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派遣社員として長期間働く場合、数か月の契約期間が定められているケースが大半です。
契約期間が終了すると契約の更新が行われ、さらに同じ期間だけ働くということを繰り返します。
派遣社員の方は更新の時期が近づくたびに、きちんと契約が更新されるのか不安になるかもしれません。
万が一、解雇や雇い止めのような「派遣切り」にあった時は補償を受けられる可能性があり、労働者のための相談窓口も利用可能です。
今回は、派遣切りに遭った時に受けられる補償や相談先などについて解説します。
目次
そもそも派遣切りとは、どのようなことを指すのでしょうか。
まずは、派遣切りの意味を正しく理解しましょう。
また、派遣切りがなぜ起きてしまうのかを解説します。
派遣社員は派遣会社に雇用され、派遣元と就業先の間に派遣契約が締結されて成立する労働形態です。
派遣切りは雇用または派遣の契約を終了させることを指し、以下の2つのケースが該当します。
多くの場合、会社都合で本人の意思とは無関係に辞めさせるのが派遣切りです。
1.は派遣社員と派遣会社、2.は派遣先と派遣会社の契約終了を意味します。
派遣切りされる主な理由には以下のようなことがあります。
最も多く見られる理由は会社の業績が悪くなり、コスト削減の必要に迫られることによるものです。
人件費削減のため、多くの会社では正社員より先に派遣社員が辞めさせられています。
なお、派遣社員は同じ派遣先の同じ部署では3年までしか働けません。
3年継続して勤務すると、派遣会社が派遣先に対して直接雇用の依頼を行うことができます。
残念ながら、派遣社員の直接雇用を避けるために更新を断る企業があるのが実情です。
そのため、雇い止めについては、3年を経過する直前に行われるケースが見られます。
派遣切りは会社の業績悪化が原因の場合、前兆なく急に起こることが珍しくありません。
その他の理由であれば、以下のような変化が見られることがあります。
以上のような場合、派遣先が「どうせ近いうちに辞めてもらうから関わっても仕方ない」などと考えているかもしれません。
派遣切りは派遣社員にとって寝耳に水のような出来事でしょう。
こんなひどいことが認められてよいのか、という怒りも湧いてきそうです。
しかし、すべての派遣切りが違法なわけではありません。
ここでは、2つのケースに分けて派遣切りの違法性をチェックしましょう。
派遣先が契約期間中に契約解除を行い、派遣会社から解雇されたケースです。
契約期間中の解雇については「やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない」と定められています(労働契約法17条第1項)。
また、解雇予告について「使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない」と規定されています(労働基準法20条第1項)。
つまり、契約期間が満了する前に解雇するには、以下の条件を満たさなければなりません。
どちらか一方しか満たしていなければ、解雇は違法と判断される可能性が高いです。
派遣先からの派遣契約解約に伴い雇い止めされたケースですが、基本的に雇い止めは違法ではありません。
それは、もともと期間を決められて契約しているためです。
しかし、以下のようなケースでは、事実上は期間の定めがないと判断される可能性があります(労働契約法19条)。
実質無期契約と同等であれば、雇い止めには客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当でなければなりません。
派遣切りに遭ってしまったら、しばらく収入がなくなるかもしれません。
しかし、生活のための金銭補償を受けられる可能性があります。
どんな補償が用意されているか確認してみましょう。
解雇予告手当は労働者を解雇する際に、解雇予定日の30日前までに予告しなかった場合に労働者が受け取れる手当です(労働基準法20条第1項)。
解雇予告が29日前以降に行われた場合、30日に満たない日数分の平均給与をもらえます。
例えば、解雇の20日前に予告があれば、解雇予告手当は10日分です。
1日あたりの解雇予告手当は、残業代も含めた直近3か月分の給与を3か月の日数で割って算出します。
解雇予告手当をもらえれば、突然解雇されても生活が脅かされずに済むでしょう。
なお、懲戒解雇などの労働者の責に帰すべき事由に基づく解雇であると労基署の認定を受けた場合、支払いは不要とされています。
休業手当は会社の都合で従業員を休ませた場合に、休業中の生活を保障するために支給される手当です。
休業期間中、1日あたり平均賃金の6割以上が支払われます。
もちろん、公休日については支給されません。
派遣先の都合で契約が解除された場合、派遣会社は派遣社員に対して期間満了日までの休業手当を支払う必要があります。
なお、「休業補償給付」は労働者の療養のために休業せざるを得ない場合の補償です。
両者は別物なので混同しないように注意しましょう。
失業手当は失業後の求職活動を行う期間に支給される手当です。
もらえる金額や期間は、失業前の賃金や雇用保険の加入期間によって変動します。
解雇のための失業なら、離職日までの1年間に雇用保険に6か月以上加入していることが受給条件です。
自己都合退職の場合は、1週間の待期期間と2か月間の給付制限期間を経なければ支給が始まりません。
しかし、会社都合であれば、1週間の待期期間後に失業手当の支給が開始されます。
そのため、仕事が無くなっても比較的安心して次の仕事を探せるでしょう。
実際に派遣切りに遭った時は、その後の生活の不安が頭をよぎり冷静に考えられなくなるのも無理はありません。
しかし、はっきりした理由がない場合などは、解雇が無効になる可能性もあります。
理不尽な派遣切りに生活を狂わされないよう、行動を起こしましょう。
解雇や雇い止めの話を覆すには、それが不当であるかどうかが重要です。
以下のような専門の相談窓口で状況を説明し、個別の派遣切りの取り扱いを見極めてもらいましょう。
相談する前に、派遣会社に「解雇理由証明書」の発行を依頼すると相談がスムーズになります。
派遣会社による解雇が不当と認められない場合、次の仕事を探すしかありません。
別の派遣会社への登録や、ハローワークで求人を紹介してもらうなどの手段が考えられます。
無収入の期間をできるだけ短くするため、失業手当などを受給しながら早めに行動を起こしましょう。
派遣先から言い渡された雇い止めが正当と判断されてしまった場合は、派遣会社に新しい仕事を探してもらいましょう。
同時に別の派遣会社で仕事を探すのもおすすめです。
現在登録している派遣会社が持っていない求人情報を持っている可能性もあります。
複数の派遣会社に相談すれば、自分に合う職場が見つかる可能性も上がるでしょう。
派遣切りが不当である可能性がある場合には、以下のような手段で解決を図ることを検討しましょう。
現実には裁判まで必要になるケースはあまりありません。
労働審判は個人でも申し立てられますが、弁護士に依頼する方がスムーズかつ有利に進められるでしょう。
また、弁護士に相談する前に、自分が何を求めているのかをはっきりさせておく必要があります。
その会社で働き続けたいのか、賃金や慰謝料を請求したいのかが曖昧では弁護士も動けません。
弁護士は会社との直接交渉も行ってくれるので、非常に心強い存在になるはずです。
みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。