不当解雇・退職勧奨の
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新型コロナウイルス感染症の影響で、リストラや雇い止めが増加しています。「リストラされたときに退職金はもらえるの?」「退職金はいくらくらい?」など、不安や疑問を抱えている人も多いでしょう。
今回の記事では、リストラされたときに退職金は出るのか、相場はどれくらいなのかについて解説します。
目次
会社が経営不振でクビになることを一般的にはリストラと呼びますが、本来、リストラとは事業の再構築を意味する言葉で、具体的な方法として下記があります。
会社が事業を再構築するためには様々な方法がありますが、その1つが「人員の削減」で俗にリストラと呼ばれているのです。人員削減のために行う「整理解雇」と「希望退職」について見ていきましょう。
整理解雇とは、会社の経営不振などを理由に解雇せざるを得ない場合に、人員削減のために行う解雇です。従業員に責任のない会社都合の解雇であるため、以下の4要件を満たさないと会社は解雇できません。
希望退職とは、リストラの一環で人員削減を目的に、優遇措置を用意して従業員の自発的な退職を促すことで、整理解雇の前段階ともいえます。
整理解雇とは異なり、会社からの強制ではなく従業員の意思が優先されるので、従業員にとって魅力ある優遇措置(一般的には退職金の上乗せ)が受けられます。一般的には期間や退職者数を限定して実施されます。
また、希望退職による退職は会社都合となり、有利な条件で失業保険を受給できます。
新型コロナウイルスの感染拡大により今年に入ってリストラ件数は大幅に増えています。また、リストラを実施する理由についても大きな変化がみられます。
東京商工リサーチの調査によると、2019年度に早期・希望退職者を募集した上場企業は過去5年間で最多となりました。
会社数、対象人数とも2018年度の約3倍と大幅に増加しました。昨年度のリストラのもう1つの特徴が、黒字リストラの増加です。増収増益にもかかわらず、将来を見据えて事業再編するためにリストラを実施する会社が増える傾向にありました。
同じく東京商工リサーチの調査では、2020年10月29日までの早期・希望退職者の募集状況は下記のとおりです。
会社数では昨年の2倍と急増し、対象人数もすでに昨年度の合計を超えています。また、新型コロナウイルス感染症による業績不振で、赤字リストラの割合が再び増加しました。
リストラされたときに退職金は出るのでしょうか。法律と就業規則による定めを見ていきましょう。
退職金の額については、法律で特段の定めはないため、会社が就業規則に定めた金額が支給されます。就業規則には、自己都合退職と会社都合退職の場合の退職金の計算方法が定められていますが、リストラのときは会社都合退職で計算します。
退職金の計算方法は、勤続年数や基本給などを使ってベースの金額を算出した上で、退職理由によって所定の掛け率(会社都合は1.0、自己都合は0.8など)を乗じて計算することが多いため、一般的には会社都合退職の方が金額は大きくなります。
リストラのときは、退職金が上乗せされることもあります。リストラは会社都合であり、全く責任のない従業員に大きな負担を強いることになるからです。
上乗せの金額についても法律上の定めはないため、会社の判断で決まります。会社によって上乗せ金額は月給の数ヶ月分から数年分まで大きく異なりますが、業績のいい会社や規模の大きな会社の上乗せ額が多い傾向にあります。
最後に具体的な退職金の相場をみていきましょう。会社ごとに退職金の規定や上乗せ額は大きく異なりますので、あくまで参考としてみてください。
総務省統計局の平成30年就労条件総合調査によると、企業規模別の希望退職者の退職給付額は下記のとおりです。
(希望退職者の退職給付額)
勤続年数 | 従業員 1,000人以上 | 300~999人 | 100~299人 |
---|---|---|---|
20~24年 | 1,375万円 | 1,489万円 | - |
25~29年 | 2,157万円 | 1,540万円 | - |
30~34年 | 2,604万円 | 2,272万円 | 2,541万円 |
35年以上 | 2,706万円 | 2,546万円 | 2,457万円 |
全年齢 | 2,452万円 | 2,090万円 | 2,521万円 |
【参考】:総務省統計局|平成30年就労条件総合調査
最近、リストラを行った企業の退職金の上乗せ額(特別損失額/退職者数で計算)は下記の通りです。
上記の通り、退職金の上乗せ額は会社ごとに大きく異なり、倒産寸前の会社など上乗せが期待できない会社もあります。
一度退職してしまうと会社の解雇や退職金に不満があっても、撤回などを求めるのが難しくなるため、退職するときには下記の確認を行いましょう。
前述の通り、会社が整理解雇を行うには、「人員削減の必要性」「解雇回避の努力」「人選の合理性」「解雇手続の妥当性」の4要件が必要です。この要件を満たしていない場合、整理解雇は出来ないので不当解雇の可能性があります。
解雇されたのに自己都合退職になっていれば、失業保険の受給は不利になります。
退職理由は退職後に交付される離職票に記載されていますが、従業員が請求すれば事前に「解雇理由証明書」を発行してもらえるので確認しましょう。
離職票では、離職理由の欄が下記のものに選択されているかを確認しましょう。
4.事業主からの働きかけによるもの―(1)解雇(重責解雇を除く)
4.事業主からの働きかけによるもの―(3)希望退職の募集または退職勧奨
離職票の見本は「雇用保険被保険者離職票|ハローワーク」をご覧ください。
いきなりの解雇で従業員が生活に困らないように、労働基準法第20条では解雇時の下記ルールを定めています。
上記の平均賃金を「解雇予告手当」といいますが、30日前の解雇予告または解雇予告手当の支給を受ける権利がありますので覚えておきましょう。
みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。