失業保険は会社都合が有利?退職事由の判別方法と注意点も解説

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

20181116191341 becf976c0f6223cc50785d851d6f820a6e80535f

退職後にハローワークに行って手続きすると、失業保険の給付日数やスタート時期が決まるのですが、退職事由が自己都合か会社都合かによって受給できる失業保険はおおきく異なります。

今回の記事では、退職事由別の失業保険の受給内容や自己都合と会社都合の判別の仕方などについて解説します。

退職事由で失業保険の給付は違う|失業保険の受給内容

退職事由が自己都合か会社都合かで、失業保険の受給内容は大きく異なります。会社都合によりやむなく退職した人は、自己都合の人と比べて手厚い給付が受けられるからです。

退職事由別に給付制限や所定給付日数、基本手当日額などを確認します。

退職事由(自己都合・会社都合)別の給付制限

失業保険は求職の申込を行った日から7日間の待機期間が満了すると開始されますが、自己都合か会社都合かによって給付制限があります。
給付制限期間のあいだは、失業保険が給付されません。

給付制限の具体的な期間は下記の通りです。

  • 自己都合:給付制限3か月
  • 会社都合:給付制限なし

ただし、法改正によって令和2年10月1日以降に自己都合退職した場合、5年間のうち2回までは給付制限期間が2か月となりました。自己責任で懲戒解雇された場合は回数にかかわらず、給付制限は3ヶ月のままです。

つまり、自己都合の場合、待機期間と給付制限をあわせて最低2か月と7日間は失業保険がもらえないことになります。

退職事由(自己都合・会社都合)別の所定給付日数

所定給付日数とは、失業保険(正式には基本手当)がもらえる最大日数のことで、退職事由別に下記の通りです。

自己都合退職

被保険者期間1年以上10年未満10年以上20年未満20年以上
所定給付日数90日120日150日

会社都合退職

被保険者
期間
6月以上
1年未満
1年以上
5年未満
5年以上
10年未満
10年以上
20年未満
20年以上
29歳以下90日90日120日180日
30-34歳90日120日180日210日240日
35-44歳90日150日180日240日270日
45-59歳90日180日240日270日330日
60-64歳90日150日180日210日240日

45歳で20年勤続の場合、失業保険をもらえる日数は自己都合150日に対し、会社都合は330日と2倍以上の差がでます。

退職事由(自己都合・会社都合)別の基本手当日額

基本手当日額とは、失業保険の1日あたりの金額です。
その計算方法は下記の通りとなります。

基本手当日額

離職した日の直前6か月の賃金の合計を180で割り、1日当たりの賃金(賃金日額)を求める。
賃金日額の45%~80%の金額が基本手当日額となる。

なお、基本手当日額には一定の年齢ごとに上限額が定められています。

退職事由によって基本手当日額の金額に変わりが生じることはありません。
ただ、先述のとおり2か月~3カ月の待期期間がある点、所定給付日数が少ないという点から失業保険の総受給額は自己都合退職の方が少なくなります

会社都合退職とは|特定受給資格者

そもそも会社都合退職というのはどのような形態での退職のことを指すのでしょうか?

雇用保険の関係上、一般的に会社都合退職といわれるのは下記の2つです。

  • 特定受給資格者
  • 特定理由離職者

それぞれについて解説します。

特定受給資格者とは

特定受給資格者とは、下記の退職者です。

  • 倒産等で退職した人
  • 解雇等により退職した人

倒産・解雇等には、下記ケースによる退職も含まれます。

倒産・解雇等に含まれるもの

  • 勤務先が大量雇用変動届(※)を提出した場合や、従業員の1/3以上が退職した場合
  • 勤務先の移転により通勤できなくなった場合
  • 事業主が賃金を支払わない、労働契約の労働条件が守られていないなど勤務先が不法・不当な行為を行った場合
  • 事業主からの退職勧奨に従った場合

(※)1月で30人超の離職者発生が見込まれるときハローワークに提出する届け

ただし懲戒解雇された場合や、恒常的に実施されている早期退職優遇制度・選択定年制度を使って退職した場合は該当しません。

有期雇用契約者についても、下記ケースは解雇等に該当します。

  • 有期労働契約を更新して3年以上継続して雇用されていた従業員が、契約更新されずに離職したケース
  • 有期労働契約に更新されることが明示されていたにもかかわらず、契約更新されずに離職したケース

