みなし残業は違法な制度?みなし残業関連のトラブルと対処法

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監修者:みんなのユニオン 執行委員
岡野武志

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2020年10月1日以降の自己都合退職者は、失業手当の給付制限期間が短縮される変更があります。

企業に勤めている方の中には、会社でみなし残業が適用されているという方も多いはずです。

それでは、みなし残業の制度内容を正確に把握しているでしょうか。

残念ながら、違法なみなし残業代制を適用する会社は少なくありません。

今回は、みなし残業が違法となるケースや、関連して起きうるトラブル事例と解決方法を解説します。

働いた分の賃金を受け取り気持ちよく働くために、是非ご覧ください。

みなし残業とは|みなし残業の法的な位置付け

みなし残業は違法な制度と思っている方も多いのではないでしょうか。

実際には、すべてが違法となるわけではありません。

みなし残業は雇用主と従業員双方にメリットがある反面、運用方法が適切でない場合は労使間のトラブルに発展する可能性があります。

まずは、法律上のみなし残業の位置付けと基本的な知識を確認しましょう。

みなし残業の概要とメリット

みなし残業代制は一定の残業代を給与に含めて支給する制度です。

社員にとっては、残業時間が少ない場合でもまとまった賃金をもらえるのがメリットでしょう。

みなし残業代制は法律的な用語ではなく、法律上は「みなし労働時間制」に該当するとされます。

みなし労働時間制は、「労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす」ものです(労働基準法38条の2)。

つまり、みなし労働時間制は実際の労働時間に関わらず、あらかじめ決められた一定の時間だけ働いたとみなします。

所定労働時間を超える時間数が設定されていれば、超過分が支払われなければなりません。

みなし労働時間制は「事業所外みなし労働時間制」「裁量労働制」2つに分けられます。

営業職などの事業所外みなし労働時間制

事業所外みなし労働時間制は、事務所の外にいることが多く労働時間を正確に把握できない場合に、一定時間労働したとみなす制度です。

所定労働時間に関係なく、実際に業務遂行に必要と考えられる時間を労働時間とみなします。

外回りがメインの営業職の社員に適用されるのが、よく見られるケースです。

研究職などの裁量労働制

裁量労働制は、社員自身の裁量で時間管理する方が合理的な場合に適用される制度です。

みなし労働時間数を決めるには労使協定を結ぶ必要があります。

固定の勤務時間がなくなり、出勤や退勤の時間が自由になるのが特徴です。

研究職など忙しさの波が大きい職種のために適用されます。

みなし残業代制の会社はおかしい?

