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派遣の雇い止めは不当?会社が契約更新を拒否できないケースを解説

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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新型コロナウイルス感染症による企業活動の低迷で、「雇い止め」や「派遣切り」の増加が社会問題になっています。派遣社員にとっては、生活に直結する雇用の継続が脅かされる重大問題です。

今回の記事では、雇い止めに関する具体的な事例と法律上の制約、雇い止めにあった場合の対処法について解説します。

派遣の雇い止めとは|雇い止めの意味と増加の背景

派遣の雇い止めとは、派遣契約満了時に会社が更新をせずに契約を終了させることです。雇い止め自体が不当というわけではありませんが、派遣社員の生活に大きな影響のある措置であるため法律上、一定の制約が設けられています。

派遣の「雇い止め」と「派遣切り」「解雇」

派遣会社の雇用について、「雇い止め」とともによく使われる言葉として「派遣切り」「解雇」があります。

  • 雇い止め:契約満了時に会社が更新せずに契約を終了させること
  • 解雇  :契約期間中に会社が一方的に契約を終了させること
  • 派遣切り:雇い止めや解雇によって派遣社員の契約を終了させること

企業が雇用の調整弁として派遣社員の契約を終了させることを総称して「派遣切り」とよび、契約終了のタイミングが契約満了時なら「雇い止め」、契約期間中なら「解雇」になります。

雇い止めが増加する背景

直近で雇い止めが急増した主な理由は新型コロナウイルス感染症による企業活動の低迷ですが、それ以前から2015年9月30日の労働者派遣法改正で導入された「派遣3年ルール」の影響により雇い止めが増えていました

「派遣3年ルール」は同じ派遣先事業所では3年間しか働けないというルールで、本来は有期雇用から無期雇用への転換が目的です。しかし、実際には無期雇用への転換を望まない企業による雇い止めが増加する結果となりました。

雇い止めに必要な手続き

会社が派遣社員を雇い止めするのに必要な手続きは、労働基準法第14条2項に基づき、厚生労働省が雇い止めを巡るトラブルを防止する目的で策定した「有期労働契約の締結、更新及び雇い止めに関する基準について」で定められています。

派遣社員と派遣会社が結ぶ契約は有期労働契約ですから、派遣社員には労働者派遣法以外にも、有期契約労働者に関する法律・ガイドラインなどが適用されます。

【参考】:「改正労働基準法の概要~多様な働き方の実現と安心して働くことができるルールづくりを目指して~」厚生労働省

①雇い止めの予告

会社は下記に該当する労働契約を更新しない場合には、契約満了日の30日前までにその予告をしなければなりません。

  • 3回以上更新している
  • 契約期間1年以下の派遣契約を更新して通算1年超契約している
  • 1年を超える派遣契約を締結している

②雇い止め理由の明示

会社は雇い止めの予告後に、労働者から雇い止め理由の証明書を請求された場合、証明書の交付が必要です。雇い止め理由は、「契約期間の満了」以外の理由が必要であり、下記のようなケースが該当します。

  • 前回更新時に、今回の契約を更新しないという合意があったため
  • 事業縮小のため
  • 業務遂行能力が十分ではないと認められたため
  • 業務命令に反する違反行為を行ったこと、無断欠勤をしたことなど勤務不良のため など

上記のガイドラインが出たことで、会社が急な雇い止めや理由が明確でない雇い止めを行うことについて一定の歯止めができたことになります。

派遣の雇い止めが認められない事例|労働契約法第19条による更新拒否の制限

派遣社員を含む有期契約労働者の雇い止めの是非を巡るトラブルは裁判でも数多く争われ、最高裁判例で確立した「雇い止め法理」と呼ばれるものが労働契約法第19条に規定されました。

労働契約法第19条に定める「有期労働契約の更新等」

労働契約法第19条では、有期労働契約が下記に該当する場合、会社は更新を拒否できないと定めています。

  • 過去に反復して更新されたことがある有期労働契約を更新しないことにより終了させることが、無期契約労働者を解雇することと社会通念上同視できると認められること。
  • 労働者において有期労働契約の満了時に契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があると認められること。

上記に該当し、かつ派遣社員を含む有期契約労働者が遅滞なく更新の申込みをした場合、特段の事情がない限り、会社は従前の有期労働契約の内容と同一の条件で労働者の申込みを承諾したものとみなされます。

【参考】:「雇止め法理」厚生労働省

無期契約労働者を解雇することと社会通念上同視できるケース

有期労働契約の更新回数や勤務年数に明確な基準はありませんが、下記のような場合は、無期契約労働者を解雇することと社会通念上同視できるケースに該当します。

  • 数年にわたって派遣社員が希望すれば契約は更新されてきた
  • 更新時期に契約を交わすことなく、継続して仕事を続けてきた
  • 仕事内容や勤務時間、仕事に対する責任など正社員と変わらない

上記に該当する場合は、労働基準法などで定める無期契約労働者の解雇と同様の要件を満たさなければ、会社は派遣社員を雇い止めにすることはできません

契約が更新されると期待することについて合理的な理由があるケース

更新回数や勤務年数が少なくても、下記のような場合は、契約が更新されると期待することについて合理的な理由があると判断される可能性があります。

  • 会社側から「基本的に契約は更新する」と言われた
  • 更新後の期間を前提とした業務についての言動があった
  • ほかの派遣社員が同じような環境で反復更新されている

派遣の雇い止めへの対処法

派遣社員が雇い止めにあった場合の対応は、大きく次の3つに分かれます。

  • 次の仕事、または派遣会社を探す
  • 失業保険の給付を受ける
  • 雇い止めを不当だとして会社と争う

次の仕事、または派遣会社を探す

会社の雇い止めは、前述の「雇い止めに必要な手続き」が行われ「労働契約法第19条による更新拒否の制限」を受けなければ有効です。

同じ派遣先で次の仕事を紹介してもらうか、新しい派遣会社を探すことになります。1年以上仕事を継続していて更新がない場合、契約満了日の30日前までに予告があるので、仕事の空き期間ができないよう早めに次の準備をしましょう。

失業保険の給付を受ける

新しい仕事が見つからない場合は、失業保険を受けながら転職活動することになります。契約満了による失業は自己都合退職の扱いとなりますが、下記ケースでは会社都合退職社と同様の失業給付を受けることが出来ます

倒産・解雇等離職者

  • 更新により3年以上雇用されていたが、更新されないことにより離職した者
  • 契約が更新されると明記されていたが、更新されないことにより離職した者

※無期契約労働者の解雇と同様に会社都合退職となる。

特定理由離職者

  • 労働者の希望に反して契約が更新されないことにより離職した者
  • または病気や家族の介護など正当な理由により自己都合退職した者

これら2つに該当しない、すなわち正当な理由のない自己都合退職の場合は申請から2ヵ月の給付制限期間があり、すぐに失業保険の給付を受けることができません。

雇い止めを不当だとして会社と争う

会社の雇い止めが、「雇い止めに必要な手続き」なしでが行われたり「労働契約法第19条による更新拒否の制限」に該当する場合は、雇い止めを不当として会社と争うことも可能です。

会社に対して契約の更新を請求したり、弁護士や労働組合、労働基準監督署に相談するなどの方法もあります。解決しない場合の最終手段は裁判になりますが、費用と時間がかかることを覚悟しなければなりません。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。