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再就職手当とは、失業保険の所定給付日数を3分の1以上残して再就職が決まった場合に、残りの日数に応じて、失業保険給付金の60~70%を一時金として受け取ることができる制度です。
再就職先の就業形態が派遣社員だったとしても、再就職手当を受給するための要件を満たしていれば手当を受け取ることができます。
この記事では、再就職手当の概要や手続きを解説するとともに、派遣社員が再就職手当を受給する際の注意点もご案内します。
派遣社員の再就職手当の請求方法について気になる方はぜひご参考になさってください。
目次
再就職手当は、雇用保険受給資格者が基本手当の受給資格を得た後、早期に再就職した場合に支給される手当です。
雇用保険受給資格者とは、失業保険の受給をするために必要な被保険者期間を満たしている人のことを指します。
自己都合退職の場合、被保険者期間が離職日以前の2年間で通算12か月以上あれば雇用保険受給資格者となります。
会社都合退職の場合、被保険者期間が離職日以前の1年間で通算6か月以上あれば雇用保険受給資格者となります。
なお、正社員に限らず、パートやアルバイトといった就業形態でも以下の条件を満たしていれば雇用保険の被保険者になります。
雇用保険の被保険者になる条件
(1)31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者であること。具体的には、次のいずれかに該当する場合をいいます。
・期間の定めがなく雇用される場合
・雇用期間が31日以上である場合
・雇用契約に更新規定があり、31日未満での雇止めの明示がない場合
・雇用契約に更新規定はないが同様の雇用契約により雇用された労働者が31日以上雇用された実績がある場合 ( 注 )
[(注)当初の雇入時には31日以上雇用されることが見込まれない場合であってもその後、31日以上雇用されることが見込まれることとなった場合には、その時点から雇用保険が適用されます。](2)1週間の所定労働時間が 20 時間以上であること。
厚生労働省|雇用保険の加入手続はきちんとなされていますか!
上記の(1)及び(2)のいずれにも該当する場合、事業主は「雇用保険被保険者資格取得届」を事業所の所在地を管轄するハローワークに必ず提出しなければなりません。
そして、再就職手当を受給するための要件は8つあります。
このうち、派遣社員に転職した場合に特に気を付けなければならない要件は「1年を超えて勤務することが確実であること」です。
再就職手当を受給するためには以下の8つの要件をすべて満たす必要があります。
これらは派遣社員・正社員問わず再就職手当を受給するために必要な要件です。
少し長いですが引用しますので確認しておきましょう(一部抜粋してあります)。
① 受給手続き後、7日間の待期期間満了後に就職、または事業を開始したこと。
② 就職日の前日までの失業の認定を受けたうえで、基本手当の支給残日数が、所定給付日数の3分の1以上であること。
③ 離職した前の事業所に再び就職したものでないこと。また、離職した前の事業所と資本・資金・人事・取引面で密接な関わり合いがない事業所に就職したこと。
④ 受給資格にかかる離職理由による給付制限がある方は、求職申込みをしてから待期期間満了後1か月の期間内は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介によって就職したものであること。
⑤ 1年を超えて勤務することが確実であること。
⑥ 原則として、雇用保険の被保険者になっていること。
⑦ 過去3年以上の就職について再就職手当又は常用就職支度手当の支給を受けたことがないこと。
⑧ 受給資格決定前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと。
『厚生労働省|再就職手当のご案内』
派遣社員の場合、要件⑤の「1年を超えて勤務することが確実であること」に注意が必要です。
派遣の契約が1年以下の場合は原則として対象になりません。
しかし、1年以下(6か月など)の契約であっても、更新の予定があれば1年を超える契約とみなされて受給することができます。
派遣社員だけでなくすべての人に当てはまる要件のうち、特に気を付けてほしいことを解説します。
失業保険の受給開始前の待期期間中(7日間)に働き始めた場合は、失業保険の給付対象になりません。
また正当な理由なく自己都合退職した場合、2カ月間の給付制限期間があり、すぐに失業手当が受け取れるわけではありません。
そして再就職手当について、自己都合による退職の場合、待期期間満了後1か月の間は、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介で再就職が決まった場合のみが対象となります。
その他の方法で再就職が決まっても対象にはなりません。
