リストラされたときにやるべき5つのことと有効になるための4要件

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

不況を理由に突然リストラされたら、「明日からどうやって生活すれば良いのだろう?」と途方に暮れてしまうでしょう。

実はリストラには厳しい要件があるので、無効になるケースも少なくありません。リストラが無効になったら会社に残れるので生活が保障されます。リストラの要件を正しく理解して、不利益を小さくするために適切に対応しましょう。

今回はリストラの要件やリストラされたときの正しい対処方法、相談先をご紹介します。

リストラとは

リストラとは「経営不振に陥った会社が事業を再構築すること(リストラクチャリング・restructuring)」を意味します。

不況や売上げ低下などが原因で従来のやり方が通用しなくなったとき、会社が存続するためには事業の再編成が必要となるでしょう。そこで不採算部門を売却、閉鎖したり資産売却を行ったりするのがリストラです。

リストラが行われると従業員の解雇が実施されるケースが非常に多く、こういった事業再構築のための解雇を「整理解雇」といいます。一般的に事業再構築にともなう整理解雇を特に「リストラ」とよぶので、「リストラ=整理解雇」と理解している方も多いでしょう。

この記事でも「リストラ=整理解雇」の意味で「リストラ」という言葉を使っていきます。

リストラの4要件

リストラ(整理解雇)は解雇の1種です

解雇されると従業員には多大な影響が及ぶので、法律上、簡単には認められません。

普通解雇の場合、「客観的合理的な解雇理由」と「解雇方法の社会的相当性」の要件が要求されます。

整理解雇の必要性がある

「会社が存続するために整理解雇が必要でやむを得ない状況」といえないなら、整理解雇は認められません

たとえば不採算部門の閉鎖や人事異動、出向、資産売却などの他の方法などの他の方法では対応できず、整理解雇しなければ会社の倒産が明確に予想されるなどの状況であれば解雇が認められる可能性があります。

会社が解雇を回避する努力を行った

整理解雇が認められるには、会社がリストラを避けるためのあらゆる方策を実施したことが必要です。たとえば新規採用を見送る、残業を禁止する、ワークシェアを行う、退職金を増額して希望退職者を募る、役員報酬を削るなど、さまざまな対応が考えられるでしょう。

何の工夫もせずにいきなりリストラを行っても有効にはなりにくいといえます。

人選に合理性がある

リストラを行うとき、対象者選定に合理性が要求されます。

たとえば年齢、これまでの勤務成績や会社への貢献度、過去の懲戒歴、将来活躍できる期待度などが基準となるでしょう。扶養家族の有無や正社員・契約社員・パートの別によって対象者を選ぶ方法もあります

このように、客観的で合理的な基準が事前に設定されていれば、リストラが有効と認められやすくなります。

一方で、経営者や上司が恣意的に解雇対象者を選んだ場合には合理性が認められないでしょう。

労働者側への説明や協議を行った

リストラを進めるときには、労働者側の理解を求める必要があります。

労働組合や労働者の代表者と協議を重ね、誠実に説明を行ってなるべく労働者側の希望を汲み取り、不当な不利益を与えないようにしなければなりません

労働者側の意向を全く聞かず、いきなりリストラを通告しても無効になる可能性が高いでしょう。

以上の4つの要件を満たさないリストラは無効とされる可能性があります。ただし4要件をすべて満たさないと無効、というわけではなく、一部を満たしていれば有効と判断される裁判例も存在します。あくまで個別的な判断が必要となるので、「リストラが有効になるのか?」と迷ったときには労働問題に詳しい弁護士に相談してみてください

リストラされたときの対処方法

もしも会社からリストラされたりされそうになったりしたら、以下のように対応しましょう。

退職勧奨された場合

会社が従業員をリストラするとき、いきなり解雇せずに「退職勧奨」を実施するケースが多数です。退職勧奨とは、会社側が従業員側へ自主的な退職を促すこと。

退職勧奨されても、必ずしも受け入れる必要はありません。辞めたくなければ断りましょう。断ったからといって企業が強制的に解雇できるわけではないので、恐れる必要はありません

また会社による「退職強要」は違法です。脅迫されたり上司に取り囲まれて脅され退職を迫られたりしたら、証拠を残して弁護士や労働組合に相談しましょう。

もしも退職勧奨を受け入れるなら割増退職金を要求し、退職後の生活に備えるようお勧めします

解雇理由証明書を要求する

退職勧奨を断っていると、解雇通知を送られる可能性があります。その場合、会社に対し「解雇理由証明書」を要求してください。解雇理由証明書とは、会社側が考える解雇理由を明示した書類です。

