不当解雇・退職勧奨
お悩みお聞かせください

無料相談窓口(24時間全国対応)

※伺った事情をもとに、ショートメールメッセージ(SMS)か電話にて専門員が返答いたします

※ユニオンとしてご対応が難しいものでも、適切な相談先をお伝えしますので、まずはご連絡ください

いわゆる過労死ラインとされる残業をしている場合の対応方法

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

名称未設定のデザイン 2

勤務している会社が非常に長時間の残業を強いてくる、という方の中には、「過労死ライン」や、「残業100時間・80時間」といった言葉を耳にすることも多いのではないでしょうか。

この記事では、過労死ラインと「100時間・80時間」という残業時間が何を指すか、このような長時間残業を強いられているような場合の対応方法についてご紹介します。

「過労死ライン」とは健康障害のリスクが高まる時間外労働時間のこと

まずは「過労死ライン」とはどのようなものか確認しましょう。

過労死ラインとは

過労死ラインとは、健康障害のリスクが高まる時間外労働時間のことをいいます。

厚生労働省は、労災認定における「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準」という通達において、「長期間の過重業務」という項目を設けて次のように示しています。

  • 長時間残業が長期間にわたると疲労の蓄積が生じ、これが血管病変を憎悪させ、脳・心臓疾患を発症させることがある。
  • 労働時間が長いほど業務の過重性が増すので業務と発症との関連性が強いと判断できる。
  • 時間外労働が1ヶ月あたり45時間を超えない場合には、業務と脳・心臓疾患との関連性は弱い
  • 時間外労働が1ヶ月あたり45時間を超えれば超えるほど脳・心臓疾患との関連性は高まる
  • 具体的には、直近1ヶ月で100時間以上又は発症前2~6ヶ月間にわたって80時間以上の長時間労働が認められるときには、業務と脳・心臓疾患との関連性が高いといえる。

【参考】:脳・心臓疾患の認定基準の改正について|厚生労働省

また、2020年版の過労死広報においては、このような長時間労働により、自殺を思い度とどまる精神的抑制力が著しく阻害され、自殺に至ってしまうとしています。

ここに出てくる

  • 直近1ヶ月で100時間以上
  • 発症前2~6ヶ月間に渡って1ヶ月あたり80時間以上の長時間労働

のことを「過労死ライン」と呼んでいます。

労働者に過労死ラインを超えて労働させない規制がある

以下の過労死ラインを超える残業をさせることは労働基準法36条6項に違反することになります。

  • 年720時間を超える時間外労働
  • 2ヶ月~6ヶ月の平均80時間を超える時間外労働(休日労働含む)
  • 月100時間を超える時間外労働(休日労働含む)

この過労死ラインを超えて労働をさせないよう、規制が定められています。

労働基準法違反をする会社に対しては、労働基準監督署が臨検(直接事業所に立ち入ること)や出頭を命じたりする行政処分を行うことができます(同法101条・102条)。

また、この違反に対しては6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられる旨が規定されています(119条1号)。

行政処分・刑事罰などの規制を設けることで、過労死ラインを超える長時間労働をさせる会社に対して規制をしています。

過労死ラインを超えるような労働時間の場合には失業手当が有利になる

会社を退職した人は失業手当の給付を受けることができます。

失業手当の給付において、自己都合退職をした場合には、給付の要件が厳しくなる・待期の日数が増える・給付される期間が短くなることになります。

しかし、過労死ラインを超えるような残業をしていた場合は、特定受給資格者として会社都合退職と同様の扱いとなります。

具体的には以下のようなケースが対象となります。

  • 3ヶ月連続で45時間を超える
  • 1ヶ月100時間を超える
  • 連続する2ヶ月以上の期間の時間外労働を平均して1ヶ月80時間を超える

過労死ラインを超える長時間労働を強いられている場合の対応方法

では過労死ラインを超える長時間労働を現実に強いられている場合に、労働者はどのような対応方法をとることができるのでしょうか。

主に以下の二つの方法があります。

  • 労働基準監督署への通告
  • 民事訴訟の提起

具体的に確認しましょう。

労働基準監督署への通告

上述したように、労働基準監督署は、行政処分を行うための調査をすることができますし、刑事事件にする場合には警察と同様の権限を持っています(労働基準法102条)。

そのため、過労死ラインを超える長時間残業を強いられている場合には、労働基準監督署に通告をして、労働基準監督署にアクションをしてもらうように促すことが考えられます。

本来であれば、このような違反があれば労働基準監督署が自ら調査を行って、会社を取り締まるのが望ましいのです。

しかし、労働基準法違反となる事例があまりにも多く、労働基準監督署としても処理においついていないこともあるので、通告できちんと過労死ラインを超える労働をしている違反があることを認識してもらうのが良いといえます。

労働基準監督署への通告にあたってきちんと証拠を揃えること

長時間労働が常態化しているような会社では、実際には過労死ラインを超える長時間残業をさせているにも関わらず、タイムカードを作るなどして残業時間を把握していない、タイムカードを定時など実際の終業時間前に切らせる、家に持ち帰って仕事をさせる、などして表に出ないようにしていることが多いです。

このような場合でも、理想は本当に過労死ラインを超える長時間残業をさせているのかを労働基準監督署が調べるのが望ましいのですが、現実には難しいといえます。

そのため、長時間残業を強いられている証拠を出来る限り揃えるようにしましょう。

タイムカードでこれが確認できるのであれば、コピーをとるなどして提出できるようにしておきます。

その他にも、業務日報・メールの送受信履歴・パソコンのアクセスログなど、時間外労働をしていることを認定できる可能性があるものについては提出できるようにしておきましょう。

十分な証拠が集まらないような場合でも、詳細を記載したメモを作っておくことは、集まった証拠と整合させる上で役にたつこともありますので、詳細に作っておくことが望ましいでしょう。

このような証拠は、残業代の支払いがない場合に、その支払いを求めるためにも利用することができます。

民事訴訟を起こす

労働基準監督署に動いてもらうこととは別に、会社を退職した後には民事訴訟を起こすことも検討しましょう。

実際に健康被害にあったような場合には、労災認定がされて給付を受けた上で、精神的苦痛に対する慰謝料請求を行うことが可能です。

また、健康被害にあっていないくても、状態的な長時間残業をさせること自体に慰謝料の支払いを命じているケースがあります

長崎地裁大村支部令和元年9月26日判決によると、直近2年は90時間~160時間の残業をしていたような場合、心身に不調をきたしていなくても、30万円の慰謝料を支払うべき旨の判決を下しています。

また、東京地方裁判所令和2年6月10日判決において、1年半にわたり月30時間~50時間の時間外労働をさせていたケースについて、心身の不調を認める医学的な根拠がないものの、不調を来す可能性があった」と判示して、10万円の支払いを命じています。

残業代の未払いがあるような場合には、一緒に主張をすることが可能で、長崎地裁大村支部の事案では、態様が悪質である場合に課される付加金も認められています。

まとめ

このページでは、過労死ラインとはどのようなものか、過労死ラインを超える労働を強いられているときの対応方法についてお伝えしました。

過労死ラインを超える労働を強いられているということは、病気発症のリスクが高まっている状態であることを認識した上で、労働基準監督署への通告など、必要な措置をすみやかにとるようにしましょう。

特に証拠の収集が肝になることがあるので、その人の状況に沿った証拠の集め方については弁護士に相談をしてみることをお勧めします。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

詳しくはこちら

みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。