離職した元の会社に再び勤める場合も対象外です。元の会社と密接な関わりのある事業所に勤めることになった場合も、やはり対象にならないので注意してください。
再就職手当の計算方法は以下の通りです。
再就職手当 = 失業保険の給付残日数 × 給付率 × 基本手当日額
自己都合退職をした場合、加入期間別の失業保険の給付日数は以下の通りです。
失業保険の給付日数
雇用保険の被保険者であった期間 | 給付日数 |
---|---|
1年未満 | 0日 |
1年以上10年未満 | 90日 |
10年以上20年未満 | 120日 |
20年以上 | 150日 |
上記の給付日数が2/3以上残っている場合は、70%の給付率となります。
給付日数の残りが2/3未満で1/3以上残っている場合は、60%の給付率となります。
失業保険として支給される1日当たりの金額を「基本手当日額」といい、原則として離職した日の直前の6か月に支払われた賃金(賞与は除く)合計額を180で割って算出した金額のおよそ50~80%(60歳~64歳については45~80%)となっています。
なお、基本手当日額は年齢に応じて上限額が定められています。
再就職手当における基本手当日額の上限額(令和2年8月1日現在)
年齢区分 | 上限額 |
---|---|
30歳未満 | 6,850円 |
30歳以上45歳未満 | 7,605円 |
45歳以上60歳未満 | 6,195円 |
60歳以上65歳未満 | 5,013円 |
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支給申請書を提出してから約1か月後に再就職手当支給の可否が通知されます。
ただ、繁忙期では更に時間がかかりうる点にご注意ください。
その後、支給の決定が通知された日から約1週間以内に失業手当で指定している口座に再就職手当が振り込まれます。
なお、再就職手当の申請期限は原則「再就職した日の翌日から1か月以内」である点にご注意ください。
(申請期限を過ぎた場合でも、時効が完成するまでの期間(2年間)については申請が可能)
参考:厚生労働省|雇用保険の給付金は、2年の時効の期間内であれば、支給申請が可能です
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再就職手当を受け取る際は「採用証明書」と「再就職手当支給申請書」に就職先の会社から証明や記入をしてもらい、ハローワークに提出します。
派遣社員の場合は、派遣元の会社に証明してもらうことになります。
一般の就職と異なり、派遣社員の場合は派遣元の会社が近くにあるとは限りません。
派遣元の会社との連絡は、メールや電話、郵送で行うことが多いです。
再就職手当をもらうためには、「採用証明書(就職前)」と「再就職手当支給申請書(就職後)」を事業主に記入してもらう必要があるので、その都度事前にメールや電話で連絡をしたうえで、郵便でやり取りをするものと思っていてください。
連絡をするときには、宛先の住所や担当課などを確認しておきましょう。
書類と一緒に「自分宛ての返信用封筒」を忘れずに入れて送ってください。
送る封筒に「採用証明書在中」とか「再就職手当支給申請書在中」と書いておけば、会社に届いた時もわかりやすいです。
郵送はもちろん普通郵便でもかまいませんが、「特定記録郵便」ならば送った記録が残るので、心配な方にはおすすめします。
送る前に、念のため書類のコピーをとっておくのもよいでしょう。
再就職が決まったら、まずハローワークに報告をします。
それから、就職先(派遣社員の場合は派遣元の会社)に「採用証明書」を記入してもらい、ハローワークに提出します。
「採用証明書」は、ハローワークから渡される「受給資格者のしおり」に同封されています。
再就職手当を受給するために必要な書類であるとともに、失業保険の給付を終了するためにも必要な書類です。
「採用証明書」が手元に見当たらない場合や、就職先に頼みにくい場合など、困ったことがあったら、すぐにハローワークに電話するなどして相談してください。
就職する日の前日に(この日で失業保険の給付が終わるので)、ハローワークに行って最後の失業認定をしてもらいます。
このとき、再就職手当を受給できる人には「再就職手当支給申請書」が渡されますので、手続きのしかたをよく聞いておきましょう。
就職したら、なるべく早めに会社(派遣社員は派遣元の会社)に頼んで「再就職手当支給申請書」の「事業主欄」に記入をしてもらいます。
「事業者欄」に記入をしてもらったら、自分で「申請者欄」に必要事項を記入します。
「申請者欄」の記入が終わったら、「雇用保険受給資格者証(失業保険を受給していた時の資格者証のこと)」と「再就職手当支給申請書」を一緒にハローワークに提出します。
提出は郵送でもかまいません。
これで手続きは完了です 。
後日、ハローワークから支給決定額と決定日が記載された支給決定通知書が届き、指定した口座に入金されます。
みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。