労働基準法により、解雇された労働者が会社側へ解雇理由証明書の発行を求めたら、会社は遅滞なく交付しなければなりません(労働基準法22条1項)。

解雇理由証明書があると、後に会社と労働審判や訴訟などのトラブルになったとき、有利に使えるケースがよくあります。

会社に準備の時間を与えないように、必ず「解雇通知後すぐ」のタイミングで要求しましょう。

解雇の撤回を求める

会社が従業員をリストラするには、厳しい4要件を満たさねばなりません。リストラの効力を争えばリストラが無効にできる可能性も十分にあります。リストラの4要件を満たしそうにないケースでは、会社側に解雇の撤回を求めましょう

会社側が解雇を撤回すれば、元のように従業員として残り、給料を受け取ることが可能となります。

解雇予告手当を要求する

リストラ(整理解雇)であっても、会社が従業員を解雇する際には「解雇予告」するか「解雇予告手当」を払わねばなりません

つまり会社が労働者を解雇するには、30日前の解雇予告が必要です。それに間に合わなければ、不足日数分の解雇予告手当を支給しなければなりません(労働基準法20条)。

リストラを受け入れて退職するとしても、会社が解雇予告手当を払っていなかったら支払いを求めましょう。

退職金の交渉を行う

リストラを受け入れてなるべく有利な条件で離職したいなら、退職金の交渉を行うようお勧めします。

リストラは、必ずしも有効になるとは限りません。従業員が争えば労働審判や訴訟のトラブルに発展する可能性もあります。会社にしてみると、多少の割増退職金を払っても穏便に離職してもらえる方が良い、と考えるでしょう。

そこで、退職する代わりに割増退職金を払うよう求めると、支払に応じてもらえる可能性があります。納得できる金額の退職金を受け取れば、退職後の生活も多少は安心できるでしょう。

リストラされたときの相談先

リストラをされたとき、労働者が1人でできることは限られています。

リストラの要件を満たすかどうかも、自分1人では判断しにくいでしょう。困ったときには以下のような相談先を利用してみてください。

労働基準監督署

労働基準監督署は、管内の企業が労働基準法を守っているかどうかを監督する機関です。

解雇予告をしなかった、解雇予告手当を払わなかった、残業代を払っていないなどの違法行為があれば、企業側へ指導や勧告をしてくれるでしょう

ただし労基署は「解雇が有効かどうか」は判断してくれません。リストラの4要件を満たすかどうか知りたい場合、労基署に相談しても意味がないので注意しましょう。

労働局

都道府県の労働局でも労働相談を受け付けています。単に相談に乗ってもらえるだけではなく、企業側と労働者側のトラブルについて「あっせん」というサービスも利用できます

あっせんとは、労働局に間に入ってもらい、企業側と話し合いを進める手続き。ただしあっせんには強制力がないので、企業側が頑なに「リストラを撤回するつもりはない」「解決金も払うつもりがない」と述べるなら、解決にはつながりにくいでしょう。

企業側と話し合いの余地がありそうであれば、利用を検討してみてください

労働組合

労働トラブルで困ったとき、労働組合は労働者の強い味方となります。労働組合とは、労働者が自分たちの権利を守るために団結して作った組織。

組合員が企業側から不当な扱いを受けて困ったとき、労働組合が代わりに企業と交渉を行います。これにより、企業側へ解雇を撤回させたり残業代、退職金、解雇予告手当などのお金を払わせたりできるケースも少なくありません。リストラされて納得できなければ、労働組合に相談してみましょう。

自社の労働組合だけではなく、会社の枠組みを超えた「ユニオン」も利用できます。当サイト「みんなのユニオン」もそうしたユニオンの1種。全国の労働者の方にご参加いただいて企業側と交渉を行い、権利の実現に成功したケースが多々あります。リストラされてお悩みの方がおられましたら、ぜひとも一度ご相談ください。

弁護士

リストラ問題で困ったときには、弁護士相談も有効です。弁護士は法律のプロなので、リストラの4要件を満たすかどうかも的確に判断できます。会社への請求を任せれば、有利に解決できる可能性が高くなるでしょう。交渉が決裂した場合でも労働審判、労働訴訟などの手続きも任せられるので安心です。

弁護士にはそれぞれ専門分野があるので、労働トラブルを得意とする弁護士に相談してみてください。

まとめ

リストラをされても、絶望する必要はありません。労働組合や弁護士など、労働者の助けとなる機関が存在しています。1人で対応に困ったときには、まずは頼れる専門機関へ相談してみてください。みんなのユニオンは組合員の解雇問題に積極的に取り組んでいるので、よければお気軽にご相談いただけますと幸いです。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。