就業規則とは?周知するとはどういう意味?変更は勝手にされる?

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

雇用主が知らないうちに就業規則を変更していたのに「規則違反!」と言われると、腑に落ちないですよね。

就業規則の内容を知らないのであれば、それを守ることなんてできません。

そもそも就業規則を見たことがない、という方もいることでしょう。

しかし、就業規則は労働者に周知することが会社には義務付けられています。

では、労働者は、就業規則の変更をどのように知り、把握することができるのでしょうか?

労働者が知っておきべき就業規則のルール

「就業規則を一度も見たことがない」「上司に就業規則を見たいとお願いしたら拒否された」などの経験がある場合、その会社の行為は違法である可能性があります。

なぜなら、使用者は就業規則を労働者に周知させなければならないからです(労働基準法106条1項)

「周知」には、どのような意味があるのでしょうか?

では、労働者が知っておくべき就業規則のルールについて確認していきましょう。

そもそも就業規則とは?

就業規則とは、労働条件や職場規律などを会社が定めた規則のことです。

労働者に適用される労働時間や賃金などの労働条件を明記することで組織的・効率的な運営が可能になり、また社内秩序を維持することへとつながります。

労働基準法第89条には、「常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない」と定めています。

つまり、労働者を常時10人以上(パートやアルバイトも含む)雇用している会社は、就業規則の作成と届出をすることが義務付けられています

しかし、その逆を言うなら、労働者が常時10人未満の会社は、就業規則の作成と届出は義務付けられていません。

ですから、あなたが就業規則を見たことがないとしても、現在、労働者が常時10人未満の会社に勤務しているのであれば、就業規則を定める必要はないため、そのこと自体は違法とはなりません。

就業規則の労働条件はそのまま労働契約になる

労働者は、会社との間で労働契約を締結しますが、労働契約で定めていない部分に関しては、就業規則の労働条件がそのまま労働契約の内容が適用されます

その根拠となる法律・労働契約法7条には、「労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする」と定められています。

つまり、就業規則の労働条件が労働契約の内容となるためには、①就業規則に合理的な条件が定められていること、②就業規則を労働者に周知させていた、の2つの条件を満たさなければいけません

ここで言う「合理的な労働条件」、つまり合理性とは、同該当労働条件の内容自体の合理性のことです。

一般的には、労働者側と会社側の利益を比較衡量して判断されます。

例えば、就業規則に「残業命令」に関する規定を定めようとした場合、会社側の残業を得て利益を得たいという利益と、労働者側の私的な時間を奪われたくないという利益がぶつかったときに、双方の考えを互いに考慮して規定を設ける、ということです。

では、2つ目の条件「周知させていた」には、何が関係してくるのでしょうか?

周知するの意味 | 周知義務を怠ることは違反行為

就業規則に明記されている内容を知らなければ、規則を守ることができませんよね。

ですから、会社が就業規則を労働者に知らせることは、会社の秩序を維持する上でも当たり前のことです。

しかし、ただ単に雇用主の口で就業規則が伝えられることと、「周知」させることには大きな違いがあります

もし会社が就業規則を周知していないのであれば、それは違反行為です。

では、就業規則を周知する、とはどのようなことが関係しているのでしょうか?

会社は就業規則を周知する義務がある

就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署へ届出をしたとしても、労働者に周知していないなら意味がありません。

労働基準法第106条には、「使用者は、就業規則を、常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、または備え付けること、書面を交付することその他の厚生労働省令で定める方法によって、労働者に周知させなければならない」と定めています。

つまり、労働者に就業規則の内容を「周知」させて、はじめて効力をあらわすことができるのです。

では、この「周知」には、どのような意味が含まれるのでしょうか?

会社が労働者に就業規則を「周知させていた」とは?

労働者に就業規則を「周知」させるとは、従業員が就業規則の内容を確認したいと思ったときに、いつでもその内容を確認できる状態にしておく、ということです。

そもそも就業規則は、会社の意向で作成できるので、作成や変更をする際には、会社には法的手続きが課されます。

それにより、労働者は保護されます。

したがって、就業規則の作成義務を怠った場合は「作成義務違反」、届出を怠った場合は「届出義務違反」、労働者に周知しなかった場合は「周知義務違反」の罰則が科せられます。

どのように就業規則を確認できる?

労働基準法施行規則第52条の2では、労働者への就業規則の周知方法について、次のように細かく定めています

それは、

  1. 常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること。
  2. 書面を労働者に交付すること。
  3. 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。 

会社は、基本的にこれらいずれかの方法に従って、労働者に就業規則を周知しなければいけません

ですから、就業規則を金庫に保管しておいたり、上司の机の引き出しに入っていたりなどの状態は、労働者に「周知させていた」と言える行動ではないため違反行為となります。

また、一部の労働者だけへの周知や、口頭の説明だけの周知も、周知させていたとはいえません。

就業規則を読んでいなかった場合はどっちが悪い?

会社は就業規則の周知をしていたにも関わらず、労働者がその内容を知らなかったり、ただ単に読んでいなかったりした場合は、就業規則に効力はあるのでしょうか?

結論から述べるなら、労働者が就業規則の内容を知っていたかどうかに関わらず、会社が周知義務を怠っていないのであれば、基本的には就業規則の効力は発生します。

一方、会社が周知義務を怠っていたため就業規則の内容を知らなかった場合は、就業規則の効力は発生しません。

就業規則を変更するときにもルールがある

法改正や時代の流れに合わせて、会社は就業規則を変更することがあります。

しかし、就業規則の変更は、法律で決められたルールに従って行わなければいけません。

特に労働者にとっては、就業規則が不利益に変更される可能性もあります。

ですから、会社が就業規則の変更を適正に行っているかどうかを確認しましょう。

「不利益変更禁止」の原則とは?

労働契約法第9条では「使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。」と定められています。

つまり、就業規則を不利益する場合は、労働者の合意がなければなりません。

これを「不利益変更禁止」原則といいます。

しかし、労働契約法第9条但し書きには「ただし、次条の場合は、この限りでない」とあります

では、就業規則を変更できる条件とは何でしょうか?

就業規則が不利益変更できる条件とは?

労働契約法第9条には「この限りでない」という但し書きがあり、続く第10条には、「…変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、…当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする」と定められています。

つまり、①変更に合理性があり、②変更後の就業規則を周知、という2つの条件を満たしていれば、たとえ不利益な変更だとしても変更が認められます。

なお、変更の合理性には、労働者が受ける不利益の程度、変更の必要性、変更後の就業規則の内容の妥当性、代表の労働者との交渉などから判断されます。

ですから、会社の就業規則が変更されたときには、会社が

  • その変更が合理的がどうか
  • 変更の周知が適切に行われたどうか   

を確認してみましょう。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。