自己都合退職で正当な理由がある場合とない場合の待遇の違いとは

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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終身雇用制度が崩壊しつつある現在、リストラなどによる会社都合の退職以外に、転職などにより会社を自ら辞める方も以前に比べて増えています。

会社を退職する時、気になることの一つとして失業給付金があるかと思います。

自ら会社を辞めると会社都合よりも失業給付金の給付条件が厳しくなりますが、実は自己都合退職の場合でも正当な理由があれば、会社都合退職と同等の取り扱いを受けることが可能です。

今回の記事では、自己都合退職でも会社都合退職と同等の取り扱いを受ける正当な理由とはどのような理由なのか、また正当な理由のない自己都合退職とどの程度取り扱いの差があるのかを解説します。

自己都合退職と会社退職の違いとは

正当性のある自己都合退職と正当性のない自己都合退職を解説する前に、まずは自己都合退職と会社都合退職の違いから確認しましょう。

自己都合退職とは

自己都合退職とは、転職や結婚、出産などを理由に従業員自らの意思や都合で退職することをいいます。

また、会社で悪質な規律違反や犯罪行為をしたことにより「懲戒解雇」された場合も自己都合退職扱いとなります。

会社都合退職とは

会社都合退職とは、会社側が経営不振やリストラ、倒産などを理由に一方的に労働契約を解除して従業員を退職させることをいいます。

会社都合退職の場合、自己都合退職と比較して失業給付金が早く長くもらえたり、国民健康保険の納付額が減額されたりするなどの優遇があります。

自ら会社を辞めても会社都合退職になるケース

従業員自ら会社を辞めた場合であっても、会社都合の退職となるケースがあります。

具体的には以下の例です。

  • 労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことによる退職
  • 賃金(退職手当を除く)の額の3分の1を超える額が支払期日までに支払われなかったことによる退職
  • それまで支払われていた額に比べて、賃金が85%未満に低下した(または低下することとなった)ことによる退職
  • 残業が、3ヶ月連続で月に45時間以上、あるいは1ヶ月で100時間以上など、多すぎることによる退職
  • 会社が育児・介護休業法に違反したための退職
  • パワハラ、セクハラなどによる退職
  • 会社の理由による休業が3ヶ月以上続いたことによる退職
  • 会社の業務が法令に違反したことによる退職

これらは、会社の責めに帰すべき理由で退職したと考えられるため自ら退職した場合であっても、会社都合の退職となる可能性があります。

正当な理由のある自己都合退職とない場合の違いは?

自己都合退職と会社都合退職の違いをみてきましたが、冒頭で述べた通り、自己都合退職でも正当な理由がある場合とない場合で失業給付金の取り扱いの違いがあります。

正当な理由のある自己都合退職とは、どのようなケースなのかと併せて確認しましょう。

正当な理由のある自己都合退職とは

正当な理由のある自己都合退職は「特定理由離職」といわれ、失業給付金において会社都合退職と同等の取り扱いを受けます。

どのような理由が正当な理由になるかというと、厚生労働省では以下の通り規定しています。

①体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者

②妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険法第20条第1項の受給期間延長措置を受けた者

③父もしくは母の死亡、疾病、負傷等のため、父若しくは母を扶養するために離職を余儀なくされた場合又は常時本人の看護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職を余儀なくされた場合のように、家庭の事情が急変したことにより離職した者

④配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となったことにより離職した者

⑤次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者

ⅰ)結婚に伴う住所の変更

ⅱ)育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼

ⅲ)事業所の通勤困難な地への移転

ⅳ)自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと

ⅴ)鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等

ⅵ)事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避

ⅶ)配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避

特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲と判断基準

その他、企業整備による人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した者等(早期退職者は該当しない)

これらのうち当てはまるものがあれば、正当な理由のある自己都合退職となる可能性があります。

そして、正当な理由のある自己都合退職と認められれば会社都合退職と同等の取り扱いを受けることが可能です。

失業給付金の給付制限期間の違い

正当な理由のある自己都合退職は、7日間の待機期間後に失業給付金が支給されます。

一方、正当な理由のない自己都合退職者は、これまで7日間の待機期間後に3ヶ月の給付制限期間がありました。

しかし、退職日が令和2年10月1日以降である退職者は給付制限期間がこれまでの3ヶ月から2ヶ月に変更されました。

ただし、直近の退職日から遡って5年以内に2回以上退職している人は3回目からはこれまで通り3ヶ月の給付制限期間となります。

また、解雇されるにあたって自己の責めに帰すべき重大な過失があった場合も3ヶ月の給付制限があるので注意が必要です。

失業給付金の給付日数と最大支給額の違い

給付日数は、退職理由だけでなく、年齢・勤続年数により変化します。

  • 正当な理由のある自己都合退職……90日~330日
  • 正当な理由のない自己都合退職……90日~150日

最低支給日数は変わりませんが、最大支給日数は2倍以上異なります。

また、最大支給日数が長い分、失業給付金の最大支給額も正当な理由のある自己都合退職は約260万円に対して、正当な理由のない自己都合退職は約118万円と2倍以上の差があります。

失業給付金の受給条件の違い

自己都合退職者の失業保険の受給条件は以下の通りです。

【正当な理由がある場合】

  • 離職以前1年間に、雇用保険の被保険者期間が6ヶ月以上ある
  • ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、就職する努力を行っている

【正当な理由がない場合】

  • 離職以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が12ヶ月以上ある
  • ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、就職する努力を行っている

正当な理由がある場合は1年間のうち6ヶ月以上雇用保険に入っていれば受給資格があるのに対して、正当な理由がない場合は2年間のうち12ヶ月以上となり、受給条件に該当しにくくなっています。

国民健康保険の納付額の違い

失業給付金の取り扱いの違い以外にも、国民健康保険の納付額においても正当な理由のある自己都合退職とない自己都合退職では以下のように取り扱いが異なります。

  • 正当な理由のある自己都合退職……納付が最長2年間減額が可能
  • 正当な理由のない自己都合退職……納付は優遇されず通常通りの納付額

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。

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