません。

ここからは雇用契約書との違いを軸として、就業規則に求められる内容とその優位性について見ていきます。

就業規則の役割とその具体的な内容

就業規則は、その会社の労働者全体に対して定められるルールです。

したがって、複数の労働者の労働条件等に関する画一的な規則になります。

一方で、就業規則と混同されがちな雇用契約書は各労働者に対して定められた個別のルールを示します。

それぞれの役割が違うことに注意しましょう。

そして内容に関して、就業規則には必ず定めなければならない事項(絶対的必要記載事項)状況に応じて定めなければならない事項(相対的必要記載事項)が設けられています。

それぞれ以下のような事項についての記載が必要です(労働基準法第89条)。

【絶対的必要記載事項】

  • 始業・終業時刻、休憩時間、休日、休暇、就業時転換に関する事項
  • 賃金の決定・計算・支払いの方法、賃金の締切り・支払いの時期、昇給に関する事項
  • 退職・解雇に関する事項

【相対的必要記載事項】

  • 退職手当が適用される範囲、退職手当の決定・計算・支払いの方法と支払い時期に関する事項
  • 臨時の賃金・最低賃金額に関する事項
  • 食費・作業用品・その他労働者への負担に関する事項
  • 安全・衛生に関する事項
  • 職業訓練に関する事項
  • 災害補償・業務外の傷病扶助に関する事項
  • 表彰・制裁の種類や程度に関する事項

就業規則と雇用契約書の内容が違う場合

就業規則と雇用契約書の間で矛盾が生じている場合は、より労働者に有利な内容の方が有効になると考えて良いです。

法律によって、就業規則に達しない労働条件を定める労働契約はその部分が無効となり、無効となった部分は就業規則に従うと定められています(労働契約法第12条)。

つまり、雇用契約書の内容で就業規則よりも労働者に不利な箇所があった場合、その部分に関しては雇用契約書を無視して就業規則に沿って判断できるということです。

また、就業規則の方が不利な時であっても、雇用契約書に従って権利を請求することが可能です。

ただし無効になるのはあくまでも一部分であり、どちらか片方をすべて無視して良いというわけではないので注意しましょう。

会社が就業規則違反をしたらどう対処する?

ここまで就業規則の役割と効力について確認しました。

これを理解したうえで、もし会社が就業規則違反をしているならすぐに対処するようにしましょう。

ここからは適切な相談窓口・申告先を見ていきます。

人事部・労務部の担当者に相談する

まずは社内で対応してくれる部署の担当者に相談することをおすすめします。

人事・労務関係の部署であれば就業規則について正しい知識を有しているはずであり、丁寧に状況を説明すれば何らかの対応をとってくれる可能性が高いです。

ただし社内の担当者だと必ずしも中立な判断をしてくれるとは限りません。

また、会社の規模によっては相談できそうな部署がないということもあり得ます。

この場合は社外の相談先を探しましょう。

労働基準監督署に相談・申告する

社外の相談先としては、労働基準監督署があります。

労働基準監督署は労働基準法をもとに会社を監視・指導する機関で、会社の体制について疑問や不満があれば誰でも無料で相談可能です。

就業規則の違反について相談・申告すれば、まずは窓口の担当者から法律上の判断や今後の動きに関するアドバイスをもらうことができます。

そして労基署には就業規則を守らない会社に対して是正勧告や強制捜査、逮捕を行う権限があります。

こうした対応がとられると会社の社会的信用が失われるため、事業主や使用者に大きな影響を与えることが可能です。

ただし労働基準監督署は労働災害などの様々な問題に対応した機関であるため、緊急性が高いと判断されなければなかなか対応してもらえません。

また、是正勧告はあくまでも行政指導であり、法的拘束力を持つものではないということにも留意しておきましょう。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。

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