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更新日:
監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志
新しく勤めている会社の社風や業務内容が自分と合わず、試用期間で辞めたいとお考えではないでしょうか。
しかし、「はたして試用期間で辞めることができるのだろうか」「試用期間で辞めるとなにか問題が起こるのでは」といった疑問を抱えているかと思います。
この記事では、試用期間で辞めるときに知っておきたいことを解説します。
目次
そもそも、試用期間とはいったいどのようなものなのでしょうか。
試用期間について解説します。
試用期間とは、会社から労働者として採用されるとき、本採用の前に設けられる仮採用の期間のことです。
一般的には、数枚の書類と面接だけで社員として適切かどうかを判断されることは難しいとされています。
そのため、会社側は試用期間を設けることで、労働者の能力や勤務態度を判断し、問題がなければ本採用しましょうというのが試用期間の目的です。
試用期間は労働者側にとっても「自身が持っていた会社のイメージと違った」といった見極めができます。
試用期間の長さについては、労働基準法などで明確な定めはありませんが、1ヶ月〜6ヶ月の範囲に収まるのが一般的で、最長1年が限度と考えられています。
結論からお伝えすると、試用期間で辞めることは可能です。
民法627条1項では、退職予定日の2週間前に退職の申し出を行うことで契約は解消されると定められています。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
民法627条第1項
しかし、会社の規定で「退職の申し出は退職希望日の1ヶ月前までに申し出ること」などとされている場合は、会社のルールに従ったほうがいいでしょう。
試用期間中に即日退職をすることは通常は許されていません。
なんとなくイメージと違った、社風が合わないといった個人的な理由の場合、上司や会社と話し合い、退職届を提出して受理されることが前提となります。
しかし、パワハラや長時間労働など、労働環境が劣悪で会社に原因がある場合は即日退職が認められることがあります。
また話し合いの結果、会社側が即日退社を認めた場合は、試用期間中であっても即日退職ができるケースもありますが、即日退職は一般的に認められないと考えた方がいいでしょう。
試用期間で退職をする場合の流れは以下のとおりです。
試用期間といえども労働契約は成立しているため、正しい手順をとって退職の手続きを進める必要があります。
試用期間で辞めることにはメリット・デメリットがあります。
メリット・デメリットを知ることで、試用期間で退職をするか否かの判断材料となるでしょう。
試用期間で辞めるメリットは、以下のようなものが挙げられます。
言うまでもなく、現在会社で抱えている悩みから解放されるようになります。
ストレスを抱えて体調を崩してしまうようであれば、1日でも早く退職を申し出ることも必要です。
基本的に、年齢を重ねるにつれて転職をすることは難しくなります。
試用期間に辞めたいと思ったものの気が引けて数年働いた人と、すぐに辞めた人とでは、後者の方が年齢的には有利です。
例えば、23歳と30歳では転職活動の難易度に差が出ますし、入社後の順応度も高いです。
辞めるのであれば、なるべく早く決断したほうがいいこともあるということです。
新卒であれば、次の転職の際に「第二新卒」という扱いで転職活動をすることができます。
第二新卒は職歴が浅いため、会社のやり方に染めやすいといった理由などから企業が採用に積極的です。
現在の会社が合わないと考えているのであれば、第二新卒として転職を考えることも得策と言えます。
試用期間で辞めるデメリットは、以下のようなものが挙げられます。
試用期間中に会社を辞めたことは、基本的には履歴書へ記載する必要があります。
採用側があなたの在籍期間の短さを見て、「うちで働いてもまたすぐに辞められるのではないだろうか」といったマイナスの要素として捉えられることがあるでしょう。
この場合、退職理由を明確に伝えられるかどうかが重要となります。
試用期間で辞めるということは、次の転職先が決まっていない状態であることがほとんどであるため、無職になる期間が発生します。
転職活動を行いながらいつ内定をもらえるか分からず、十分な貯蓄がない状況ともなるとストレスを抱える原因となり得ます。
試用期間の退職を円満なものにしたいと考えるのは当然なことです。
退職理由の伝え方によっては、会社側に悪印象を与えてしまい、退職日まで気まずい雰囲気のなかで働かなければならないといったことになりかねません。
試用期間で円満に辞めるための伝え方を解説します。
試用期間に多い退職理由は、以下のようなケースが挙げられます。
こういった理由で辞めたいと思うのは、試用期間であってもごく正常な反応でしょう。
試用期間での退職を申し出る際には、会社の批判や悪口を言ったと捉えられないようにすることが重要です。
会社には可能な範囲で正直に理由を伝えつつ、会社を責めるような文言は盛り込まないようにしましょう。
そうすることで、会社や従業員から「試用期間の途中までしか働いていないのに会社を批判された」といった悪印象を与えずに済みます。
角が立たず、差し障りのない内容で伝えることで、円満退社に繋がります。
試用期間で辞める決意が固まった場合は、上司へ口頭で相談しましょう。
その際に、参考となるような伝え方の例を以下に挙げます。
お忙しいなかお時間をいただきありがとうございます。
突然のご相談で申し訳ないのですが、じつは退職を考えております。
入社前に想定していた社風と実際の雰囲気が異なり、馴染めるように努力してきましたが、自身の性格では順応していけないと感じました。
試用期間という立場でこのようなご相談となり、大変申し訳なく思っております。
お時間いただきありがとうございます。
じつは少し前から体調が悪く、このまま仕事を続けることが難しいと考えております。
現在、病院に通っている状況です。
試用期間中にこのようなお話をすることになり、大変申し訳ございません。
本日はお時間をいただきありがとうございます。
自分自身とても悩んだのですが、退職をしたいと考えています。
入社当初は外回りの営業に携わると聞いておりましたが、実際は社内業務が多く、自分自身のやりたいこととのギャップを感じております。
退職するなら早い方がいいと思い、お伝えさせていただきました。
試用期間での退職を電話で伝えることは避けましょう。
電話で退職を伝えることは社会人としてのマナーに欠けるだけではなく、会社や従業員を不快にさせる可能性があるため円満退社は難しくなります。
揉め事なく退職したいという場合は、直接口頭で伝えるのが無難です。
みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。