労災になったらいくらもらえる?労災保険の仕組みや補償給付の種類を解説

更新日:

監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

20181220173008 88d5a6d4a1abea73148c24519b013f1bfac14ca4

2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

労災にあったらいくらもらえるのか、労災保険の仕組みはどうなっているのか分からないのではないでしょうか?労災保険とは、労働者のけがや病気を補償する制度です。そして、労災とは労働者が労務に従事したことによって被ったけがや病気を指します。業務中のけがや病気が労災と認定されることで、補償給付を受け取ることができます。けがや病気の内容によって、受け取れる補償給付や金額が異なります。

この記事では、労災保険の仕組みと受け取れる給付の種類や金額について解説します。

労災保険とは

労働者が労災にあうと労災保険から給付を受け取ることができます。労災保険とはどんなものなのか、労災と認定されるにはどんな条件があるのか、労災保険から受け取れる給付にはどんな種類があるのかについて解説します。

労災は労働者のけがや病気を補償する制度

労災保険とは、労働者の業務中あるいは通勤中のけがや病気に対して補償する制度です。正式には「労働者災害補償保険」といいます。

労災保険の対象となるのは、雇用されて賃金を支給されている労働者すべてになります。正社員に限らず、契約社員・派遣社員・パートタイマー・アルバイト・日雇いなど、雇用形態にかかわらずすべての労働者が労災保険の対象です。

労働者を1人でも使用する事業主には労災保険への加入が義務付けられており、保険料は事業主が全額負担します。労災保険は、雇用されて働いている労働者は原則として強制加入の保険で、加入手続きは会社側がおこないます。会社が労災保険に加入していなかった場合でも、労働基準監督署で給付申請をおこなうことができます。

労災と認められると補償が給付される

労災保険の補償給付は、けがや病気が労災と認められることで給付されます。けがや病気が労災と認められるためには、業務遂行性と業務起因性2点両方を満たしていることが必要です。

労災の内容によって受け取れる給付の種類が異なる

労災にあったときに受け取れる労災保険の給付には以下のようなものがあります。

  • 療養補償給付
  • 休業補償給付
  • 障害補償給付
  • 傷病補償年金
  • 遺族補償給付
  • 葬祭給付

けがを負った場合や障害が残った場合、死亡した場合などの労災の内容によって、受け取れる給付が変わります。

補償給付の種類ともらえる金額

労災にあったときに労災保険から受け取れる金額は、補償給付の種類とけがの程度や休業した日数、障害の等級、遺族の年齢と人数などによって変わります

それぞれの補償給付はどのような場合に受け取れるのか、もらえる金額はいくらになるのかを解説します。

療養補償給付

労災によるけがや病気の治療にかかる費用は療養補償給付でまかなうことができます。国民保険や健康保険のように自己負担分はなく、治療費の全額を労災保険が負担します。

労災による治療は原則として労災保険によって指定される医療機関でおこないます。治療費は病院が労災保険に対して請求するので、治療費を一時的に立て替える必要はありません。労災指定の医療機関以外で治療をおこなう場合は、一時的に治療費を立て替えてあとで労災保険に請求します。

療養補償の給付は、症状が固定されるまでです症状固定とは、治療を続けても症状が良くならない状態を指します。症状固定となっても障害が残る場合は障害補償給付の対象となります。

休業補償給付

休業補償給付とは、労災によるけがや病気によって働けなくなり賃金が受け取れないことに対する補償です。労災による休業の4日目から給付を受けられます

休業補償給付の給付額は、平均賃金の80%です。1日当たり給付基礎日額の80%を支給されます。給付基礎日額とは、3か月間の賃金総額を3か月間の総日数で割った金額です。

給付基礎日額が10,000円で休業日数が20日の場合にもらえる休業補償の給付額は以下のようになります。

休業補償の給付額=10,000円×80%×(20-3)日(※1)=136,000円

※1 休業補償給付が給付されるのは4日目からなので休業日数から3日引かれます。

休業補償は賃金ではなく、働けなくなったことに対する補償になるので税金がかかりません。つまり、実際に受け取る金額は、普段受け取っている給料の80%よりも多くなります。