特定理由離職者とは

特定受給資格者とは、下記の退職者です。

  1. 有期労働契約が満了し契約更新されずに離職した人
  2. 正当な理由のある自己都合により退職した人

①有期労働契約が満了し契約更新されずに離職した人

①に該当するには下記の2要件を満たさなければなりません。

  1. 有期労働契約に契約更新の明示はないが「契約の更新をする場合がある」など記載されていること。更新しないことが明示されていれば該当しない。
  2. 従業員が契約満了日までに更新希望の申出をしていること。

②正当な理由のある自己都合により退職した人

②については、自己都合退職ですが失業保険の給付では会社都合退職と同様に取り扱われます。
「正当な理由」には下記のものが該当します。

正当な理由の例

  • 体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力・聴力・触覚の減退 など
  • 妊娠、出産、育児 など(ハローワークで受給期間延長措置を受けた人)
  • 家庭の事情の急変により扶養・看護のために離職を余儀なくされた。配偶者や親族と別居生活を続けることが困難となった。
  • 結婚に伴う住所の変更などにより通勤が不可能・困難となった。

自己都合退職とは|一般の受給資格者

一般的に自己都合退職者といわれる人は、雇用保険では「一般の受給資格者」にあたります。前述の「特定受給資格者」「特定理由離職者」を除く、自己都合による退職者が該当します。

自己都合退職の一例

  • 転職
  • 労働条件や仕事内容があわない、人間関係がうまくいかない。
  • 病気やケガで仕事ができない。
  • 結婚・出産や家族の介護・看護を優先する。

ただ実務の上では、「会社から退職してくれと言われたのに、自己都合にされていた」「病気という正当な理由で自己都合退職したが、病気の程度によって特定受給資格者と認められなかった」など、会社都合か自主都合かでトラブル化するケースもあります。

退職事由(会社都合・自社都合)は離職票で確認

自分の退職事由が自己都合か会社都合かは、どのようにして確認できるのでしょうか。退職事由の確認方法と注意点について解説します。

退職事由は離職票-2の離職理由欄で確認する

退職事由は、離職票に記載されています。離職票とは退職後に会社から交付され、失業保険の申請に必要な書類です。

離職票には「離職票-1」「離職票-2」の2種類がありますが、「離職票-2」に離職理由欄があり事業主からの離職理由をチェックすることができます。

Screenshot 2021 02 24 info 1 e7 01 pdf

引用:ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」

「離職票-2」の離職理由欄には退職事由が詳細に記載されていますが、自己都合退職と会社都合退職の事由が順番に書かれているわけではありません。

離職票-2のサインには要注意

「離職票-2」には、前述の通り詳細な離職事由について事業主が記載しています。しかしこの記載された離職自由について、退職者の見解と相違している場合があります。

会社の退職事由に納得できないときは、「離職票-2」の右下にある欄に会社の退職事由に対して異議のあることを記載しなければなりません。

実務上、会社都合退職にしたくない会社も多く、会社都合退職なのに自己都合退職あつかいとなっている場合もあります。
ハローワークの判断次第ですが、離職票に異議なしと記載して後から訂正するのは難しいです。
「会社から退職してくれと言われたのに、自己都合にされていた」ということがないよう離職票の記載についてはきっちり確認してからサインするようにしましょう。

Screenshot 2021 02 24 info 1 e7 01 pdf1

引用:ハローワークインターネットサービス「雇用保険の具体的な手続き」

無料相談のご案内

不当解雇・リストラ・退職勧奨。労働問題のお悩みお聞かせください

  • 不当解雇
  • リストラ
  • 退職勧奨

労働問題のお悩みお聞かせください

無料相談窓口(24時間全国対応)telnum※受付のみの時間帯がございます

※受付のみの時間帯がございます

加入脱退自由のオンライン労働組合

みんなのユニオン

みんなのユニオンについて知りたい方はこちら

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

詳しくはこちら

みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。

不当解雇お悩み解決!
全国24時間無料相談
0120-482-911