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もし、あなたに不当解雇や賃金未払いなどの問題が起きたらどうしますか?
そんなときに利用できる解決率約80%の制度をご存知でしょうか?
その制度とは労働審判制度です。
労働審判は、裁判をするほどではないが、あっせんなどの簡易制度では解決が難しい労働紛争のための解決手段です。
今回の記事は、労働審判の内容、かかる費用、申請方法について具体的にわかりやすく解説しています。
目次
労働審判という制度をご存知ですか?
労働紛争で困っている人の強い味方になる制度ですが、労働審判という言葉は知っていても内容はよくわからないという人もいます。
この記事では、労働審判とはどんな制度なのか? 具体的に解決できる内容、
労働審判にかかる費用について解説しています。
労働審判とは、労働者と企業の労使紛争に労働審判員と裁判官が介入し、賃金問題や不当解雇問題などを解決する制度のことです。
裁判で争うほどではないが、相談やあっせんといった簡便な手続きでは解決しにくい問題に対応できる制度として、2006年4月より労働審判法として施行されています。
労働審判は裁判より簡易迅速な解決を目指し、かかる日数や費用が少なく済むのがメリットで、誰でも利用できます。
2018年は全国で3630件の労働審判件数があり、直帰10年間は毎年3500件前後で推移しています。(日本弁護士連合会のデータより)
労働審判での解決率は約80%で解決力は高いです。
また、解決内容の90%以上は企業が解決金を支払うかたちで解決となっています。
解決金を受領して迅速に問題解決できる手段として、労働審判制度を理解しておくことは重要です。
労働審判と労働裁判の違いについて詳しく知りたい方は「労働審判と裁判の違いを徹底解説!」をご覧ください。
労働審判で解決できることは個別の労働関係民事紛争です。
当事者が多数いるような場合は労働審判では取り扱いません。
平成28年の厚生労働省データによると、労働審判での取り扱い事例内容の割合は以下になっています。
解雇問題 45.4%
賃金問題 39.6%
その他の問題 14.9%
【参考】:厚生労働省「労働審判制度等について」
全体の80%以上が解雇問題と賃金問題です。
解雇問題と賃金問題は問題点が根深い場合も多く、あっせんなどの簡易な話し合いでは解決できないケースがあります。
その場合、あっせんから労働審判へと解決の場を移行することが多いです。
解雇問題と賃金問題で困っている労働者は労働審判について詳しく理解しておくと、労使紛争をスムーズに解決できる可能性があります。
労働審判は費用がかかります。
必ずかかる費用は申立手数料で500円~13万3000円に設定されており、訴訟額に応じて金額が上下します。
労働審判では弁護士を雇うケースが全体の80%以上なので、弁護士費用も経費と考えておく必要があります。
弁護士費用は弁護士事務所で差があり一概に言えませんが、労働審判の一般的な金額は20万~40万+成功報酬(請求金額の20%前後)です。
費用を抑えるという点では、労働審判は弁護士を雇わずに自分で行うこともできますが、審判の専門性についていけず不利な解決になるデメリットを考慮しなくてはいけません。
弁護士を雇うことを前提に考えると、労働審判でかかる費用は申立手数料と弁護士費用で合計数十万円になります。
労働審判で金銭解決が多くなる背景には、労働審判にかかる費用の大きさも関連しています。
これから労働審判を実際に行うことになった場合について解説していきます。
労働審判って具体的にはどんな流れで進むのか?
労働審判を行う場合、最初にどこで何をすればいいのか?
もし失敗したらその後はどうなるのか?
こちらでは労働審判の流れ、申請方法、その後について具体的に詳しく解説します。
労働審判は労働者と企業の労使紛争に労働審判員と裁判官が介入し、問題解決できるように話し合いの場を設ける制度です。
期日は原則3回以内とされており、それぞれの期日に審理を行い解決を目指します。
1回の審理は労働関係の専門家である労働審判員2名、労働審判官(裁判官)、労働者本人、企業側、それぞれの代理人(弁護士)と、合計7名での話し合いに多くの場合はなります。
第1回期日の審理で解決することもありますが、もし第1回期日で審理を終結できない場合は第2回期日での審理へと移行します。
最大で第3回期日まで審理可能です。
労働審判でかかる審理総期間は以下のとおりです。
1か月以内 3.1%
2か月以内 33.9%
3か月以内 36.1%
6か月以内 26.0%
6ヵ月以上 0.8%
第1回期日で審理が終了できれば早く終わりますが、第3回期日までいくと6ヵ月ほどかかる可能性があります。
全体的には2か月~6ヵ月くらいと見込んでおく必要があります。
労働審判手続は和解により問題解決した場合、もしくは労働審判委員会が労働審判を行うことにより終了します。
当事者が、労働審判に対し、告知を受けた2週間以内に裁判所へ異議申立てを行った場合は、その後に訴訟へと移行します。
労働審判は地方裁判所に申立てを行うことから始まります。
相談やあっせんで不調和だった後に申立てするケースが多いです。
労働審判の申立ては、所定の書類を地方裁判所内の民事受付窓口にて提出することで完了します。
以下はその一例です。
上記はあくまで一例となりますので、必要書類の詳細については最寄りの地方裁判所に問い合わせることをおすすめします。
弁護士に一任している場合は、これらの書類は弁護士が揃えて提出することになります。
例えば、申立書はA4用紙に横書きで申立人の記名押印が必要などの作成ルールがあり、労働者自身が作成するには難解な部分があります。
このような観点からも専門家である弁護士を雇う必要性が生じています。
申立てが受領されると、地方裁判所から第1回期日の日程連絡が入り、第1回期日に7名の参加者が集まり審理がスタートします。
第1回期日は、申立て受領から原則40日以内の日に指定されます。
その後、最大3回期日まで解決を目指して審理が繰り返されます。
労働審判で解決できないときは労働裁判へ移行します。
労働裁判では、労働審判で解決できなかった争点に関して長く時間をかけて争うことで解決を探っていきます。
以下は労働裁判の件数や期間を示しています。
労働裁判の数 年間3000~3500件
労働裁判期間 平均14.5か月
和解率 63.4%
【参考】:最高裁判所事務総局「裁判の迅速化に係る検証に関する報告書」
労働裁判では長期間にわたり弁護士を雇うことになるので、労働審判に比べて弁護士費用も高くなります。
和解率は63.4%ですので、労働審判の約80%に比べて低いです。
労働審判から労働裁判へ進んでも、問題点が必ず解決できるわけではありません。
今回は労働審判についてまとめました。
労働審判についての理解は深まったでしょうか?
労働審判は労働者に有利な制度ですが、費用がかかるなどの短所もあります。
最後に労働審判についての内容をメリットとデメリットでまとめます。
今回は労働審判に関しての解説記事でした。
労働審判は個別労使紛争の際には、相談やあっせんに続いて利用しやすい制度です。
労働審判制度を深く理解することで、万が一の危機にうまく活用できるといいですね。
みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。