雇用保険の被保険者になる条件とは?給付を受けるまでの流れも解説

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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「雇用保険の被保険者にあたる範囲はどこまでなのかなあ?」

「もし失業したらどのくらいの給付を受けられるんだろう?」

雇用保険に関して、こんな疑問を抱えてらっしゃいませんか?

雇用保険の保険料は労働者も負担しなければいけませんから、それによってどのような恩恵を受けられるのか、気になりますよね。

この記事では、雇用保険が適用される条件と雇用保険による給付の種類、そして給付を受け取るまでの具体的な流れについてご紹介します。

改めて雇用保険の概要を確認したいという方も、ぜひ最後までご覧ください。

雇用保険の概要|被保険者になる条件とは?

雇用保険は失業した時の資金援助のためだけのものと考えていませんか?

実は雇用保険にはそれ以外にも目的があり、雇用に関する幅広い問題に対応する制度なのです。

それゆえ、被保険者となる範囲も広く設定されています。

まず雇用保険という制度そのものについて確認してから、被保険者の条件、その負担額を見ていきましょう。

雇用保険は雇用全般に関する社会保険制度

雇用保険は国によって設けられた社会保険制度で、条件を満たす労働者は否応なしに加入する強制保険制度でもあります。

雇用保険の目的は主に次の2つです。

  • 労働者が失業・休業した際の生活と雇用の安定を図るとともに、その再就職を促進する
  • 労働者の職業安定のため、失業の予防、雇用状態の是正、労働者の能力開発を図る

(雇用保険法第1条)

これを見ると、雇用保険は失業した後の生活を支えるだけでなく、職を失わないための事前の対策も支援する制度であることが分かるのではないでしょうか。

ちなみにこの財源は主に事業者と労働者が賄いますが、一部国費も利用されています。

被保険者の対象となる条件について

雇用保険の被保険者となるのは、基本的に次の2つの条件を満たしている場合です。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 見込みの雇用期間が31日以上

(雇用保険法第6条第1号、第2号)

正社員、パート・アルバイト等の雇用形態にかかわらず、この2つの条件を満たしていれば被保険者となります。

なお、ここではあくまでも所定の労働時間が20時間以上であることが必要なため、たまたま残業やシフトが重なって20時間を超えた場合は対象とならないことに注意しましょう。

被保険者の対象にならないケース

被保険者の対象となる2つの条件を満たしていても被保険者とならないケースもあります。

被保険者にならない例としては、次のような場合が挙げられます。

  • 協同組合や社団法人の役員である者
  • 季節的労働者で雇用期間が4か月以内又は週の労働時間が30時間未満の者
  • 休学中でない昼間学生で、卒業後の雇用は決まっていない者
  • 国外の事業所で現地採用される者

(雇用保険法第6条第3号、第4号、第6号)

例外はあるとはいえ、正社員として会社に雇用されているのであれば原則的に雇用保険の被保険者になると考えておくのが良いでしょう。

労働者は給与の0.3~0.4%を負担

雇用保険に加入している労働者は、その財源の一部を負担することになります。

保険料率は、一般の事業であれば0.3%、農林水産・清酒製造・建設の事業であれば0.4%です。

労働者はこの保険料率を給与総額にかけた金額を負担することになります。

雇用保険料は給与から天引きされるため、労働者側の手続きはありません。

雇用保険にはどんな種類の手当がある?

雇用保険の目的と被保険者になる条件を確認しました。

そして雇用保険の給付は、主に次の4種類があります。

  • 求職者給付
  • 就業促進給付
  • 雇用継続給付
  • 教育訓練給付

雇用保険における給付の中心となるのが求職者給付と就業促進給付です。

どのような内容なのか具体的に見ていきましょう。

求職者給付について

求職者給付は失業した際に新たな仕事に就くまでの間の生活を安定させるための給付金で、一般の方が受給できるのは基本手当(失業保険)になります。

基本手当は失業者に対し、離職前6か月間の賃金を180で割った金額の45~80%を日額として、その90~360日分を支給する制度です。

日額は離職前の賃金によって、給付日数は年齢や離職理由、被保険者期間によって厳密に定められています。

就業促進給付について

就業促進給付は失業者の再就職を促進するための給付金であり、主に利用されているのは「再就職手当」「就業手当」「求職支援活動費」「移転費」等です。

再就職手当

再就職手当は、基本手当の支給日を3分の1以上かつ45日以上残して1年を超える雇用が確実な職業に就いた場合に、残された基本手当の60~70%を支給する制度です。

就業手当

それに対して就業手当は、基本手当の支給日を同様の日数以上残して雇用が1年以内の安定性の低い職業に就いた場合に、残された基本手当の30%を支給する制度になります。

求職活動支援費と移転費

求職支援活動費と移転費は、求職活動や教育訓練の受講をする場合、就職や職業訓練に伴って住居を移転する場合に、同居する親族の有無や地域に応じて手当が支給される制度です。