みなし労働時間制は1日の労働時間を定める制度であり、残業時間のみに焦点を当てたみなし残業代制とは別物です。

つまり、みなし残業は法律で規定されたものではありません。

しかし、みなし残業を違法と決めつけるのは誤りです。

労働基準法の規定に沿った内容であれば、企業の判断でみなし残業を適用してよいとされています。

みなし残業が違法とされた判例のある労働形態

労働基準法の趣旨に沿っていないみなし残業は違法と判断されるでしょう。

それでは、どのような場合に違法となるのか解説します。

①上限を超えたみなし残業時間

みなし残業は法律で定められた制度ではないので、上限の時間を定めた法律はありません。

しかし、36協定では1か月の残業は原則45時間までのため、みなし残業の時間数がそれを上回る場合は違法となる可能性が高いです。

②みなし残業分以外の残業代が出ない

いくら長時間残業しても、みなし残業分しか残業代を支払わないのは違法です。

会社が決めたみなし残業時間よりも長く仕事をしたならば、会社には超過分の賃金を支払う義務があります。

固定残業代制とも呼ばれることから勘違いされがちですが、一定の残業代しかもらえないという解釈は誤りです。

未払いの残業代は請求しましょう。

③基本給が安すぎる

みなし残業代とは別に、基本給の額にも注意が必要です。

時給が最低賃金に満たなければ、みなし残業代制自体が違法となります。

給与額から手当やみなし残業代を差し引いた金額が基本給です。

基本給を所定労働時間で割り、時給に換算してみましょう。

④賃金規定や給与明細に残業代を書かない

みなし残業の時間や残業代が明確になっていない場合も違法です。

就業規則または雇用契約書の賃金規定に、時間と残業代が明記されているか確認するとよいでしょう。

なお、給与明細に固定支給の残業代が記載されている場合もあります。

給与明細への記載は必須ではありませんが、金額がはっきり分かるなら、適正にみなし残業が適用されている可能性が高いでしょう。

違法なみなし残業代制の下でよくあるトラブル

違法なみなし残業代制の企業では、できるだけ賃金を支払わずに社員を働かせようとするケースが見られます。

以下の4つの事項にあてはまる理不尽な扱いを受けていないか、チェックしてみましょう。

①残業しないで早く帰ると怒られる

毎月固定の残業代を支払っているのだからという理由で、定時で帰ることを認めない場合があります。

しかし、みなし残業代制の会社であっても、毎月みなし残業時間分の残業を行う義務はありません。

業務の都合上どうしても残業せざるを得ないことはあるでしょう。

そうでなければ、会社はみなし残業を理由に定時で退社することを咎めることはできません

②多すぎる業務を命令される

明らかに多すぎる量の業務を押し付けられるトラブル事例もあります。

みなし残業の時間を遥かに超えるほど働かなければ終わらない仕事を与え、固定の残業代しか支払わないという手口です。

みなし残業の時間を超過した分の賃金を支払わないという違法行為と、パワハラ行為の2つの問題を含んでいます。

超過分の残業代を請求し、パワハラ問題について相談しましょう。

③残業代を支払わないための管理職登用

社員に残業代を支払わないように、名目上の管理職にするという悪質なケースです。

管理職に登用され、「管理職だから残業代は出ない」「残業代は役職手当に含んでいる」などと説明されることがあります。

実際には、残業代が出ない管理職は以下のような管理監督者だけです。

  • 会社の経営に関与している
  • 社員の労務管理を指揮監督する
  • 一般社員と比べて高額な賃金を得ている

そのため、建前だけ管理職とされた社員には残業代をもらう権利があります。

会社側の都合の良い説明に丸め込まれないように注意しましょう。

④働き方改革と関連するトラブル

違法な長時間労働を強いる企業があるので要注意です。

残業時間は原則月45時間かつ年間360時間と、上限が定められています。

働き方改革により例外規定が加わり、繁忙期や緊急の業務など特別な事情があっても、1か月100時間かつ年間720時間までとされました。

みなし残業の時間はもちろん、実際の労働時間も上限を超えていないか確認することをおすすめします。

みなし残業にまつわるトラブルへの対処法

もらえるはずの賃金をもらわず、つらい思いをしながら泣き寝入りすることはありません。

みなし残業分以外の残業代が出なかったり、不当な扱いを受けた場合、自主的に行動を起こして解決しましょう。

そこで、みなし残業に関するトラブルに遭遇した時の対処法を解説します。

未払いの残業代がある場合

未払いの残業代をもらうには、会社に残業代の請求書を送付するのが基本です。

会社側が動かなければ、労働基準監督署や弁護士への相談を検討しましょう。

いずれの方法でも、「会社の賃金規定・残業時間・給与額」が確認できるものを用意する必要があります。

残業代の請求がきっかけで会社から嫌がらせを受けた場合は、労働基準監督署や弁護士に相談するのがおすすめです。

労働者側に非はないので、自信を持って行動しましょう。

職場で理不尽な扱いを受けた場合

残業の押し付けなど理不尽な扱いを受けた場合には、以下のような対処方法が考えられます。

  • 社内の相談窓口で相談する
  • サービス残業は断る
  • 労働基準監督署に相談する

サービス残業は違法なので社員に強制してはならず、社員には引き受ける義務がありません。

命令された残業がサービス残業ではないかと思った時は、上司に残業代がつくかどうか確認してみましょう。

残業代は出ないとの答えが帰ってきたのなら、社員には断る権利があります。

または、サービス残業の強制などのパワハラ行為が常態化している企業なら、転職を視野に入れた方が良いかもしれません。

監修者


みんなのユニオン

執行委員岡野武志

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みんなのユニオンの執行委員を務める岡野武志です。当ユニオンのミッションは、法令遵守の観点から、①労働者の権利の擁護、②企業の社会的責任の履行、③日本経済の生産性の向上の三方良しを実現することです。国内企業の職場環境を良くして、日本経済に元気を吹き込むために、執行部一丸となって日々業務に取り組んでいます。