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突然、リストラを言い渡されると、絶望的な気持ちにもなりますし、それ以降、どうやって生活していけば良いのか、わからなくなります。
職探しをするにしても、すぐに仕事が見つかる保証はありません。
とりあえずは、失業保険をもらいながら職探しをするしかないと思っても、そもそも、リストラに遭った場合に失業保険はもらえるのだろうか、と不安になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、リストラで失業保険をもらうための条件を中心に解説していきます。
目次
「失業保険」とは、失業した人が安定した生活の中で求職活動をできるように支給される手当のことをいいます。
この失業保険ですが、リストラをされた場合でも受け取ることができるのでしょうか?
ここで、念のため、「リストラ」の意味について確認しておきましょう。
「リストラ」は本来、社会環境の変化に柔軟に対応するために、企業が効果的に事業を再構築することを意味します。その一環として、退職を促す・整理解雇することが行われます。
リストラをされると、パニック状態になり、失業保険のことまで考えが至らないことがほとんどかもしれません。
ですが、求職活動をしたからといって、すぐに新しい仕事が見つかるとは限らないため、その間の生活費等が必要になります。
その意味でも、失業保険を受け取れるかどうかは非常に重要なことなのです。
失業をする理由は、大きく分けて、自己都合によるものと会社都合によるものに分かれますが、リストラの多くは会社都合にあたります。
失業した人は、どちらの理由で失業したにせよ、失業後求職活動をしなければなりません。
以上のように、失業保険は離職した人で、就職できる能力があるにもかかわらず、求職活動中で職に就くことができない状態にあって、かつ、次に見る条件を満たしていることを条件として、給付されるものです。
これは、失業をした理由が自己都合であるか会社都合であるかを問いません。
リストラに遭った人であっても失業保険を受け取ることができるのは、先に見たとおりですが、リストラ(会社都合による退職)の場合には、次の条件を満たしていることが必要になります。
リストラされた失業者において、離職日以前の1年間の被保険者期間が6ヶ月以上あることが必要です(雇用保険法13条2項)。
被保険者期間が長くなればなるほど、失業保険を受給できる期間も長くなります。この点は、後ほど詳しく解説します。
65歳以上の方がリストラに遭った場合は、失業保険ではなく「高年齢求職者給付金」が支給されます(雇用保険法37条の2~37条の4)。
高年齢求職者給付を受け取るためには、以下の条件を満たしていることが必要です。
高年齢求職者給付は、失業保険とは異なり、一括で受け取ることが可能です。
実際に受給できる失業保険の額は、失業者の従前の収入や年齢によって変わってきます。
失業保険の受給額は、次の計算式により算出されます。
失業保険の給付額=基本手当日額×給付日数
ここでいう基本手当日額とは、退職前6ヶ月の給与の総額を180で割って得られた数字に給付率を乗じて算出します。
給付率は、失業者の年齢によって異なる給付率が設けられており、60歳未満が50~80%、60歳以上65歳未満が45~80%です。
たとえば、60歳の方(退職前6ヶ月の給与の総額は300万円)がリストラに遭った場合、受給できる失業保険の金額を算出する計算式は、以下のようになります。
基本手当日額=300万円÷180×給付率(45~80%)
基本手当日額×給付日数=失業保険の受給額
ここでいう給付日数は、次で見るように、雇用保険の被保険者期間、年齢によって決まります。
リストラによって失業保険を受給する場合、受給できる期間は、被保険者期間と年齢によって算定されます。
具体的には、被保険者期間が1年未満である場合には、年齢を問わず、失業保険を受給できる期間は90日です。
ですが、被保険者期間が1年以上5年未満となると、失業者が30~34歳である場合には、失業保険を受給できる期間が120日であるのに対し、失業者が45~59歳である場合には、失業保険を受給できる期間が180日となります(雇用保険法23条1項)。
離職時年齢 (会社都合) | 被保険者期間 1年未満 | 被保険者期間 1年以上5年未満 | 被保険者期間 5年以上 10年未満 | 被保険者期間 10年以上 20年未満 | 被保険者期間 20年以上 |
---|---|---|---|---|---|
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ― |
30~34歳 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
35~45歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
45~59歳 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
60~64歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
このように、雇用保険の被保険者期間が長くなるにつれて、失業保険を受給できる期間も長くなり、さらに、失業者の年齢によっても、その期間に差が出るようになっているのです。
失業保険を受給するためには、自身の住所地を管轄するハローワークで一定の手続きを行う必要があります。
手続きの流れは、以下のとおりです。
それぞれの手続きを具体的に説明していきます。
会社から離職票を交付してもらいます。離職票は失業保険を申請する際に必要な書類です。交付された離職票の退職理由が正しく選択されているか確認しましょう。
リストラで退職する際の注意点や離職票の確認点、リストラした場合の退職金については、「リストラで退職金はいくら出るの?受給額と上乗せ額の相場を解説」をご覧ください。
受給資格の認定を受ける際には、以下の書類を持参する必要があります。
雇用保険の受給説明会では、受給に関する事項や求職活動について、一定の説明があります。雇用保険受給説明会の日時は、受給資格の認定を受ける際に指示されるため、出席するようにしましょう。
説明会の終了後に、雇用保険受給資格者証と失業認定申告書が交付され、次回の失業認定日が指示されます。
なお、現在は新型コロナウイルス感染症の影響により、多くの地域において受給説明会は開かれていません。代替的に、説明会の動画を配信するなどの措置がとられています。
失業認定は、初回の失業認定日から4週間ごとに行われるのが原則です。
失業認定から通常5営業日ほどで、指定した口座に失業保険が振り込まれます。
なお、失業保険を受給するためには、一定回数の求職活動を現に行っていることが必要です。
具体的に必要となる求職活動の回数は、初回の失業認定日に限り、その前日までに、月に1回以上、2回目以降の失業認定日については、その前日までに月に2回以上の求職活動を行っていることが必要になります。
「不当解雇」とは、法律や就業規則に定められているルールに違反してなされる解雇のことをいいます。
不当解雇を主張して会社と争う場合、会社との間で交渉や労働審判、場合によっては、訴訟を提起しなければならないこともあるのです。
この間、会社は解雇の有効性を主張して賃金を支払わないことが一般的であるため、失業者は収入の途が一時的に閉ざされてしまいます。
このような場合に利用できる制度として、失業保険の仮給付制度です。
仮給付を受けるための手続きは、通常の失業保険の手続きとさほど変わりはありませんが、不当解雇について会社と争っていることを証明する書類が必要になります。
もっとも、仮給付制度によって支給された失業保険は、あくまで仮のものであるため、たとえば、不当解雇の主張が認められ、会社に復職したような場合には、受け取った失業保険を返還しなければなりませんので、その点は注意が必要です。
みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。