障害(補償)給付

障害(補償)給付とは、労災によるけがや病気が症状固定になっても体に障害が残った場合に受け取れる給付です。業務災害の場合は障害補償給付、通勤災害の場合は障害給付が受け取れます。受け取れる金額は障害の程度により異なります

障害等級1~7級の場合に受け取れる給付

  • 障害(補償)年金
  • 障害特別支給金
  • 障害特別年金

障害(補償)年金と傷害時別年金の算出方法は以下の通りです。

  • 障害(補償)年金=給付基礎日額×日数
  • 障害特別年金=算定基礎日額×日数

算定基礎日額とは、労災認定の日以前から1年間に受け取っていた特別給与を365で割った数値です。特別給与とは給付基礎日額の算定から除外されているボーナスなどの賃金です。

障害等級別の支給額は、以下の表の通りです。

障害等級障害(補償)年金
(給付基礎日額)
障害特別支給金障害特別年金
(算定基礎日額)
障害等級1級313日分342万円313日分
障害等級2級277日分320万円277日分
障害等級3級245日分300万円245日分
障害等級4級213日分264万円213日分
障害等級5級184日分225万円184日分
障害等級6級156日分192万円156日分
障害等級7級131日分159万円131日分

障害等級8~14級の場合に受け取れる給付

  • 障害(補償)一時金
  • 障害特別支給金
  • 障害特別一時金

障害(補償)一時金と傷害特別一時金の算出方法は以下の通りです。

  • 障害(補償)一時金=給付基礎日額×日数
  • 障害特別一時金=算定基礎日額×日数

障害等級別の支給額は以下の表の通りです。

障害等級障害(補償)一時金
(給付基礎日額)
障害特別支給金障害特別一時金
(算定基礎日額)
障害等級8級503日分65万円503日分
障害等級9級391日分50万円391日分
障害等級10級302日分39万円302日分
障害等級11級223日分29万円223日分
障害等級12級156日分20万円156日分
障害等級13級101日分14万円101日分
障害等級14級56日分8万円56日分

傷病(補償)年金

傷病補償年金は、労災の治療を開始して1年6ヶ月経過したあとでも治癒しておらず、傷病等級1~3級に該当する場合に支給されます。

給付の内容は以下の通りです。

  • 傷病(補償)年金
  • 傷病特別一時金
  • 傷病特別年金

傷病(補償)年金と傷病特別年金の算出方法は以下の通りです。 

  • 傷病(補償)年金=給付基礎日額×日数、
  • 傷病特別年金=算定基礎日額×日数

傷病等級別の支給額は以下の表の通りです。

傷病等級傷病(補償)年金
(給付基礎日額)
傷病特別一時金傷病特別年金
(算定基礎日額)
第1級313日分114万円313日分
第2級277日分107万円277日分
第3級245日分100万円245日分

遺族補償給付

遺族補償給付は、労災によって死亡した場合に遺族に支払われる給付です。この場合の遺族とは、労働者の賃金によって生計を立てていた人になります。

給付の内容は以下の3つで、受け取れる金額は、遺族の人数によって異なります。

  • 遺族(補償)年金
  • 遺族特別支給金
  • 遺族特別年金

遺族(補償)年金と遺族特別年金の算出方法は以下の通りです。

  • 遺族(補償)年金=給付基礎日額×日数
  • 遺族特別年金=算定基礎日額×日数

遺族の人数によって受け取れる額は以下の表の通りです。

遺族の人数遺族(補償)年金
(給付基礎日額)
遺族特別支給金遺族特別年金
(算定基礎日額)
1人153日分300万円153日分
2人201日分300万円201日分
3人223日分300万円223日分
4人245日分300万円245日分

葬祭給付

労災によって死亡した場合には、葬祭給付が支給されます。

受け取れる金額は、以下の金額のうち多い方の金額になります。

  • 給付基礎日額×30+315,000円
  • 給付基礎日額×60

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

詳しくはこちら

みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。