不当解雇・退職勧奨の
お悩みお聞かせください
※受付のみの時間帯がございます
チェーン系の飲食店やコンビニの残業代不払い問題がしばしばニュースで取り上げられますが、給料自体が支払われていないケースもあります。
今回の記事では、給料未払いの請求方法や請求方法別のメリット・デメリットを中心に、未払いを証明する証拠や会社倒産時の救済措置についても解説します。
目次
給料未払いの請求方法を説明する前に、請求の対象となる賃金の種類や給料未払いに対する遅延利息、請求に必要な証拠について確認しましょう。
労働基準法には労働に対し賃金(給与など)を全額支払うことが定められていて、
給料未払いがあればこれに違反したことになり30万円以下の罰金を科される可能性があります。(労働基準法120条1項)
上記で定める「通貨払い」「直接払い」「全額払い」「毎月払い」「一定期日払い」のことを「賃金支払い5原則」といいます。
給料未払いの対象となる賃金は、毎月の給与のほかにも下記があります。
給与などが支払われない場合、支給が遅れた分の利息に相当する遅延損害金や遅延利息を請求できます。
給料未払いを会社に請求するには、未払いを証明する証拠が必要になります。証拠の種類は下記の3つになります。
上記の証拠が完全に揃えば、未払い金額も明確になり給料未払いを証明する有力な証拠となります。すべてが揃わない場合でも給料未払い分の請求は可能ですから、給与に関するメモなど可能な限り収集しましょう。
証拠が揃えば会社に給料未払い分の支払いを請求しますが、直接請求したり裁判を起こす以外にも、さまざまな制度が設けられています。給料未払い分を請求する8つの方法を紹介しますので、状況に応じて適切な請求方法を選択しましょう。
1つ目の方法は、会社に直接請求することです。まずは、直属上司や会社の人事・総務へ給与が未払いであることを申し出しましょう。会社の手違いが判明して対応してくれれば、すぐに問題は解決します。
時間や手間がかからないメリットがある一方、上司や経営層への遠慮もあって言い出しにくいこともあるでしょう。また、会社から支払いを拒否された場合などは、下記の方法を選択しましょう。
2つ目の方法は、内容証明郵便を使って請求することです。
会社に申し出ても解決しない場合、内容証明郵便を使って給料未払いの請求をします。未払い賃金の金額や支払期日を明記し証拠のコピーも同封しましょう。
会社に対して本気で請求していることを伝えるとともに裁判になった時の証拠としても使えます。
3つ目の方法は、労働基準監督署に申告することです。
労働基準監督署に申告すれば、会社に対する調査や指導、勧告が期待でき、会社側の対応も真摯になるケースもあります。また、申告に費用はかかりません。
ただし、デメリットとして明確な証拠がないと相談だけで終わるケースがある、労働基準監督署の指導や勧告には強制力がない、などが挙げられます。
4つ目の方法は、民事調停で解決を図ることです。
民事調停は一般市民から選ばれた調停委員と裁判官が、労使の話合いによって紛争解決を図る手続です。調停手数料も低額で、短時間での解決が期待できます。
ただし、話し合いで解決しなければ、問題は解決されないまま調停は終わります。
5つ目の方法は、裁判所へ支払督促を申し立てることです。
簡易裁判所に会社に対する請求内容を記載した支払督促申立書を提出すると、裁判所は内容を確認し支払督促書面を会社に送付してくれます。会社が2週間以内に異議を唱えなければ、支払督促の内容が法的に確定する、という仕組みです。
法的拘束力を持った方法ですが、会社が異議を申し立てれば最終的には裁判するしかなくなります。
6つ目の方法は、労働審判で解決を図ることです。
労働審判は、裁判官と労使の代表により3回以内の話し合いで問題解決を図る制度です。労使が和解するか、裁判官の審判に労使が異議申し立てをしなければ問題は解決します。
裁判と比較して費用と時間は少なくて済みますが、異議申し立てがあれば問題は解決されないまま労働審判は終わります。
7つ目の方法は、少額訴訟で請求することです。
少額訴訟とは、60万円以下の金銭の支払い請求を目的とする手続きのことで、簡易裁判所で行われます。原則1回で審理を終え即日判決が出るため、費用も安く時間も短くてすみます。
ただし、異議の申し立てがあれば最終的には裁判になります。
8つ目の方法は、民事訴訟で請求することです。
裁判を起こすということですが、判決によって最終的な問題解決が図られます。控訴や上告があっても、時間はかかりますが決着はつけられます。
ただし、弁護士報酬は高額で、裁判期間も通常半年から1年程度と長期になります。これまで紹介した中では、最も費用と時間がかかる方法です。
給料未払いの請求方法を中心に解説してきましたが、請求権には消滅時効があるので注意しましょう。また請求先である会社が倒産した場合の救済制度も確認しておきましょう。
2020年4月より、未払い賃金の請求権の消滅時効が2年から3年に延長されました。ただし、延長の対象となるのは2020年4月1日以降に支払われる賃金からなので、給与支払い日が2020年3月までの賃金は2年以内に請求が必要です。
ただし、退職金の請求権の消滅時効は5年でほかの賃金とは異なります。
未払い賃金の立替払制度は、会社が倒産して賃金が未払いのまま退職した従業員に、未払い賃金の一部を労働者健康福祉機構が事業主に代わって支払う制度です。
みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。