【労働契約法】の解雇のルール|不当解雇かもと思ったら

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

労働契約法解雇のルール

雇用主から突然、「明日からもう会社に来なくていい」とか、「会社の業績が悪化しているから解雇」などと言われて、お困りではないでしょうか。

実は世間的なイメージと異なり、会社は自由に労働者を解雇することはできません。

解雇にあたってどのようなルールがあるかは、労働関連法、とりわけ労働契約法を知るのが重要です。

では、労働契約法で定めている解雇のルールについて、

労働契約法上の解雇のルールとは?

労働契約法は、平成20年3月から施行されている、労働者と雇用主が結ぶ労働契約に関する基本的なルールを定める法律です。

この法律の目的は、労働者の保護を図りつつ、個別の労使間のトラブルを防止し、労働者と雇用主が良好な関係を築けるようにすることです。

それでは実際に、解雇に関するルールにどのようなものがあるのかを見ていきましょう。

解雇のルール①あらゆる解雇には2つの条件が必要

解雇には普通解雇、懲戒解雇、整理解雇などの種類がありますが、すべてに共通して以下の2つの条件が満たされていなければなりません(労働契約法16条)。

  • 解雇をするのに客観的に合理的な理由がある
  • 解雇することが社会通念上相当である

これにより、例えば会社の上司による嫌がらせのための解雇や、数回の遅刻や欠勤による解雇など、客観的に合理的な理由がないことになります。

また、理由があるとしても解雇をするにあたりその手段の検討や妥当性が十分でなかった場合は、社会通念上相当でないことになります。

この2つの条件を満たしていない解雇は、会社側の解雇権濫用として無効となります。

解雇のルール②懲戒解雇には就業規則への記載が必要

違反行為に対する制裁としての懲戒解雇をするにあたっては、解雇のルール①に加えて以下の条件を満たす必要があります(労働契約法15条)。

  • 懲戒事由、懲戒処分の種類が就業規則などに定められている

懲戒解雇は、退職金や解雇予告手当が出ないことがある、という点で通常の解雇と比べ労働者が不利となります。

そのため、懲戒処分の対象となりうる行為と、懲戒処分の種類が労働者にわかる形で事前に提示されていなければなりません。

解雇のルール③契約期間内の解雇にはやむをえない理由が必要

期間の定められた雇用契約(有期労働契約)に関しては、以下のルールがあります(労働契約法17条1項)。

  • やむを得ない事由がなければ、期間満了前に解雇することはできない

期間の定められた雇用契約を途中で解除するにあたっては、通常の解雇の「客観的で合理的な理由」「社会通念上の相当性」以上の「やむを得ない理由」が必要となります。

労働契約法以外の解雇のルールとは?

労働契約法以外にも、その他の法律や判例によって、解雇に関するルールが決まっていることもあります。

解雇のルール④原則30日以上の解雇予告期間が必要

解雇は、最低でも30日以上の予告期間をとることが必要です(労働基準法20条1項)。

もしもそれより短い予告期間しかない場合には、30日に満たない日数ぶんの平均賃金に相当する解雇予告手当が支払われていなければなりません(同法20条2項)。

もっとも、労働者自身に責任がある解雇だと労働基準監督署の認定を受けている場合は、解雇予告手当は支払われません(同法20条1項但し書き、3項)。

解雇のルール⑤整理解雇には4つの要素が考慮される

不況や経営難などから、人員整理の必要性のためになされる解雇を整理解雇と呼びます。
一般に「リストラ」と呼ばれる解雇は、整理解雇であるのが一般的です。

整理解雇の場合は、①解雇の条件に加えて、以下の4つの要素が総合的に考慮されます。

  • 整理解雇の必要性
  • 解雇回避の努力
  • 解雇対象の人選の基準、運用の合理性
  • 解雇手続きの妥当性

整理解雇の必要性が無い・回避努力が尽くされていない・人選の基準が非合理的であった・手続きに不備があったなどの事情が認められた場合は、整理解雇が違法・無効となる可能性があります。

解雇のルール⑥法律で禁止されている解雇

様々な法律により、「この期間の労働者は解雇されない」「この理由では解雇されない」ことなどが定められている場合があります。

主な具体例として、以下のようなものが挙げられます。

  • 労災による休業中、およびその後30日間の解雇(労働基準法19条)
  • 産前産後の休業中、およびその後30日間の解雇(同上)
  • 国籍、信条、社会的身分を理由とする解雇(労働基準法3条)
  • 労働組合に加入していることを理由とする解雇(労働組合法7条第1号)
  • 妊娠、出産などを理由とする解雇(男女雇用機会均等法第9条2項、3項)
  • 労働者が外部に違法行為を通報したことなどを理由とする解雇

不当解雇かも?と思ったら確認すべきポイント

通知された解雇が、普通解雇・懲戒解雇・整理解雇のルールを守っていない場合は、不当解雇の可能性があります。

解雇が無効であれば、雇用契約は存続しているため、賃金を受け取ることが可能です。

では、解雇通知を言い渡されたときに、それが適法か違法かを判断するための確認すべきポイントをみていきましょう。

解雇された理由は?

解雇される理由により、解雇が適法か違法かを判断できます。

以下の理由による解雇は、法律で禁止されている不当解雇の具体的な例です。

  • 客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇(労働契約法第16条)
  • 労働者の国籍、信条、社会的身分を理由とした解雇(労働基準法第3条)
  • 業務上の疾病による休業期間及びその後30日間の解雇(労働基準法第19条)
  • 労働者が労働組合の組合員であることや、組合に加入したり組合を結成しようとしたことなどを理由とする解雇(労働組合法第7条第1号)
  • 女性労働者が婚姻、妊娠、出産したこと、産前産後の休業をしたことなどを理由とする解雇(男女雇用機会均等法第9条第2項、第3項)
  • 労働者が育児休業、介護休業の申し出をしたこと、又は実際にそれらの休業をしたことを理由とする解雇(育児・介護休業法第10条、第16条)

これらの理由による解雇は、法律で禁止されており、解雇は無効となります。

いつ解雇通知がされたか?

解雇の理由に加え、いつ解雇されるのか、という点も確認すべきです。

労働基準法第20条1項  使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。

すなわち、雇用主は30日以上前に解雇通知することが義務付けられています。

また、30日以内に解雇されたのであれば、労働者には「解雇予告手当」と呼ばれる金銭を受け取る権利があります。

仮に雇用主から「明日からもう来なくていい」と言われた場合は、30日分以上の平均賃金を解雇予告手当を請求することが可能です。

不当解雇だと判断したときの対処法とは?

労働契約法のルールを守った有効な解雇であれば、解雇された以降は雇用契約の完了となり賃金は支払われません。

一方、ルールを守っていない無効な解雇であれば、雇用契約は存続しています。つまり、賃金を受け取ることが可能です。

ですから、言い渡された解雇が不当だと感じた場合は、まず雇用主に解雇理由を確認してみましょう。

また、労働基準監督署では、不当解雇など労働問題に関する相談を個別で受け付けています。

ひとりで悩まずに相談してみましょう。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。