雇用継続給付について

年齢等の問題により雇用の継続が困難だと判断される場合に支給される給付金が雇用継続給付で、「高年齢雇用継続給付」と「介護休業給付」、そして「育児休業給付」からなります。

高年齢雇用継続給付

高年齢雇用継続給付はその中でも「高年齢雇用継続基本給付」と「高年齢再就職給付」に分けられます。

  • 高年齢雇用継続基本給付

高年齢雇用継続基本給付は、60歳以降も他の手当を受けることなく働き続けて賃金が60歳時点の75%未満に減少した場合に、当該月の賃金の15%以下を支給する制度です。

  • 高年齢再就職給付

高年齢再就職給付では、基本手当を受けて60歳以後に再就職し、賃金が60歳時点の75%未満に減少した場合に、同様の支給が行われます。

介護休業給付

介護休業給付は、家族の介護のため93日未満の介護休業をした場合に、休業開始時の賃金の67%を支給日数分支給する制度です。

介護休業給付は同一の家族に対して3回までの支給が認められています。

育児休業給付

幼い子の養育のために休業する人の生活を安定させる給付金として育児休業給付があります。

1歳又は1歳2か月未満の子供を養育するために休業した場合に、休業前の賃金の67%(180日を超えると50%)を支給する制度です。

ただし育児休業給付については、休業中にも会社から一定の賃金が支払われている場合に支給額が減額となるケースがあります。

教育訓練給付について

労働者の主体的な能力開発を支援するために支給される給付金として挙げられるのが教育訓練給付です。

教育訓練給付は、雇用保険の被保険者であった期間が3年以上ある人が厚生労働大臣の指定する教育訓練を受講し、修了した場合に費用の20%(上限10万円)を支給する制度です。

なお、内容がより専門的な専門実践教育訓練を受講して修了すれば費用の50%(上限120万円)が支給され、さらに受講後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用されれば費用の70%(上限168万円)が支給されます。

雇用保険の給付を受け取るときはどうする?

雇用保険の給付の種類とその内容について確認しました。

では、実際にこうした給付を受けるにはどのような手順を踏む必要があるのでしょうか?

ここでは求職者給付である基本手当に関して、給付を受けられる条件から、必要な書類、手続きを見ていきます。

基本手当を受給できる条件について

基本手当の受給資格があるのは、次の条件を満たしている場合です。

  • 労働の意思と能力があるにもかかわらず、職業に就くことができない「失業」の状態にある
  • 離職日以前の2年間に被保険者期間が12か月以上ある

(雇用保険法第4条第3項、第13条第1項)

ここでいう被保険者期間とは、雇用保険の被保険者を外れた日の前日から1か月ごとに区切り、そのうち賃金支払いの対象となった日数が11日以上又は80時間以上ある場合を1か月として計算されるものです。

なお、倒産や解雇等によって失職した特定受給資格者、正当な都合で離職した特定理由離職者であれば、離職日以前の1年間に被保険者期間が6か月以上あることが条件になります。

基本手当の支給を受けるのに必要なもの

基本手当受給の申し込みに必要になるのは以下のようなものです。

  • 雇用保険被保険者離職票1,2
  • 個人番号確認書類(マイナンバーカード、マイナンバー通知カード、個人番号が記載された住民票のいずれか)
  • 身元確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、官公署発行の身分証明書などから1種類又は公的医療保険の被保険者証、児童扶養手当証書などから異なる2種類)
  • 本人名義の預金通帳又はキャッシュカード
  • 証明写真2枚
  • 印鑑

これらは手続きの第一段階としてハローワークで求職申し込みをする際に提出が求められます。

【参考】:ハローワークインターネットサービス|雇用保険の具体的な手続き

基本手当の受給に必要な手続き

基本手当の受給を申し込むための手続きの流れは次のようになります。

  1. ハローワークに必要書類を提出し、求職の申し込みをする
  2. 雇用保険受給者説明会に出席する
  3. 4週間に1回ハローワークへ行き、求職報告を行って失業認定を受ける
  4. 失業認定後5営業日以内に基本手当が振り込まれる

求職の申し込み後、全員に7日間の待機期間が設けられており、この間給付を受給することはできません。

そして特定受給資格者や特定理由離職者でない受給者は、ここからさらに2か月の給与制限期間があります。

基本手当の支給を受けるにはこの期間と失業認定を待つ期間に、合わせて3回以上の求職報告が必要です。

求職報告では求人への応募、求職セミナーの受講等の実績を記載した報告書類をハローワークに提出することになります。

求人広告を閲覧したり、知人に求人の紹介を依頼したりするだけでは求職活動として認められないことは留意しておきましょう。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。

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