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うつ病で労災認定は不可能?過去の労災認定事例から分析する

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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うつ病は労災認定されにくいと言われていますが、過去に労災認定された事例は多いです。

本記事では、うつ病が労災認定されるための基準と、実際に労災認定された事例を2例紹介します。

うつ病で労災認定されるには

うつ病で労災認定されるためには、下記の3つの条件を全て満たす必要があります。

  1. 労災認定基準の対象となる精神疾患を患うこと
  2. 発病前の約6カ月間に、業務による強い心理的負荷が認められること
  3. 業務以外、もしくは個体要因による発病ではないこと

条件①認定基準の対象となる精神疾患を患うこと

労災認定基準の対象となるものは、国際疾病分類第10回修正版の第Ⅴ章「精神および行動の障害」のうち、下記の2つを除いたものです。

  • 認知症、および交通事故などで頭部外傷したことによる障害
  • アルコールや薬物による障害

「精神および行動の障害」は、上2つの他にも「気分(感情)障害」「成人のパーソナリティーおよび行動の障害」など10項目に分かれています。

その中でもうつ病は「気分(感情)障害」に当てはまることから、労災認定基準の対象となっています。

参考:「ICD-10(国際疾病分類)第5章 精神および行動の障害」厚生労働省

条件②発病前の約6カ月間に、業務による強い心理的負荷が認められること

業務による強い心理的負荷について、具体的には下記のような出来事です。

  • 会社の経営に影響するほどのミスをし、事後対応までおこなった
  • 退職を強要された
  • 上司などから暴力を振るわれた
  • 上司などからしつこく人格否定や、必要以上に長時間の叱責を受けた
  • これらを会社に相談しても、適切な対応をしてもらえなかった

発病前の6カ月間にこのような事実が認められた場合は、労災認定の対象となります。

また、暴力や人格否定といった繰り返しおこなわれる出来事が6カ月より前からあった場合は、出来事が始まったときからの心理的負荷を評価します。

参考:「精神障害の労災認定」 厚生労働省

条件③業務以外、もしくは個体要因による発病でないこと

業務以外、もしくは個体要因による発病ではないかも、労災認定には大切なポイントです。

業務以外の強いストレス因

業務以外の強いストレス因の代表例は下記となります。このようなストレス因があった場合は、業務要因とは一概に言えなくなります。

  • 離婚や別居があった
  • 自分が重い病気やケガ、流産した
  • 多額の財産を損失した、あるいは大きな支出があった
  • 親族の誰かが世間的にまずいことをした
  • 天災、火災などがあった

個体要因による発病

また個体要因による発病については下記が挙げられます。個体要因については労災認定を受ける際に慎重に判断されます。

  • 精神障害の既往歴
  • 発達障害の有無
  • アルコールや薬物依存

ここまで紹介した3つの条件が揃ってはじめて、労災と認定されます。

しかし、わかりづらいと感じた方も多いと思うので、実際に労災認定された事例を2つ紹介します。

うつ病で労災認定された事例

本記事では、うつ病で労災認定された事例を2つ紹介しますので、是非参考にしてください。

部署異動後、長時間労働になりうつ病を患ったケース

1つ目の事例は、主に長時間労働を原因とするうつ病です。通称「東芝事件」と呼ばれています。

被害者がうつ病を患った時、労働環境は下記となります。

  • 異動があり、新しい業務に従事している
  • 残業時間が毎月70時間以上、連続して続いている
  • 業務上でトラブルがあり、精神的に強い負荷がかかっている

3つとも業務が要因であることはもちろんですが、その上休職満了後に突然解雇されたことや、業務以外もしくは個体が要因でないことから、労災認定されました。

パワハラを受けたことでうつ病を患ったケース

2つ目の事例は、パワハラによるうつ病です。

被害者がうつ病を患った時、労働環境は下記となります。

  • 異動と同時に係長へと昇格した
  • 異動先の上司から連日「辞めてしまえ」「死ね」などの暴言が続いている
  • 書類を投げつけられることもたびたびある

先ほどと同様に3つとも業務が要因であることに加え、業務以外もしくは個体が要因でないことから、労災認定されました。

うつ病で労災認定された事例を分析

最後に、先ほどの2例を分析し、うつ病で労災認定されるために必要なものを紹介します。

恒常的な長時間労働

1つ目の事例は「恒常的な長時間労働」が要因となりました。

長時間労働により労働時間が増えることで、精神的負荷が強くなることに加え、睡眠や休養などの精神的負荷を弱める時間が減ります。

そして精神的負荷が強い状態が続き、うつ病をはじめとした精神疾患を患ってしまいます。

長時間労働の基準となる一例を下記にて紹介します。

  • 発病直前の1ヶ月に約160時間以上の時間外労働があった場合(時間外労働だけで「強い心理的負荷」が認められる)
  • 1ヶ月に80時間以上の時間外労働があった場合(ほかの事情とあわせて「強い心理的負荷」と認められる)

そんな長時間労働で労災認定されるためには、タイムカードなどの出勤および退勤時間がわかるものを証拠にすることです。

しかし、中にはみなし残業やサービス残業などでタイムカードと実際の労働時間に差異があることもあるでしょう。

この場合は毎日の出勤および退勤時間を手帳やノートなどに記録することが、十分な証拠となります。

暴言、暴力、執拗な叱責

2つ目の事例は「暴言・暴力、執拗な叱責」が要因となりました。

指導するうえで叱責はもちろん大切です。

しかし「人格を否定するような叱責」は、指導ではありません。

また、暴力や必要以上に執拗な叱責も指導とは言えませんので、労働災害になります。

具体的には、

  • 人格や人間性を否定するような、業務上明らかにに必要のないまたは業務の目的を大きく逸脱した精神的攻撃
  • 必要以上に長時間にわたる厳しい叱責、他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責

といった事実があれば「強い心理的負荷」と認められます。

しかし、あざができるなどの目に見える証拠があれば問題ないのですが、暴言など目に見えないものの場合は、録音をすることが大切です。

もし上司の目の前で録音をすることに抵抗があるなら、毎日日記をつけて「今日は辞めろと言われてつらい」などと記録しておくことで、十分な証拠になります。

その他、労災認定されやすい条件

下記のようなことも、強い心理的負荷が認められます。

  • 執拗に退職の意思を求められること
  • 1カ月以上、出勤日が続いたこと
  • セクハラを繰り返し受けたこと
  • 正社員と非正規社員で仕事上の差別が繰り返されたこと
  • 達成不能なノルマを課され、達成しないとペナルティがあると脅されること

これらのことがあれば、証拠を持って労働基準監督署に1度相談しに行くことをおすすめします。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。