労働基準法上の正しい休憩時間とは?休憩中に関する3つの原則も解説

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

「労働時間に対して休憩時間が短すぎる気がする…」

「休憩中も電話が来たら対応するように言われてるから、落ち着いて休めない…」

休憩時間に関して、こんな悩みを抱えてらっしゃいませんか?

会社で気持ちよく働くためにも、正しい休憩時間を得られているかどうかは把握しておきたいポイントですよね。

今回は労働基準法によって定められた休憩時間の長さと休憩時間中に守られるべき3つの原則、そして休憩時間が少ない時の対処法を解説します。

ご自分の休憩時間が十分にあるのか、確認してみてください。

労働基準法で定められた休憩時間の概要

休憩時間の長さは法律によって具体的に定められています。

休憩の与えられ方に関することも含めて、見ていきましょう。

休憩時間の長さは労働時間で決まる

休憩時間の長さは労働時間の長さによって決まり、以下の表のように定められています。

労働時間が6時間以内使用者は休憩を与える義務なし
労働時間が6時間以上、8時間以内休憩時間は45分以上
労働時間が8時間以上休憩時間は60分以上
(労働基準法第34条第1項)

したがって、6時間超の勤務で休憩が45分未満、8時間超の勤務で休憩が60分未満という場合は違法になります。

しかし実際には、トラブルを防ぐため労働時間に関係なく1日の休憩時間を1時間以上に設定している会社が多いようです。

また、残業中の休憩時間に関しては法律上の規定がないため、使用者に休憩を与える義務はないと考えられます。

ただし、残業時間が長い会社の場合は労働者の健康を守るために就業規則で残業中の休憩が定められていることもありますから、早めにチェックしておきましょう

休憩時間は分割して与えられるケースも

会社によっては、休憩時間を分割して与えられることもあります。

例えば、

  • 8時間以内の労働で30分休憩が1回、15分休憩が1回与えられる
  • 8時間超の労働で15分休憩を4回与えられる

といったケースが考えられます。

この場合、休憩時間の合計が最低休憩時間を上回っているのであれば、法律上の問題はありません

しかしあまりにも休憩時間を細かく分けられてほとんど休むことができない、という状況であれば違法に当たる可能性があります。

1回の休憩時間で十分に休めているか、ということだけは確認しておきましょう。

休憩時間に関する3つの大原則について

労働基準法によって定められた休憩時間の長さを確認しました。

ただし、時間が確保されているというだけでは十分な休憩には当たりません

ここでは、休憩時間中に守られていなければならない3つの原則を見ていきましょう。

休憩は労働時間の途中で与えられる

使用者は労働者に対し休憩時間を労働時間の途中で与えることが定められています(労働基準法第34条第1項)

したがって、8時間続けて働いた後に1時間の休憩が与えられる、というような形の休憩付与は違法です。

これは法律で決められた事項なので、例え労働者自身が「早く退社したいので途中休憩はいりません」と伝えたとしても、会社には労働時間の途中に休憩を与える義務があります。

なお、休憩時間を与えるタイミングについては法律上の決まりはありません。

一般的な会社と比べて休憩に入る時刻が遅い、という場合でも違法にはならないないので注意しましょう。

休憩時間は一斉に与えられる

使用者は労働者に対し休憩時間を一斉に与えることが定められています(労働基準法第34条第2項)。

すなわち、同じ職場の従業員は全員同じタイミングで休憩に入る必要があるということです。

ただし、これに関しては例外となるケースが2つあります。

【例外ケース1】休憩時間の一斉付与の規定から外れる特定の業種に就いている場合

以下のような業種であれば、交代休憩のような形式でも問題ありません。

  • 運輸交通業
  • 商業
  • 金融・広告業
  • 映画・演劇業
  • 郵便・電気通信業
  • 保健衛生業
  • 接客娯楽業
  • 官公署の事業

(労働基準法施行規則第31条、労働基準法別表第1)

【例外ケース2】労使協定を結んでいる場合

労使協定とは、労働者と使用者の間で締結される、主に労働時間に関する協定のことです。

会社によっては労働者が一斉に休憩してしまうと不都合が生じる、というケースもあります。

その場合、一斉に休憩を与えない労働者の範囲及び当該労働者に対する休憩の与え方についての協定を結ぶことで、休憩を個別に与えることが可能になります。

ご自身の業種・会社がこの原則に当てはまるかどうか、確認しておきましょう。

休憩中は労働から完全に解放されている

使用者は労働者に休憩時間を自由に利用させなければいけません(労働基準法第34条第3項)

しかし、休憩時間中にも関わらず電話・来客対応のために職場を離れることができない、というケースもしばしば見られます。

この場合は労働から完全に解放されているとはいいがたいため、別の時間に本当に自由な休憩が与えられなければ違法になる可能性があります。

実際に、大星ビル管理事件(最高裁・平成14年2月28日判決)では会社が従業員に仮眠中でも警報・電話への対応を義務付けていたため、この件における仮眠時間は休憩ではなく労働時間にあたる、という判断が下されました。

ただし、休憩時間に職場にいなければいけないからといって必ずしも法律違反とみなされる訳ではなく、あくまでもケースバイケースだということは理解しておきましょう。

なお、この原則に関しても例外があります

警察官や消防団員、また児童施設に勤務していて児童と起居を共にしている人の場合、完全に労働から離れてしまうと業務に支障が出る恐れがあるため、休憩時間の自由利用の原則は適用されません

適切な休憩時間がもらえない時はどうする?

休憩時間の3つの原則を確認しました。

もしもこのいずれかの原則が守られていない、あるいは単純に与えられる休憩時間が短い、ということであれば何らかの手立てを打つべきです。

休憩時間が適切でない場合の対処法を見ていきましょう。

会社内で人事・労務等の部署に相談

まずは会社内で対応してくれる部署や担当者に相談することをおすすめします。

人事・労務関係の部署であれば休憩時間に関する知識もあるはずであり、丁寧に状況を説明すれば何らかの対応をしてくれる可能性が高いです。

ただし、会社によっては休憩時間についての法律・規則を正しく把握している人がいないケースや、職場の雰囲気・力関係などから人事・労務の担当者が動きづらいと感じるケースもあるかもしれません。

その場合は会社外の組織に助けを求めると良いでしょう。

労働基準監督署への相談・申告

会社内で相談しても改善が見られなければ、労働基準監督署に相談することをおすすめします。

労働基準監督署は労働基準法をもとに会社を監視・指導する機関で、会社の体制について疑問や不満があれば誰でも無料で相談可能です。

また、相談する際には信憑性を高めるためにも自分で用意した証拠を提出するのがおすすめです。

次のようなものが証拠として認められる可能性があります。

  • 電話対応の当番表の写真
  • 休憩中職場を離れないように指示するメール・音声
  • 休憩時間が正しく記載されたタイムカード

適切な休憩時間をもらえていないことを労働基準監督署に相談・申告し、それが事実だと認められれば、今後の対応についてのアドバイスをくれたり、会社に対して是正勧告を行ってくれたりします。

ただし、労働基準監督署による指導はあくまでも行政指導であり、法的拘束力を持ちません

したがって、会社が是正勧告に従わない可能性もあるということは理解しておきましょう。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。