高度プロフェッショナル制度を5分でわかりやすく解説!

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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あなたは高度プロフェッショナル制度についてご存知ですか?

高度プロフェッショナル制度は、2019年4月から対象職種を絞って、労働時間規制から外す制度として導入されました。

制度開始から1年間で導入した企業が約10社、適用された働き手が414人となっています。

当初の予想より、導入が進んでいないのが実情です。

今回の記事では、高度プロフェッショナル制度とはどんな制度なのか? 裁量労働制との違い、メリットやデメリット、導入のための手順についてわかりやすく解説していきます。

高度プロフェッショナル制度についてわかりやすく解説

高度プロフェッショナル制度は、名前は知っているが詳しい内容は知らないという人もいますよね。

この記事では、高度プロフェッショナル制度について、対象職種や裁量労働制との違いについてわかりやすく解説していきます。

高度プロフェッショナル制度とは?

高度プロフェッショナル制度は「働き方改革」の一環として、高度な専門職の労働者から労働時間規制を外すことを目的に2019年4月からスタートした制度です。

高度プロフェッショナル制度を適用された労働者は、労働時間に関する制限をうけることなく、働きたいときに働き、休みたいときに休む、新しい働き方ができるようになります。
残業代等はどうなる?

高度プロフェッショナル制度では、労働基準法の労働時間に関する規制から外れるため、休日時間外勤務残業代は支払われません。

労働基準法の規制を受けないので、長時間労働の助長や過労死につながる可能性があるという懸念もあります。

そのため、多くの職種に適用できるわけではなく、条件の限られた一部の対象職種で適用できる制度となっています。

高度プロフェッショナル制度の対象職種や条件は?

高度プロフェッショナル制度は「高度の専門知識等を必要とする」「従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められる」職種を対象としています。
具体的な職種は?

具体的には、以下の職種となります。

  • 金融商品の開発業務
  • ディーリング業務(ファンドマネージャー、トレーダー、ディーラー)
  • アナリスト業務(企業・市場等の高度な分析業務)
  • コンサルタント業務(事業・業務の企画運営に関する高度な考案または助言の業務)
  • 研究開発業務

さらに「使用者との合意あり」「職務が明確に定めらている」「年収1075万円以上」などの複数条件をクリアした労働者のみが適用可能となります。

高度プロフェッショナル制度は誰にでも適用できるものではなく、対象職種や条件を厳格に絞ったうえで初めて運用できる制度となっています。

高度プロフェッショナル制度と裁量労働制の違いは?

高度プロフェッショナル制度とよく似た従来の制度に裁量労働制があります。

裁量労働制とは、労働時間を実労働時間ではなく、一定の時間とみなす制度のことです。

労働時間の自由度に関して、高度プロフェッショナル制度と似た部分がありますが、内容は異なる制度です。
2つの制度の違いとは?

以下に高度プロフェッショナル制度と裁量労働制の違いを記載します。

  • 残業代の有無
  • 対象職種の条件
  • 労働基準法の適用

残業代に関しては、高度プロフェッショナル制度では支払われませんが、裁量労働制では認められた残業代が支払われます。

対象職種に関しては、専門業務型裁量労働制の対象職種のほうが範囲が広く(出版編集者などを含む19業務)、年収1075万以上などの年収制限もありません。

労働基準法の適用に関しては、高度プロフェッショナル制度では適用外なのですが、裁量労働制では法定労働時間や休日などの規制が適用となります。

高度プロフェッショナル制度と裁量労働制は似ている部分もありますが、労働基準法が適用される、されない、という点では大きく異なります。

高度プロフェッショナル制度のメリットとデメリットは?

高度プロフェッショナル制度の適用は労働者にとって利益になるのか? それとも不利益なのか? とても気になる部分です。

メリットとデメリットをしっかりと理解していないと、高度プロフェッショナル制度の適用も考えられませんよね。

この記事では、高度プロフェッショナル制度のメリットとデメリットについて解説していきます。

高度プロフェッショナル制度のメリットは?

高度プロフェッショナル制度にはいくつかのメリットがあります。

【メリット】

  • 時間に縛られない働き方ができ、ワークライフバランスが向上する
  • 生産性や業務能力の向上が期待できる

高度プロフェッショナル制度適用者は、出勤、退社、休憩、休日を自己で管理でき、規制されることがありません。

自分の時間を自由に使えるため、ワークライフバランスの向上が期待できます。

また、時間給という概念がなくなり、なるべく短い時間で成果を追求する仕事スタイルになるため、生産性や業務能力が向上する可能性も高いです。

高度プロフェッショナル制度のデメリットは?

高度プロフェッショナル制度には、デメリットと考えられる点もいくつか存在します。

【デメリット】

  • 長時間労働が助長される可能性がある
  • 過労死の懸念がある
  • 適正な評価が難しい

高度プロフェッショナル制度の適用条件には休日の設定や働きすぎ防止措置などがありますが、それを守れば長時間労働は可能です。

つまり、成果が出ない場合は長時間労働になってしまう可能性が高くなります。

高度プロフェッショナル制度が立案された当初から、成果が出せない場合の労働過多から来る長時間労働や過労死の懸念はあり、現在も払拭されていません。

また、成果に対する評価は、公平性や客観性を保つのが難しく、会社によっては業務に対して適切な評価が得られない可能性があります。

高度プロフェッショナル制度を運用するためには、会社側や評価者にも運用面での責任が伴います。

労働者側は、制度の内容理解だけではなく、会社の理解や適正評価の仕組みなども吟味した上で適用してもらう必要があります。

高度プロフェッショナル制度導入は難しい?手順を詳しく解説

ここまで高度プロフェッショナル制度について解説してきました。

では実際に高度プロフェッショナル制度を導入する場合は、会社はどのような手順を踏むべきなのか?

正当な手順を踏んでいない制度導入は違法の可能性も出てきます。

ここでは、高度プロフェッショナル制度の導入手順について詳しく解説していきます。

高度プロフェッショナル制度の導入手順

高度プロフェッショナル制度を導入するためには、いくつかの導入手順と条件が必要となります。

以下に必要手順について記載します。

  1. 労使委員会による高度プロフェッショナル制度導入の決議を行う
  2. 所轄労働基準監督署長への労使委員会決議の届出を行う
  3. 対象労働者本人の書面による同意等の手続きを行う

基本的には上記の①〜③が高度プロフェッショナル制度導入のための必要な手順となります。

労使委員会とは、企業側と労働者代表で編成された委員会であり、労働者代表が半数を占める必要があります。

また、導入の際には健康面に関して、休日設定、健康診断の実施、医師による面接、健康問題に関する窓口設置、などいくつかの条件が必要とされています。

例として、休日設定は「年間104日以上かつ4週間を通じ4日以上の休日」など、一つ一つに詳細な条件が盛り込まれています。

対象となる労働者は、これらの詳細な条件に関して書面で確認し、同意書への署名が必要となります。

これらの条件をクリアして初めて高度プロフェッショナル制度の導入が可能となり、全ての条件を満たしていない場合は違法となります。

高度プロフェッショナル制度に関するまとめ

今回は高度プロフェッショナル制度に関して記事にまとめました。

高度プロフェッショナル制度は、働き方改革の一環として導入された制度ですが、メリットもデメリットもあり、まだ導入企業が少ないのが実情です。

労働基準法の適用から除外されるのは、労働者にとっては心配な部分も大きいですね。

もし、自分が高度プロフェッショナル制度の対象者となったら、しっかりと制度を理解したうえで、検討できるようにしたいですね。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。