懲戒解雇など解雇をされた時の退職金の支払いに関する基礎知識

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

<20 eyecatch>1

何らかの原因で会社を解雇されてしまった場合に退職金の支払いを受けられるのかが気になるのではないでしょうか。

もともと、退職金自体はあってもどのような規定になっていてどのように支払われるのかわかりづらい、ということもあり、解雇になってしまったら支払いを受けられない、と諦める方も多いのです。

しかし、解雇をされた場合でも退職金を受け取ることが可能な場合があります。

この記事では解雇をされた場合の退職金についてお伝えします。

解雇と退職金についてのルール

まずは解雇と退職金についての基本的なルールについて確認しましょう。

退職金とは

法律論になってしまうのですが、後のお話しの前提となるので、退職金とはどのようなものかを確認しておきましょう。

退職金は退職をした際に貰えるものなのですが、従業員により高い意識で働いてもらうための功労報償的性格を持っているとともに、従業員の定着を促すための賃金の後払い的な性格を持っているとされています。

懲戒解雇の場合には退職金を支払わない規定が置かれている

この退職金については、解雇の中でも懲戒解雇となった場合には支給されないとする規定をおいている会社が多いです。

解雇といっても、経済情勢の悪化などを理由にする普通解雇と、従業員の行為への処分という形で行われる懲戒解雇があります。

このような規定は、会社側から見ると、懲戒解雇となるような場合には、会社に対する背信行為など悪質性が強い場合があるため、退職金を支払わないという規定をして、従業員としての適切な行動を促す狙いがあります

給料の後払い的な性格も否めないため実際には支払いを受けられる

最初に退職金の法律的な性格については、「功労報償」と「給料の後払い」という2つの性格があることをお伝えしました。

これが、あくまで功労報償に対応するものにすぎないだけとするのであれば、会社が一切退職金を支給しないというのもやむを得ないのかも知れません。

しかし、退職金には給料の後払い的な性格があるため、その部分についての支払いはすべきであるという考え方があります。

そのため、懲戒解雇によって退職金が全く支給されない場合は後述のように限られており、支払いを受けることができる可能性が高いといえるのです。

解雇でも退職金を受け取れる可能性ある

解雇となった場合でも、次のような場合には退職金を受け取れる可能性はあります。

懲戒解雇ではない場合

解雇が普通解雇であるような場合には、退職金を受けとることは可能です。

退職金を支払わないのが問題となるのは、懲戒解雇の場合であることに注意をしましょう。

特に整理解雇(いわゆるリストラ)であるような場合には、退職金を増額してもらうことを検討する余地があります。

懲戒解雇が有効でない場合

次に懲戒解雇である場合でも、その懲戒解雇が有効であることが必要です。

懲戒解雇というのは、非常に重大な処分となりますので、あまりにも軽微な行為(例:遅刻を3回行った)で安易に懲戒解雇をすることはできません

懲戒解雇が法律上有効なものではない場合には、退職金を受け取ることができることになります。

懲戒解雇の際に退職金を支払わない旨の規定が無い場合

懲戒解雇である場合でも、退職金の支給に関して、懲戒解雇である場合には退職金を支払わない旨の規定がない場合には退職金を受け取ることができます

懲戒解雇である場合には退職金の支払いをしない・減額するという規定が置かれていることが多いのですが、この規定なしに退職金の支払いをしないことはできません。

懲戒解雇の原因によっては退職金を受け取ることができる

懲戒解雇が有効で、退職金を支払わない旨の規定がある場合でも、会社への背信的行為が、それまでの勤務を無にするほど信義に反するものでなければ、退職金を受け取ることができます。

懲戒解雇が有効である場合には、その原因となる行為は会社への背信的行為として悪質性が高いものであるといえます。

しかしその一方で、従業員はそれまでの勤務で会社に貢献してきた部分がありますので、その功労報償の部分が消えるわけではありません。

そのため、懲戒解雇の原因になった行為と、それまでの功労の度合を総合的に考慮して、退職金不支給が妥当かが判断され、実際に裁判をすると3割程度の退職金の支払いが裁判で認められることがほとんどです。

退職金を受け取ることができない場合の対処方法

では退職金を受け取ることができない場合の対処方法にはどのようなものがあるでしょうか。

前提となる解雇が有効かどうか争う

まず、前提となる解雇が有効かどうかを争うことは検討の余地があります。

懲戒解雇の規定が軽微な理由で懲戒解雇となっているような場合には、その規定を適用して解雇とすることが妥当かどうかが争われることもあります。

また、規定が適法でも、他の軽い処分(減給など)をするのが妥当であるような場合もあります。

解雇が有効であるとして退職金の不支給を争う

解雇が有効であるとして、退職金の支払いをしないことが有効かどうかを争います。

上述したように、解雇が有効である場合でも、退職金の支払いをしなくて良いとすることができる場合は非常に限られています。

解雇による退職金の不支給について、認められないことを主張して、支払いを求めることができます。

場合によっては有利な退職に向けた話し合いを

解雇をした場合でも退職金の支払いを受けることができる可能性は高いといえます。

ただ一方で懲戒解雇をされたという事実は残ってしまい、次の就職に向けて不利に働くことは避けられません。

場合によっては、退職金の放棄と引き換えに、自己都合退職に切り替えてもらう、といった交渉をすることも検討すべきことになります。

交渉が難しい場合には早めに弁護士に依頼を検討

懲戒解雇であるとして退職金を支払わないような事態となっているときには、会社とは鋭い対立関係になっていることが多いです。

このような場合には、会社としても法律上は退職金を支払う義務があることは分かっていても、交渉の中でついヒートアップしてしまって、容易に支払いに応じないということがあります。

弁護士に依頼をすれば、鋭い対立関係になっていても、面と向かっての交渉を避けることができ、スムーズな解決につながることもあります。

当事者間での話し合いが難しい場合には、弁護士に相談をすることも検討しましょう。

まとめ

この記事では、解雇の場合の退職金の支払いについてお伝えしてきました。

解雇による退職金の全額不支給というのは非常に重い処分で、これが認められるのは解雇の原因となった行為が極めて悪質である場合に限られます。

解雇そのものも含めて争うことになる場合もありますので、早めに弁護士に相談するようにしてみてください。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

詳しくはこちら

みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。

不当解雇お悩み解決!
全国24時間無料相談
0120-482-911