扶養手当をもらえる条件は?家族手当との違いにも触れながら解説

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

「扶養手当」という言葉を聞いたことがある方は多いと思いますが、どのような意味をもつ手当なのか、また、どのような場合に支給されるものなのかをご存知の方は意外にも少ないのではないでしょうか。

この記事では、扶養手当をもらえる条件を中心に、よく似た制度である家族手当との違いにも触れながら解説します。

扶養手当とは?|家族手当との違い

扶養手当は、家族手当と呼ばれることもありますが、両者は名称が異なるだけで、同じ意味をもつ手当なのでしょうか?

扶養手当は、扶養親族がいる人に支給される

扶養手当とは、年収が130万円未満の扶養親族がある場合に、一定の条件の下で会社から支給されるものです

扶養手当は、法律上の制度ではないため、制度を導入するかどうかは会社が独自に決定することができます。

家族手当は、家族をもつ社員に支給される

家族手当とは、家族をもつ社員に対して、会社から支給されるものです。

家族がいる人は、独身者に比べると、生活や子育てなどに多くのお金がかかります。このような負担を軽くすることにより、社員に安心して働いてもらおうというのが家族手当が支給される目的です。

扶養手当と家族手当の違い

扶養手当は、家族手当に包含される関係にあります。

家族手当を導入している会社の中でも、扶養親族のみを対象にしている(扶養手当)会社もあれば、配偶者のみを対象にしている(配偶者手当)会社もあるのです。

このように、扶養手当は、家族手当という大枠の中にある手当の一種ということになります。

扶養手当をもらえる条件

扶養手当は、法律上の制度ではないため、導入の有無や支給額、条件などは会社によって異なります。

以下では、扶養手当をもらえる条件として、どのようなことを定めることが多いのかについて見ていきましょう。

扶養親族がいること

扶養手当は、家族手当の中でも、扶養親族のみを対象にしている手当であるため、扶養家族がいることが条件です。

ここでいう「扶養親族」とは、法律上明確な定義があるわけではありませんが、一般的には、以下のような人が該当する可能性があります。

  1. 配偶者
  2. 父母および祖父母
  3. 子どもおよび孫
  4. 弟および妹
  5. 重度の心身障害者

扶養親族として挙げられるのは、以上の5つですが、さらに会社によって独自の条件が定められていることが多いです。

たとえば、配偶者について内縁関係にある者を含むとする会社もあれば、そうでない会社もあります。

また、父母と祖父母については、いずれも60歳以上であること、子どもと孫、弟と妹については、いずれも22歳以下であることを条件とすることが一般的です。

さらに、重度の心身障害者については、その者と血族関係にある必要はありませんが、障害の程度が生涯働くことができない程度に重度であることを条件としている会社もあります。

共働きする扶養親族の収入が一定額を超えていないこと

扶養手当の対象となる扶養親族が共働きの場合、その人の収入が一定額を超えていないことを条件として定めることが多いといえます。

たとえば、社会保険の被扶養者として認められる130万円未満であることを条件としたり、所得税の配偶者控除が受けられる103万円以下であることを条件とすることが一般的になっているようです。

扶養親族と同居をしており生計を同じにしているか

扶養手当の対象となる扶養親族が従業員と同居しており、かつ、同じ生計の中で生活していることを条件として定める会社もあるようです。

その場合、扶養親族であっても別居している扶養親族は、支給の対象から外れることになります。

扶養手当の平均支給額は?|見直す傾向も!

扶養手当の具体的な支給額は、会社が自由に決めることができます

以下は、扶養手当や家族手当の平均支給額について、厚生労働省が平成27年に実施した調査の結果です。

平均支給額は1万7,282円

平成26年11月を対象とした集計によれば、扶養手当や家族手当などの平均支給額は1万7,282円という結果が出ています。

会社から支給される手当は、このほかにもさまざまな種類のものがありますが、諸手当の合計が4万2,238円であることを考慮すると、扶養手当が占める割合は大きいです。

会社の規模ごとの平均支給額は?

扶養手当の平均支給額は、以下の表のように従業員数によって異なります。

従業員数平均支給額
30人~99人1万2,180円
100人~299人1万5,439円
300人~999人1万7,674円
1,000人以上2万1,671円

調査時において、扶養手当や家族手当を支給している会社は、全体の66.9%を占めており、会社の規模が大きくなるにつれて、平均支給額が上がっていることが読み取れるのです。

参考:厚生労働省|平成27年就労条件総合調査結果の概況 賃金制度

扶養手当が現代の家族態様にそぐわなくなってきている

現代では、共働きの世帯が増えてきており、扶養親族の収入に制限を設けるなどして、扶養手当を支給することが難しくなってきています

そのため、多くの会社において、扶養手当を見直す傾向にあることは事実です。

もっとも、従業員にとって不利益となるような変更は、従業員から同意を得ていないかぎり、会社が一方的にすることはできません。

たとえば、扶養手当を廃止することも、従業員にとっては不利益変更にあたります。

このような場合には、会社において以下のような手続きがきちんと踏まれているかを確認しておくと良いでしょう。

①代替案を提示されたか

扶養手当を見直す場合、たとえば、扶養手当を受給していた従業員を対象として支給額を給料に反映したり、他の福利厚生制度で代替するといった代替案が提示されているかどうかが一つのポイントです。

また、扶養手当が廃止される場合には、直ちに支給が廃止されるのではなく、支給額を段階的に減らしていくといった措置が取られているかということもポイントになります。

②会社から十分な説明があったか

扶養手当を見直したり廃止する場合には、対象となる従業員をはじめ全ての従業員に納得してもらうだけの合理的な理由が必要です。

そのため、会社から、扶養手当を見直す理由や代替案などについて十分な説明があったかどうかも重要なポイントとなります。

この場合、一方的に説明するのではなく、適宜、意見をヒアリングされたかということもポイントの一つになるでしょう。

扶養手当を不正受給するとどうなる?

扶養手当をもらうためには、一定の条件を満たしていることが必要ですが、その後、条件を満たさなくなることがあります。

たとえば、共働きする扶養親族の収入が一定額を超えてしまった場合、子どもの年齢が一定の年齢を上回った場合などです。

このように、扶養手当をもらうための条件を満たさなくなった場合、従業員はその旨を会社に報告しなければなりません。

にもかかわらず、報告をせずに、また、虚偽の報告をして、扶養手当を受給し続けると、不正受給にあたります。

不正受給をしていることが会社に発覚すると、会社から不正に受給した扶養手当を返すよう請求され、最大で10年前にまで遡って、不正受給した扶養手当を会社に返さなければならなくなるので、注意が必要です。

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執行委員岡野武志

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