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うつ病は労災認定されにくいと言われていますが、過去に労災認定された事例は多いです。
本記事では、うつ病が労災認定されるための基準と、実際に労災認定された事例を2例紹介します。
目次
うつ病で労災認定されるためには、下記の3つの条件を全て満たす必要があります。
労災認定基準の対象となるものは、国際疾病分類第10回修正版の第Ⅴ章「精神および行動の障害」のうち、下記の2つを除いたものです。
「精神および行動の障害」は、上2つの他にも「気分(感情)障害」「成人のパーソナリティーおよび行動の障害」など10項目に分かれています。
その中でもうつ病は「気分(感情)障害」に当てはまることから、労災認定基準の対象となっています。
参考:「ICD-10(国際疾病分類)第5章 精神および行動の障害」厚生労働省
業務による強い心理的負荷について、具体的には下記のような出来事です。
発病前の6カ月間にこのような事実が認められた場合は、労災認定の対象となります。
また、暴力や人格否定といった繰り返しおこなわれる出来事が6カ月より前からあった場合は、出来事が始まったときからの心理的負荷を評価します。
業務以外、もしくは個体要因による発病ではないかも、労災認定には大切なポイントです。
業務以外の強いストレス因の代表例は下記となります。このようなストレス因があった場合は、業務要因とは一概に言えなくなります。
また個体要因による発病については下記が挙げられます。個体要因については労災認定を受ける際に慎重に判断されます。
ここまで紹介した3つの条件が揃ってはじめて、労災と認定されます。
しかし、わかりづらいと感じた方も多いと思うので、実際に労災認定された事例を2つ紹介します。
本記事では、うつ病で労災認定された事例を2つ紹介しますので、是非参考にしてください。
1つ目の事例は、主に長時間労働を原因とするうつ病です。通称「東芝事件」と呼ばれています。
被害者がうつ病を患った時、労働環境は下記となります。
3つとも業務が要因であることはもちろんですが、その上休職満了後に突然解雇されたことや、業務以外もしくは個体が要因でないことから、労災認定されました。
2つ目の事例は、パワハラによるうつ病です。
被害者がうつ病を患った時、労働環境は下記となります。
先ほどと同様に3つとも業務が要因であることに加え、業務以外もしくは個体が要因でないことから、労災認定されました。
最後に、先ほどの2例を分析し、うつ病で労災認定されるために必要なものを紹介します。
1つ目の事例は「恒常的な長時間労働」が要因となりました。
長時間労働により労働時間が増えることで、精神的負荷が強くなることに加え、睡眠や休養などの精神的負荷を弱める時間が減ります。
そして精神的負荷が強い状態が続き、うつ病をはじめとした精神疾患を患ってしまいます。
長時間労働の基準となる一例を下記にて紹介します。
そんな長時間労働で労災認定されるためには、タイムカードなどの出勤および退勤時間がわかるものを証拠にすることです。
しかし、中にはみなし残業やサービス残業などでタイムカードと実際の労働時間に差異があることもあるでしょう。
この場合は毎日の出勤および退勤時間を手帳やノートなどに記録することが、十分な証拠となります。
2つ目の事例は「暴言・暴力、執拗な叱責」が要因となりました。
指導するうえで叱責はもちろん大切です。
しかし「人格を否定するような叱責」は、指導ではありません。
また、暴力や必要以上に執拗な叱責も指導とは言えませんので、労働災害になります。
具体的には、
といった事実があれば「強い心理的負荷」と認められます。
しかし、あざができるなどの目に見える証拠があれば問題ないのですが、暴言など目に見えないものの場合は、録音をすることが大切です。
もし上司の目の前で録音をすることに抵抗があるなら、毎日日記をつけて「今日は辞めろと言われてつらい」などと記録しておくことで、十分な証拠になります。
下記のようなことも、強い心理的負荷が認められます。
これらのことがあれば、証拠を持って労働基準監督署に1度相談しに行くことをおすすめします。
みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。